<米中首脳会談>バイデン氏「対露支援」にクギ、習氏「一つの中国」確約を―「G2取引」成立か

Record China    2022年3月20日(日) 7時0分

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米国のバイデン大統領と中国の習近平国家主席は18日、オンライン方式で会談。ウクライナ問題をはじめ多岐にわたるテーマについて長時間協議した。写真は米中首脳会談。

外交、特に2カ国首脳会談は「ギブ・アンド・テイク」が鉄則である。一方だけの主張が通ることはない。18日にオンラインで実施されたバイデン米大統領と習近平中国国家主席による首脳会談も同様である。ホワイトハウスの発表や中国新華社通信の報道をつぶさに検証すると、今回の会談も同様のパターンだったことが判明した。

米国のバイデン大統領と中国の習近平国家主席は日本時間18日午後10時ごろから、長時間にわたりオンライン方式による会談を行った。

会談後のホワイトハウスの発表によると、話題の焦点は、ロシアによるウクライナ侵攻がテーマとなった。バイデン大統領は、米国や同盟国の考え方を説明し、ロシアに「コストをかけさせる」など、侵攻抑止と対応についての取り組みを詳細に説明した。さらに。ロシアがウクライナの都市や民間人への攻撃について中国がロシアに物質的支援を行った場合の「影響と結果」について述べた。

バイデン大統領は、ウクライナ危機を外交的に解決することへの支持を要求した。バイデン氏は米国の立場を説明し、「中国と意思疎通を行い、事態のエスカレートを防ぎたい」と呼びかけた。両首脳は、米中の競争を管理するために開かれた意思疎通のチャンネルの維持が重要との点で一致した。バイデン大統領は、米国として中国を正当な国家として認める「一つの中国」を維持している立場を説明、台湾に対する米国の政策に変更はないと改めて表明した。

一方、中国国営新華社通信によると、バイデン氏は、「50年前、米中両国は重要な選択を行い、『上海コミュニケ』を発表した。50年後の今日、米中関係は再び重要なタイミングを迎えており、米中関係発展のあり方が21世紀の世界構造を構築することになる」と言明。その上で「米国は中国と『新たな冷戦』を戦うことを望まず、中国の体制を変えることを望まず、同盟関係の強化によって中国に反対することを望まず、『台湾独立』を支持せず、中国との間で衝突を起こそうとする意図はない、と繰り返して述べたい」と明言した。

さらにバイデン氏は「米国は中国と率直に対話し、協力を強化し、一つの中国の政策を堅持し、競争と溝を効果的に管理・コントロールし、米中関係の安定的発展を推進したいと考えている。習近平国家主席と密接な意思疎通を維持し、米中関係の舵取りをして方向性を定めていきたいと考えている」と述べた。

習氏は、「平和と発展というテーマが厳しい挑戦に直面し、世界は安定せず平穏でもない。国連の安全保障理事会の常任理事国として、また世界の2大エコノミーとして、私たちは中米関係が正しい軌道に沿って前へ進み発展するようリードしなければならないだけでなく、果たすべき国際的な責任を引き受け、世界の平和と平穏のために努力しなければならない」と指摘した。

習氏は、「中米は相互に尊重し合い、平和的に共存し、対抗を回避するべきであるとの見方にともに賛同し、双方が各レベル・各分野で意思疎通と対話を強化すべきであるとの見方にともに同意する」と明言。その上で、「大統領は今、米国は中国と『新たな冷戦』を戦うことを望まず、中国の体制を変えることを望まず、同盟関係の強化によって中国に反対することを望まず、『台湾独立』を支持せず、中国との間で衝突を起こそうとする意図はない、ということを繰り返し述べた。大統領のこのような姿勢表明を、私は非常に重視する」と歓迎した。

習氏は、「中米間の溝は過去にもあったし現在にもあるが、将来も溝はあり続けるだろう。重要なことは溝をうまく管理・コントロールすることだ。安定的に発展する中米関係は、双方にとってもプラスになる」と強調した。

習氏は、「ウクライナ情勢がエスカレートしてこのような状況に陥ったのは、中国が見たくないことだ。中国は常に平和を主張し、戦争に反対してきた。国際法と広く認められた国際関係の基本的準則を守ることを提唱し、国連憲章に基づいて事態を処理することを堅持し、共通した、総合的、協調的で、持続可能な安全保障という考え方を主張してきた。こうした大きな原則は中国がウクライナ危機に対処する時の立脚点だ」と述べた。

さらに「(ウクライナ危機で)ロシアとウクライナが対話・交渉を行い、結果を出し、平和に至るよう共同で支援すべきだ。米国と北大西洋条約機構(NATO)の加盟国もロシアと対話を展開し、ウクライナ危機の背後にある根本的な原因を解きほぐし、ロシアとウクライナ双方の安全保障への懸念を解消するべきだ」と指摘。「中国はウクライナと影響を受けるその他の国へ人道主義に基づく支援物資をさらに提供したい」と語った。

バイデン大統領と習主席は「会談は建設的なものだった」と評価。両国の作業チームに対し、速やかに歩調を合わせ、実際の行動を取って、両国関係が安定的発展の軌道に戻るよう後押しし、ウクライナ危機の適切な解決に向けてそれぞれ努力するよう指示を出したという。

今回の米中首脳会談、長時間にわたり多岐にわたるテーマについて協議し、成果が上がったようだ。バイデン氏が対露支援を控えるようクギを刺し、習氏が「一つの中国」遵守など基本政策を改めて確約させる「取引」が成立したと言える。これにより「米中2大国で世界を仕切るG2に歩み出した」(シンクタンク幹部)との見方もある。もともと両首脳は十数年前からの旧知の仲、気安く和む場面もあったとされる。(八牧浩行

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