【観察眼】中国人は幸せな高齢化社会をも追い求める

CRI online    2022年3月9日(水) 9時40分

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李克強総理は5日、第13期全国人民代表大会第5回会議で今年の政府活動報告を行った。

李克強総理は5日、第13期全国人民代表大会第5回会議で今年の政府活動報告を行った。同報告は内容が豊富で、カバーする範囲も広い。しかし、数万文字にも達する内容をすべて理解することは、中国人にとっても容易なことではないし、外国人にとってなおさら困難であることは容易に想像できる。

私は、多くの日本人の友人から、中国は高齢化社会の仲間入りをしつつあると言われたことがある。日本は高齢化問題が深刻であるので、日本人は身につまされるような気持で、中国の高齢化に強い関心を持つ。では、今年の中国の政府活動報告で、高齢化問題についてはどのようなことが取り上げられたのだろうか。

報告は、中国は人口高齢化に積極的に対応すると論じた。都市部と農村部の高齢者向けサービスを改善し、社会の力によるデイケア、食事と衛生管理の支援、リハビリテーションや介護などのサービスの提供を支援し、農村においては互助方式の高齢者向けサービスを発展させることを奨励し、高齢者向け事業では産業としての質の高い発展を推進する。内容は少ないが、情報量は極めて豊富だ。

中国の高齢化社会の現状と合わせて、この部分の政策内容を理解してみよう。2020年に実施された第7回中国全国国勢調査によると、同年には中国の60歳以上の高齢者人口が、総人口の18.7%を占める2億6400万人に達した。さらに重要なことは、高齢者人口は遅くとも2025年までに3億人を突破することだ。このことは、中国が軽度高齢化から中度高齢化の段階に入ることを意味する。中国はすでに、日本が現在直面している多くの難しい高齢化問題に直面しており、別の一部の問題には近い将来に直面すると言ってよい。

そこで、報告書で示された3点に注目してみた。まず、中核となるキーワードが「高齢者向けサービス」であることだ。以前から使われてきた「産業」や「業界」といった言葉に比べて、「サービス」が意味する範囲はさらに広く、ビジネスとして利益を考慮した市場行為だけでなく、高齢者関連分野が自ら備えるべき社会公共の福祉という属性も含んでいる。中国ではまだ、日本のように充実した高齢者向けの保険システムが確立されていない。高所得者ならば高齢者問題は市場を通じて解決できるが、低所得層が必要とすることは、政府の下支えによる保障を通じて解決せねばならない。人々が所得水準の高低にかかわらず、高齢者がいれば扶養し、高齢者が頼れる状態にしてこそ社会の調和と安定が実現され、社会主義制度の優位性を十分に示することができる。

次に注目したのは、サービスにはデイケア、食事と衛生管理の支援、リハビリや介護などが含まれることだ。日本人はこれらの言葉に馴染みがあるのではないだろうか。そうなのだ。これらの名詞が意味する内容は、日本から伝わった場合が多い。日本は高齢者向け産業が発展・成熟し、施設が完備され、高齢者向けサービスが全面的に実施されている国だ。日本には中国が学び、参考にすべき多くの経験や、場合によっては教訓がある。中日両国にはこの分野で、実行に値すること、できること、やるべきことが多くある。将来の協力には、大きく期待することができる。このような有益な協力が深まるほど、そして広くなるほど、中日関係の発展は着実なものになる。

最後に、報告書が「互助方式の高齢者向けサービス」に言及していることに注目しよう。統計によれば、中国の農村部では満60歳以上の高齢者の人口に占める割合が、都市部を8ポイント上回る23.8%だ。日本の都市部と農村部では、高齢者が置かれた条件が比較的均衡しているが、中国の農村部は高齢化対策の出発点のレベルが低く、基礎が整っていないなどで、難題が多い。中国の高齢化問題においては、重点対象とすべきであり、かつ難題が存在するのは農村部と言っても過言ではない。互助方式の高齢者対策を奨励することは、「互助方式」が本来備える低コストや非営利などの特徴を利用して、血縁と親族を大切にする中国人の考えかたや、近隣住民が見守りあう伝統を通じて、農村部における高齢化対策に、中国の特色ある新たな道筋を提供することだ。

中国人は古くから老人には孝を尽くし、老人を敬ってきた。「わが老をもって人の老に及ぼし、わが幼をもって人の幼に及ぼす」(「孟子・梁恵王章句」より。自分の年老いた両親に対するのと同様に他の老人にも尽くし、自分の子をいたわるのと同様に他人の子をいたわる)ことが説かれてきた。中国はすでに高齢化社会に入っている。高齢者全員が幸せな晩年を過ごせるようにすることは、中国政府が絶えず奮闘する目標であり、中国人全員が追い求めるすばらしい夢でもある。(提供/CRI

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