両会で「若者にデリバリー配達ではなく工場で働くよう奨励する議案」が話題に―中国

人民網日本語版    2022年3月8日(火) 7時50分

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両会での「若者にデリバリー配達ではなく工場で働くよう奨励する議案」が話題になっている。

2022全国両会(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)会期中、全国人民代表大会代表を務める小康集団の張興海(ジャン・シンハイ)董事長は、「近年、デリバリーやEC、ライブコマースといった仕事に就く若者が増加し、宅配便やデリバリー業界における『内巻(閉鎖的な環境で内部の激しい競争に巻き込まれる状況)』に、大学院生までもが巻き込まれるようになっている。そして、多くの若者が工場で働くことを望まないため、産業労働者の空洞化現象が一層際立つようになっている」と指摘した。

張董事長は、「政府や社会、企業が各方面で共に取り組み、若者が産業労働者になるようサポート、奨励し、製造業の人材不足を緩和するよう提言する」としている。

中国人力資源・社会保障部が最近発表した中国全土で人材不足となっている職業100種類のうち、43種類が「生産・製造」業界だった。

■工場で働く?それともデリバリー配達員として働く?

収入の面で見ると、メディアの報道によると、小康股份は求職サイトにおいて月給6000~1万5000元(約10万8000~27万円)でエンジニアを、5000~7000元(約9万~12万6000円)で一般労働者を募集している。

広州市総工会が4日に発表した「2022年広州市の主な業界の労働者報酬・福利をめぐる集団協議参考情報」によると、広州のデリバリー業界従事者のほとんどの年収が10万元(約180万円)以上に達している。

実際のところ、デリバリー配達員の仕事はハードだ。昨年4月、北京市人力資源・社会保障局労働関係処の王林(ワン・リン)副処長は、デリバリー配達員の「1日体験」をして、「12時間で41元(約740円)しか稼げなかった。疲れて道路の脇にしゃがみ込んでしまった。とてもハードで、この仕事でお金を稼ぐのは本当に大変だ」と語ったことがある。

また、ブルーカラーを代表とする職業の収入も安定して増加している。今年1月、情報サイト・58同城傘下の58同城招聘研究院が発表したブルーカラー就職市場報告によると、2021年の1-9月期、企業の人材募集時の月給は平均9765元(約17万5700円)だった。荷物の積卸/運搬労働者の月給は前年同期比で30.94%増となっていた。

オンラインデリバリープラットフォーム「餓了么(Eleme)」が最近発表した報告によると、デリバリー配達員は、多くの出稼ぎ労働者が都市に根を下ろすためのステップとなっており、回答者の4割以上が「デリバリー配達員をしながら、他の良い仕事を探している」とした。また、デリバリー配達員の3割が「この仕事を続けたい」としていた。

■どんな仕事をするかは市場の選択

デリバリー配達員といった新業態が急速に発展するにつれて、伝統的な雇用スタイルよりも、自由な働き方の新業態が多くの若者の間で人気となっている。

経済、社会が発展を続ける中国では今、若者の働き方も大きく変化し、一部の工場では人材の重要と供給がアンバランスになるという現象が起きている。経済学という観点から見ると、工場で働くにしても、デリバリー配達員として働くにしても、それは市場の選択で、スマートファクトリーや建設ロボットといった産業も現在、新たな経済発展の好機を迎えている。

多くの若者が製造業に従事するようになるためには、製造業の魅力を確実に強化しなければならない。製造業というのは、立国の基本であり、強国の基礎でもある。製造業の質の高い発展には、元気はつ剌とした多くの若者の力が必要だ。給料や待遇の向上や労働環境の改善、労働保障の整備、キャリアアップの可能性の開拓などは、製造業の魅力を効果的に強化するための重要な要素となる。若者が、工場で働いたり、技術労働者になったりすることが体裁の良いことだと感じるようにしなければ、製造業の人材不足を根本的に解決することはできないだろう。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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