「中国のロシア支持にも限度ある。西側との対立激化すれば損だから」―専門家

Record China    2022年2月28日(月) 8時20分

拡大

ロシアのウクライナ侵攻について、複数の専門家が「中国のロシア支持には限度がある」との見方を示している。不利益を避けようとの思惑があるからという。写真は、ロシア首都・モスクワ市内のクレムリンの一部。

台湾メディアの中央通訊社は26日、「中国のロシア支持には限度がある」と指摘するメディアや複数の専門家の意見を紹介した。「欧米など西側諸国との対立が激化すれば中国にとって損になる」などの計算があるという。

まず、習近平氏が2012年秋に中国共産党総書記に就任して以来、中国とロシアは互いに接近しつづけてきた。しかしAP通信は、中国とロシアの利益は矛盾する面もあると指摘。ロシアのプーチン大統領は中国が中央アジアやロシア極東地区に経済の影響力を拡大させつづけていることに、不快感を持っていると論じた。

上海政法学院欧亜研究所の李新所長は「中ロは目下のところ、歴史上で最もよい関係だ。しかし両国は盟友ではない」と指摘した。

米国をはじめとする西側諸国は、ロシアの金融機関、政府職員、企業とその関係者に制裁を実施する、あるいは制裁の実施を宣言している。また、ロシアに対する輸出を制限して、ハイテク製品がロシア軍の手に渡らないようにしている。

専門家の間では、中国の習近平国家主席がロシアのプーチン大統領を支持するとしても、西側諸国によるロシア制裁に公然と反することはないとの見方が出ているという。プーチン大統領を過度に支持すれば、今度は自国側が制裁の対象になるからだ。逆に、中国企業が制裁の対象にならなければチャンスとなり、(西側諸国と)より有利な契約を結べる可能性も出て来るという。

李所長は「われわれは個人としては他人の困難を利用しようとは思わない。しかし企業とは営利組織であり、中国企業はコストを削減して最大の利益を追求するだろう」とも述べた。

ロンドンを拠点とする経済調査コンサルタント会社、キャピタル・エコノミクスでチーフエコノミストを務めるマーク・ウィリアムズ氏は「中国は、ロシアを支援したことで面倒に巻き込まれることを望まない」と述べた。中国とロシアの貿易総額は上昇し続けており、2021年には1469億ドル(約17兆円)に達した。しかし、中国と米国およびEUの同年の貿易額は1兆6000億ドル(約185兆円)と、その10倍以上の規模だ。

ウィリアムズ氏は「全ては、彼ら(中国)が西側市場への道を断たれるリスクを冒してでもロシアを助ける気があるかどうかにかかっている。私は、彼らはそのようなことを望まないだろうと考えている」と述べた。

ロンドンを拠点とする情報プロバイダーのHISマーキットでアジア大平翌地区首席エコノミストを務めるラジブ・ビスワス氏は中ロ貿易について、21年には価格ベースでロシアの輸出の6分の1が中国向けで、さらにその3分の2が石油天然ガスだったと説明。中国はロシアのエネルギー資源にとって、最大の高度成長市場だという。

しかし、仮に中国がさらに多くの天然ガスを買いたいと望んでも、ロシアはすぐに対応できないという。パイプラインの輸送能力がすでに限界に達しているからだ。

北京を本拠とする清華大学で中国・欧州関係を専門とする張利華教授も「ウクライナ侵攻問題において、中国がロシアと同じ立場を取ることはありえない」との見方を示したという。(翻訳・編集/如月隼人

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携