台湾が福島など日本5県からの食品輸入を解禁、CPTTP加入への日本の後押し期待か

亜洲週刊    2022年2月21日(月) 7時0分

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台湾は、福島など日本の5県で生産された食品に対する輸入禁止を撤廃する。CPTPP加入について日本からより強い支持を得ようとの思惑があるとみられている。写真は果物などを販売する台湾の商店。

台湾・行政院(台湾政府)は8日、日本の福島・茨城・栃木・群馬・千葉の5県で生産された食品に対する輸入禁止を撤廃する方針を明らかにした。2月中に発表予定の公告をもって正式決定とするという。台湾は、2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴って発生した原子力発電所の事故で汚染が発生したとして前記5県からの食品輸入を禁止してきた。

香港メディアの亜洲週刊はこのほど、台湾の動きには、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)への加入を日本に後押ししてもらう意図があるとする、毛峰東京支局長の署名入り記事を発表した。以下は同記事主要部分の日本語訳だ。

台湾政府の羅秉成報道官は8日の記者会見で、世界の40カ国以上が日本からの食品輸入制限を完全に撤廃したと説明した上で、「台湾政府は科学的証拠をもって食品の安全を民衆に保障する」「台湾は主に貿易で成り立っている」「日本側の合理的な求めを回避することはできない」などと説明した。

羅報道官は、このタイミングで日本の5県からの食品輸入を解禁することについて「台湾のCPTPP加入に役立つが、日本と(台湾のCPTPP加入を支持する)交換条件があるわけではない」と説明した。

一方で蔡英文総統は8日、日本5県からの食品輸入の解禁に関連して「われわれは国際標準を受け入れたい。そして困難な貿易問題を解決し、世界の貿易システムに向かって歩むことを決意している」と述べた。台湾側に、日本にCPTPP加盟の後押しをしてもらう意図があるのは明らかだ。

日本にしてみれば、今も福島県などからの食品輸入を解禁していない中国大陸や香港、さらに韓国に圧力をかけることができる。仮に前記の三つの国と地域が日本からの食品輸入について台湾と同様の動きをすれば、日本は東日本大震災からの復興に絡む「政治的戦い」に勝利したことになる。

日本は東日本大震災に際して台湾が世界で最も多く義援金を提供したことに恩義を感じている。日本は米国から購入した新型コロナウイルスワクチンを国外向けとしては台湾に真っ先に提供した。また、中国が台湾に対する軍事的圧力を強め続けていることについては、以前とは態度を一転させて「台湾海峡有事は日本有事」とのシグナルを発し続けるようになった。

また与党自民党が台湾民進党と外交と防衛についてのオンライン会談を実施したり、台湾側の台湾日本関係協会と日本側の日本台湾交流協会が1月11日に台北市内で双方の経済貿易についての会談を行うなど、日本は台湾との親密な関係を推進している。

亜洲週刊は、台湾側が東日本大震災発生11年の目前の時期に日本5県からの食品輸入を解禁することで、「以心伝心」の方式で、その「お返し」となるCPTPP加盟の支持について、岸田文雄政権や自民党のより強い支持を取り付けようと考えたと理解する。

ただし原発被害についての見方で、日本国内が一枚岩になっているわけではない。大震災発生時の首相だった菅直人および小泉純一郎、細川護熙、鳩山由紀夫、村山富市の首相経験者5氏は1月27日付で、EUがこのほどエネルギー源の分類を変更して原発を「地球温暖化対策に役立つエネルギー源」と位置付ける決定をしたことに関連して、福島第一原発の事故の結果、「多くの子どもらが甲状腺がんに苦しんでいる」などとして、EUに対して原発の位置づけの変更を撤回するよう求める書簡を提出した。

これに対して西銘復興相が「誤った情報を広め、いわれのない差別や偏見につながる。適切でない」と批判し、山口壮環境相も元首相5人に反論の文章を送り抗議するなどの動きが日本では起きている。(翻訳・編集/如月隼人

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