米国の「インド太平洋経済枠組み」に困惑する日本、専門家の解説―中国メディア

人民網日本語版    2022年2月14日(月) 20時40分

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ブリンケン米国務長官のオーストラリア訪問は日米豪印間にさざ波を起こしているが、日本を若干困惑させてもいる。資料写真。

ブリンケン米国務長官のオーストラリア訪問は日米豪印間にさざ波を起こしているが、日本を若干困惑させてもいる。米国は「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」(CPTPP)に復帰しないことを前提に「インド太平洋経済枠組み」を打ち出した。換言するなら、米国は「インド太平洋地域」の外交・安全保障を主導するだけでなく、対中牽制の狙いが顕著なこの広範な地域経済戦略に日印などを引き込もうとしているのだ。日本にとって、この「インド太平洋経済枠組み」への対応は極めて厄介な問題だ。下手すると自らの足元を崩すことになるからだ。(文:笪志剛・黒竜江省社会科学院東北アジア研究所所長。環球時報掲載)

まず、日本の困惑は自国の役割をめぐる心理的葛藤のためだ。日本にとって「インド太平洋地域」は長年開拓してきた主要な経済地域であり、南アジアは日本企業の新たな産業輸出地となっており、東南アジアに至っては日本経済の「裏庭」と見なしている。2020年の東南アジア諸国との貿易額は2040億ドル、ASEANへの投資額は2兆3000億円に達した。日本は、この「インド太平洋経済枠組み」を通じて、自らの長年の苦労の成果を米国に摘み取られ、自らの「インド太平洋経済構想」が希薄化することを望んでいないのだ。

ましてや日本には、2018年に発効したCPTPP、続いて発効した域内包括的経済連携協定(RCEP)がある。日本は「インド太平洋経済枠組み」が米国の離脱した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の代替物となり、自国の主導したCPTPPが有名無実化し、RECP協力も弱まることを懸念しているのだ。

次に、日本の困惑は、自国の通商上の利益に対する影響を懸念しているためでもある。

第1に、既存の多国間通商枠組みをどう強固なものにするか。日本は多国間通商主義を粘り強く堅持し、長年努力してようやく米国不在の中でCPTPPを発効させ、米国の圧力に抗してRCEPの発効にこぎつけた。岸田文雄政権発足後は、RCEPやCPTPPなどの枠組みを利用して、日本が長年努力して培ってきた多国間通商における優位性を維持している。

第2に、中国との経済・貿易関係の重要性という現実とのバランスをどう取るか。2021年の日中貿易は3714億ドルに達し、中国の消費者市場は日本経済全体の安定にとって重要なファクターとなっている。日中間の経済的補完性は、日米間のそれとは比較にならないほど高い。そのため日本は慎重に米中の間でバランスをとるしかない。

第3に、この枠組みの有効性をどう確認するか。この枠組みには貿易の円滑化、デジタル貿易、サプライチェーンとグリーン・テクノロジー、労働基準、インフラ、低炭素といった要素が盛り込まれているが、それをどう実現するのか、参入措置や具体的道筋はどうなるのか。日本だけでなく、東南アジアの一部の国々も、米国のこの動きが内政に対処するための場当たり的な思い付きではないかと懸念している。(提供/人民網日本語版・編集/NA)

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