中国式「統一戦線」とはどのような仕組みなのか―理論研究の専門家が解説

中国新聞社    2022年2月8日(火) 18時40分

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中国では政治や社会の安定や団結などを語る際に、しばしば「統一戦線」という言葉が使われる。そして中国では、西側諸国では中国式の「統一戦線」が理解されていないとの声が強い。

中国では政治や社会の安定や団結などを語る際に、しばしば「統一戦線」という言葉が使われる。そして中国では、西側諸国では中国式の「統一戦線」が理解されていないとの声が強い。中国統一戦線理論研究会統一戦線基礎理論上海基地の副秘書長なども務める復旦大学マルクス主義学院の肖存良副院長は、このほど中国メディアの中国新聞社の取材に応じて、中国の「統一戦線」について解説した。以下は肖副院長の言葉に若干の説明内容を追加するなどで再構成したものだ。

■現代国家の大きな課題は、国家の一体性と整合性を保つこと

現代社会では分化が進行しており、必然的に多元化という現象が出現している。一方で、現代国家は分化した社会を統合し、国家全体の一体性と整合性を保たねばならない。西側国家の基本は国内の諸勢力や諸権力の分立であり、この分立により巨大な遠心力が発生する。この遠心力のために、国家の一体性と整合性を維持することには大きな困難が生じる。

中国の政治において、統一戦線は社会の整合性を実現する重要な方式だ。統一戦線は中国共産党を中心とする政治の同心円として構築される。社会における共産党以外の政治の力を共産党の周囲に凝縮させる方法だ。共産党以外の勢力は共産党の指導を受ける一方で、自らの相対的な独立性を維持し、自らの発展の規律に従って独立して発展する。

中国共産党は21世紀になってから、統一戦線が推進する「調和させる五つの関係」を明示した。すなわち、政党関係、民族関係、宗教関係、階層関係、さらに海外同胞との関係だ。

■本質的に統一戦線を形成できない西側国家、中国の発展を目にして焦燥

一部の西側国家では、ある政党が選挙に勝利すれば与党となり、敗北すれば野党になることを繰り返している。従って、中国共産党のように長期にわたり統一戦線を維持してきたわけではない。西側諸国の政党も協議や協力をすることがあるが、厳密な意味での統一戦線ではない。

西側国家の政党に統一戦線を形成する機能は備わっていない。そのため、中国の統一戦線方式については、極端な見方が存在する。まず西側国家では長らく、統一戦線は中国共産党の「自己満足」であり、中国共産党による内部統制の手段と見られてきた。

そして2008年に世界的な金融危機が勃発して以来、西側国家は中国の経済や社会の急発展に焦燥を感じるようになった。そして、中国共産党による統一戦線の推進、特に海外での推進を自国の安全上の脅威とみなし、悪意ある攻撃を加えるようになった。

■かつては中国の統一戦線を正しく理解したが、現状ではほぼ不可能

中国共産党は1935年、抗日戦を戦うために内戦を停止して、社会のあらゆる勢力が結集して日本軍と戦うべきという、抗日民族統一戦線の提案を行った。そして1936年12月の西安事件を転機に、翌1937年の第二次国共合作が成立した。多くの西側のジャーナリストや政府関係者が、この時期には中国の「統一戦線」を比較的客観的に理解し、報じていた。中国共産党が抗日民族統一戦線の旗印を高く掲げて日本による侵略と戦っていることは、歴史的事実と理解された。

そして西側研究者は中華人民共和国が成立して以降、特に改革開放の開始後は、中国共産党による統一戦線を次々に研究するようになった。それは、中国共産党史や中国近現代史の視点による学術研究だった。

一方で、西側国家や西側のメディアは、中国の統一戦線について事情をよくしらず、現在は中国の国力が日増しに強まっていることを焦ってもいる。従って、西側が早期に、イデオロギーの偏見を捨て、中国の統一戦線の仕事に対して正しい見方をすることは、ありえない。(構成 / 如月隼人

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