中国の製薬会社17社、環境保護法違反で1億円の罰金処分

内藤 康行    2021年12月24日(金) 7時20分

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中国の製薬会社17社が環境保護法違反で560万円余りの罰金処分を受けた。資料写真。

製薬業界の急成長の間で、環境保護は常に中国の化学原料医薬品製造業界の頭上にある「ダモクセスの剣」(常に身に迫る一触即発の危機な状態を指すギリシャ説話)である。

中国の製薬産業の主要な構成要素として、化学原料は国の重点汚染産業の一つとしてリストされており、国の省エネと排出削減の重要な焦点となっている。

業界構造の絶え間ない変化とより厳格な監督により、環境保護戦略を事前に計画し、グリーン生産を達成する製薬会社のみが、より安定した利益を生み出し、政策の影響を受けにくくなる。一方で、グリーン環境保護理念は資本市場で重視されており、より厳格で強制的な環境情報開示要求が加速し、それによって上場企業に情報開示義務の履行を促し、主導的に環境保護の責任を果たすとしている。ある統計によると、2021年に17社の製薬会社が環境保護違反で処罰され、560万元余り(約1億円)の罰金処分を受けた。そのうち東北製薬は8件の罰金チケットを切られ、2件の製薬会社は危険廃棄物処理資格のない会社/個人で処分し、8件の製薬会社は廃ガスと廃水を排出し、3件の製薬企業が検収未取得の環境保護施設で生産していた。

1.東北製薬:8件の環境保護違反で63万元(約1121万円)の罰金。さらに衝撃的なのは、東北製薬の汚染問題が継続的に起こっており、深刻化している。昨年は4件の環境保護違反で罰金を科され、今年の罰金は2倍となった。

東北製薬の前身は、1946年に設立された東北製薬総厰で、主に10シリーズのビタミンシ剤、抗感染症剤、産婦人系用剤を生産している。400以上の化学原料薬と医薬品中間体と製剤を生産している。

2.凱恵製薬:300トンの危険廃棄物を個人に処分を委託し、80万元(約1424万円)の罰金。

3.江西三元薬業:240トンの危険廃棄物処理資格のない企業に処分を委託し、30万元(約534万円)の罰金を受け、同社の元総経理は懲役10カ月の刑と罰金2万元(約35万円)を言い渡された。

4.濰坊某医薬科技:有機性廃ガスの排出基準超過により69万600元(約1229万円)の罰金。

5.藍幌医療:規制による汚染防止施設を設置せず廃ガスを発生させ、8万8000元(約156万円)の罰金。なお、同社は中国最大手の保護手袋のメーカである。

6.湖北瑞華製薬:大気汚染物質の排出で8万4000元(約149万円)の罰金。湖北省の生態環境主管部門は、企業(製鉄、建材、非鉄金属、石油、化学工業、製薬、鉱山開発など)に対し集中収集処理、密閉、粉塵、クリーン、散水などの汚染防止措置、コントロールと大気汚染防止対策を怠った場合、2万元(約35万円)以上、20万元(約356万円)以下の罰金を科すとし、対策措置の改正を拒否した場合は生産を停止するとしている。

7.新華製薬(寿光):アンモニアタンク排気管の維持管理不備で漏れを引き起こし、6万5000元(約115万円)の罰金。

8.貴州天豪民族薬業は、生産廃水の直接排出で48万元(約854万円)の罰金。担当者が拘束された。同社は、これまで関係部門との検査協力を繰り返し拒否し、環境保護に対する深刻な意識欠乏であると当局が指摘。同社は生産による廃水を河川に排出させ、深刻な水汚染を引き起こした。

貴州天豪民族薬業は、2010年7月に設立された民間企業で、茶葉、イタドリなどの生物資源を加工する企業だ。同社は、薬材栽培、一次加工、販売、技術開発、医薬中間体の研究開発、製造、販売、消毒製品の研究開発、製造、販売を主業務としている。

9.天利薬用添加剤:都市汚水管網に廃水を排出し、43万5000元(約774万円)の罰金。「水質汚染防止管理法」違反として、済寧市生態環境局は曲阜天利に違法行為の是正と43万7500元(約779万円)の罰金を科した。

10.楽威医薬(江蘇)は、基準値を超えた廃水を排出し24万元(約427万円)の罰金。

11.華高バイオ:製品原液貯蔵タンク漏れで水質汚染、19万3400元(約344万円)の罰金。

12.江蘇誠信薬業:未検収の環境保護施設で生産し、53万元(約943万円)の罰金。同社は1997年に設立され、2011年10月に深セン証券取引所に上場。医薬品原料の製造を基盤に、ヘルスケア製品およびスポーツ栄養製品の製造業界における新星として成長していた。

13.天宇有限公司:未検収の環境保護施設の生産で49万元(約872万円)の罰金。

14.仙居圃瑞:未検収の環境保護施設の生産で、20万3000元(約361万円)の罰金、21年8月に生産を停止。

15.南京新百薬業:「固形廃棄物汚染防止整備法」に違反し、16万元(約284万円)の罰金。南京新百薬業の前身は南京生化学製薬工場で、1958年に設立。主業務は凍結乾燥粉末注射と小容量注射剤。博雅バイオ製薬集団の全額出資子会社。

16.済寧中再生華恵医薬科技:工場内に危険廃棄物を不法保管し15万元(約267万円)の罰金。

17.海翔川南薬業:環境保護違反で10万2000元(約181万円)の罰金。

■筆者プロフィール:内藤 康行

1950年生まれ。横浜在住。中学生時代、図書館で「西遊記」を読後、中国に興味を持ち、台湾で中国語を学ぶ。以来40年近く中国との関わりを持ち現在に至る。中国の環境全般と環境(水、大気、土壌)に関わるビジネスを専門とするコンサルタント、中国環境事情リサーチャーとして情報を発信している。著書に「中国水ビジネス市場における水ビジネスメジャーの現状」(用水と廃水2016・9)、「中国水ビジネス産業の現状と今後の方向性」(用水と廃水2016・3)、「中国の農村汚染の現状と対策」(CWR定期レポ)など。

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