〈私が見た新疆ウイグル自治区6〉新疆生産建設兵団とは?

小島康誉    2021年12月11日(土) 16時20分

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新疆生産建設兵団の第8師団石河子市政府での講演を終えて、代表者らと。筆者左の孔多孜・玉素甫氏は後に駐日本中国大使館参事官(撮影:楊新才氏)。

レコチャの愛読者なら中国ネットで新型コロナなどを検索された方も少なくないだろう。そのような時に「自治区や直轄市をふくむ31省と新疆生産建設兵団の報告では…」と兵団が省などと併記されている点に注目されたであろう。そこで新疆を語るうえで欠くことのできない新疆生産建設兵団について、「百度百科」などを参考にしつつ記したい。

1949年人民解放軍による国民党政府から新疆平和解放後、各地の経済負担を軽減するため1950年から解放軍は食糧等の自給体制へ入った。1953年解放軍第16師団が新疆軍区農業建設第5師団、第5師団が新疆軍区農業建設第1師団、第17師団が新疆軍区農業建設第6師団となり、開墾と辺境防衛の任務を命じられた。1954年10月、中央政府は新疆駐屯の解放軍第2軍・第6軍の大半・第22兵団を国防部隊より切り離し、「中国人民解放軍新疆軍区生産建設兵団」を成立させた。労働と軍事力を結合し、辺境の地である新疆を開発することを使命とした。いわば屯田兵である。


「新疆軍区生産建設兵団成立命令」パネル(兵団軍墾博物館にて撮影:筆者)

当時の兵団人口は家族などをふくめ17.55万人。それ以降も新疆各地の土漠開拓に奮闘し、1966年には148.54万まで拡大した。1975年「中国人民解放軍新疆軍区生産建設兵団」は文化大革命の影響をうけ廃止されたが、1981年12月、王震兵団初代政治委員の提案により「新疆生産建設兵団」として新たなスタートをきった。地方政府への納税義務などを明確にするため、第8師団が石河子市政府そのものとなった例にならい各師団がその地に順次「市」を創設し「師市合一」(師団と市が一体)体制となった。石河子市以外にも阿拉尓市・鉄門関市・五家渠市・北屯市・崑玉市・新星市など新疆各地に及び大きな影響力を有している。企業活動は「中国新建集団公司」として展開し、農業・綿花・牧畜などの第一次産業、石炭・石油・機械生産などの第二次産業、各種小売・不動産・観光業などの第三次産業まで約4500社に及ぶ巨大複合企業であり、海外にも進出している。石河子大学・塔里木大学など教育機関も経営している。

中央政府と新疆ウイグル自治区の両者の指揮下にあり、総本部は石河子市に置かれていたが現在はウルムチ市に所在。自治区党書記が兵団第一政治委員、自治区党副書記が兵団政治委員・兵団党書記・中国新建集団公司董事長を務める。2019年経済規模総額は2747億元(約4兆9000億円)。19年末の総人口は324.84万人、漢族が大半を占め、ウイグル・カザフ・回・キルギス・モンゴル・タジク族など37民族。

筆者は1995年新疆生産建設兵団の金雲輝司令や新疆政府の鉄木尓・達瓦買提主席らを日本へ招聘し、平山郁夫日中友好協会長や奈良県知事・総合商社を紹介したこともある。また2009年6月、新疆生産建設兵団の第8師団石河子市政府で講演した際、兵団軍墾博物館の展示品をPPTで映しながら「私は軍墾博物館を2回参観した。展示品の数々から灼熱極寒の地での原野開拓の苦闘を知っている。皆さんの両親は大変苦労された。皆さんは大変幸せだ」と拙い中国語で語った。百人近い参加者はすすり泣かれ、つられて筆者も涙が滲んだことを今も覚えている。


開墾の苦闘を物語る外套(兵団軍墾博物館にて撮影:筆者)

この時は新疆政府外事弁公室と15都市を巡り改革開放で大発展した新疆各地を映像で紹介するプロジェクトであったが、8都市終了した時点で急遽切り上げられ帰国した7月5日、ウルムチで暴動が発生した。2015年には石河子大学で講演した。なお人民解放軍による国民党政府からの新疆平和解放に興味おありの方は王恩茂著『王恩茂日記』(中央文献出版社)日本語版全5巻(孫宗明ほか訳・アイアドプラス・1996・非売品・国会図書館・大学図書館など所蔵)を参照ください。

■筆者プロフィール:小島康誉 1942年名古屋市生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、日中理解実践家。66年宝石専門店を起業し上場企業に育て上げ、96年創業30周年を機に退任。1982年より中国新疆を150回以上訪問し、世界的文化遺産保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授を歴任し現在、佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府文化顧問。編著『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』など。日本「外務大臣表彰」・中国文化部「文化交流貢献賞」・中国人民対外友好協会「人民友好使者」ほか受賞多数。 ブログ「国献男子ほんわか日記」 書籍はこちら(amazon)

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