世界初の重工業「ライトハウス」とはどんなものか?―中国メディア

人民網日本語版    2021年10月12日(火) 14時50分

拡大

「ライトハウス」とは「世界で最も先進的な工場」に与えられる名誉な称号であり、現在のグローバル製造業分野のスマート製造とデジタル化の最高レベルを示すものだ。

「今ご覧になった工場は全部で4万平方メートルあり、昨年の付加価値額は78億元(約1326億円)に達したが、技術者は380人しかおらず、1平方メートルあたり年間20万元(約340万円)近くの付加価値を生み出している」。北京市昌平区南口産業園にある三一重工の北京パイルドライバ工場で関係者は取材に、「この工場にはフレキシブルワークセンターが8カ所、自動化された製造ラインが16本、IoT(モノのインターネット)化された製造設備が375台あり、そのうち150台はロボットだ」と説明した。工人日報が伝えた。

世界経済フォーラム(WEF)が9月27日に発表したグローバル製造業分野における「ライトハウス」の新たなリストに、三一重工のこの工場が選ばれ、世界の重工業分野で初めて認証を取得した「ライトハウス」になった。「ライトハウス」とは「世界で最も先進的な工場」に与えられる名誉な称号であり、現在のグローバル製造業分野のスマート製造とデジタル化の最高レベルを示すものだ。

■工場に「スマートブレイン」

パイルドライバは大型設備であり、その製造モデルは典型的な断続型/組立型製造であり、多くの種類を、少ないロットで製造し、工程は複雑だ。製造過程では、加工部品の複雑さ、大きさ、重さ、長さがより大きな挑戦となって立ちはだかり、170種類を超えるドリルパイプのうち、最も長いものは27メートルあって重さは8トンに達する。

同工場の現在の様子を眺めると、ロボットが勢いよく作業を進め、ボーリング機械1台なら7日間で引き渡しが可能で、1カ月あたりの製造能力は300台に達する。樹根互聯股份有限公司のインダストリアル・インターネット・プラットフォームをベースに、生産製造要素がすべて連携し、工場全体がインターネット、ビッグデータ、人工知能(AI)の深く融合した「スマート構造体」になっている。

ところが、2年前はこんな様子ではなかった。当時の同工場は鼻をつく溶接作業の匂いや機械が発する轟音に包まれ、800人を超える作業員が毎日々々上を下へと動き回り、全身油まみれになりながら働いていた。それでも月間製造能力は150台にとどまり、引き渡しまで30日もかかっていた。

■4倍速の製造の変革をどうやって実現?

最初に、同工場には「スマートブレイン」となるFCC、すなわち工場コントロールセンターが置かれた。これは工場全体のスマート製造の中核でもある。FCCを通じて、受注を各フレキシブル製造ラインに迅速に振り分け、各作業ブロック、各設備、各作業員が受注から引き渡しまで全フローに及ぶデータ駆動を実現した。データプロセスに沿って、製品自身が製造の全プロセスと細部を「理解」できるようになった。

スマート物流が実現して、製品はスマート貨物搬送の「高速の足」に当たる無人搬送車(AGV)に引き渡しされる。

「ブレーン」が任務を効率よく仕分けし、スマート工場の「両手」も歩調を合わせ高速で動き回る。工場では、5G+AR(拡張現実)デバイスによる「人と機械の協働」技術が幅広く応用されている。材料の仕分け、ピンの組立などこれまで大変だった作業、危険な作業を人が行わなくてよくなり、すべてを機械が効率よく行うようになった。バックグラウンドでは、「樹根の(ワンストップ式インダストリアル・インターネット・オペレーションシステム)プラットフォーム」が昼夜を問わず稼働し、工場に3600カ所以上あるデータ収集地点で収集した工業ビッグデータに基づき、すべての工程、すべてのモデル、さらにはカッター1本に至るまで最良のパラメータを参照し、製造リズムを最適化している。

■匠の経験をパラメータ化

三一重工スマート製造研究院の董明楷(ドン・ミンカイ)院長の話を借りれば、「現在のパイルドライバ工場は賢い頭脳を持ち、目と手が素早く動くエンジニアのようなもので、匠の精神と経験のパラメータ化、ソフトウェア化を実現した」。言い換えれば、強大な人と機械との協働を通じて、ロボットのAIが熟練工の技能・手法を学んで習得するようにし、匠の経験をパラメータ化するということだ。

たとえば溶接の場合、従来の工場には400人を超える溶接工がいて、そのうち2人が「重点保護対象」だった。というのも、その2人にしか溶接できない継ぎ目があったからだ。製造任務の繁忙期には、その2人は工場全体の運営に影響が出ないよう、残業を余儀なくされていた。今ではロボットが彼らの作業をパラメータ化し、匠が機械にエネルギーを注入し、機械が人間に取って代わり、溶接工程の生産能力が数十倍も増加した。経験を積んだ匠の技術も、機械を通じて継承できるようになった。

「ライトハウスと従来の工場を比べた場合、作業員の技能に対する新たな要求はあるか」との質問に対し、三一集団の取締役兼シニア副総裁の代晴華(ダイ・チンホア)氏は、「昨年にライトハウスを建設した時、私たちは非常に大きな研修計画をスタートし、作業員も現場スタッフも全員がロボット操作による作業を学ぶことになっている。そのため湖南省長沙市にある三一工場学院にロボット研修拠点を設立した」と答えた。

作業員がロボット操作を学ぶよう奨励するため、企業側は関連の措置を打ち出し、ロボットによる作業をマスターすると、1万元(約17万円)の奨励金を支給するだけでなく、賃金の等級も1段階引き上げるとし、これにより作業員のロボット学習意欲が大いに高まった。作業員の技能学習への情熱によってスマート工場全体の作業レベルが大幅に向上し、作業員自身のキャリアの道もさらに大きく開けた。代氏は、「私たちのロボットを操作できる人材が引き抜かれ、新たな力として社会に貢献することもある」と述べた。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携