アップルを超えスマホ世界シェア2位のシャオミ、創業者・雷軍はジョブズ超えを目指す?

高野悠介    2021年8月25日(水) 20時40分

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シャオミは2021年第2四半期の世界シェアでアップルを抜き、世界2位へ躍り出た。さらに創業者・雷軍は自動車産業への進出を表明、独自のIOTシステム完成を目指す。写真は雷軍。

シャオミは、2021年第2四半期の世界シェアでアップルを抜き、世界2位へ躍り出た。さらに創業者・雷軍は自動車産業への進出を表明、独自のIOTシステム完成を目指す。実現への道のりは、どこまで開けているのだろうか。

■スマホ世界2位へ躍進

2021年第2四半期の世界シェアと前年比は、下記の通り。

サムスン 18.2% 5.4%増 シャオミ 16.8% 85.3%増 アップル 15.1% 15.3%増 OPPO 10.6% 31.7%増 VIVO 10.0% 26.0%増

シャオミは上位社のどこよりも売り上げを伸ばし、世界2位へ躍進した。さらに5Gスマホに限ればシェアは25.7%で世界1位、またヨーロッパ市場で1位、東南アジア市場1位、7月の単月なら1位と、景気のいい話題が続いている。日本市場でも、auから日本限定5Gモデルを発売するなど浸透を加速させている。中国のアナリストは、ハイエンドからローエンドまで“出色”の品揃えが成功と分析、創業者・雷軍は、IOT戦略の勝利と自賛した。シャオミ発展の原動力は、雷軍の強力なリーダーシップにある。

■シャオミ…まだ設立10年

雷軍は1969年、武漢都市圏の西方に位置する湖北省・仙桃市に生まれた。地元の武漢大学計算機系に進学し、2年間で必要単位をほぼ取得してしまう。そして4年生のとき、同級生たちと最初の起業を行っている。その後1992年、日本でもKingsoft Officeで知られる「金山軟件」に入社する。2007年まで16年間働き、最後にはCEOを務めている。

その後、エンジェル投資などを行っていたが、iPhoneの登場に強い衝撃を受け、スマートフォン製造を決意する。グーグル、モトローラ、マイクロソフト、金山軟件などから人材を集め、2010年3月、「小米科技」を設立した。そして翌2011年8月、アンドロイドをカスタマイズしたオペレーティングシステム「MIUI」搭載の独自ブランド「小米手機」を発売する。シャープなど一流メーカーの部品を使いながら、低価格に抑え、たちまち大ヒットした。さらに2013年、799元(約1万3500円)で発売した「紅米手機」は、ローエンドを代表する機種となり、スマホの国民的普及に大きく貢献した。

オンラインのみの販売、利潤は5%でよいなど独自ポリシーも功を奏し、わずか3年でスマホシェア中国1位、世界3位の大企業に急成長した。

■中国の“隣のいい子”

雷軍(レイ・ジュン)は故スティ―ブ・ジョブズにあこがれ、ジョブズをもじり、雷布斯(レイブス)と呼ばれるほど傾倒している。製品発表会はジョブズの黒Tシャツにジーンズのスタイルをなぞり、中国のモノマネ経営者と揶揄された。

これまで中国IT界の象徴は、アリババジャック・マー氏だった。孫正義氏を始め、多くの人物を魅了し、強力なリーダーシップで中国DXをけん引した。しかし彼は、高考(大学入試)数学0点エピソードで知られる通り、理科系ではない。

一方の雷軍は、プログラマー出身、今風の理科系経営者である。さわやかな風貌と、賢明、勤勉、従順、正直などの美点を持った、いわば“隣のいい子”である。今でも夢多き少年イメージを保持し、シャオミの製品は嫌いでも、雷軍は好きという人は多い。

創業以来まだ10年にすぎないが、経営危機は何度かあった。売り上げが激減、あわててオフライン店網の整備に走った。また2018年の株式上場では、公募価格を下回り、大いに慌てた。昨年は米国の制裁対象にもなった。人々はそうした浮き沈みをよく理解し、それらの記憶も含め、つい応援したくなる。

■ジョブズ超えへ期待高まる

それが今、かつてのジャック・マー氏に匹敵する注目を集めている。スマホ世界2位の勢いプラス、自動車生産“造車”進出の影響も大きい。

シャオミは2013年からIOT家電の生産に乗り出していた。すでにフルラインナップに近い。そして2021年3月末、EV、電気自動車への参入を表明した。雷軍は新設するEV生産子会社のCEOに就き、“造車”の陣頭指揮を執る。彼は、これがIOTシステム構築のラストピースであり、企業家人生最後の挑戦と宣言した。

中国では、異業種による自動車進出が相次ぎ、これには疑問を呈する向きも少なくない。一足先に進出した不動産大手・恒大は、新車をリリースすることもなく、事業売却を迫られている。しかしことシャオミに関しては、おおむね好意的な反応で、むしろ期待は高まっている。シャオミEV子会社の本社はどこか。北京、上海、広州、南京、合肥などの名が上がり、メディアは連日盛り上がっている。

そんなムードの2021年8月上旬、SNS「微博」では、「♯雷軍スピーチ」、が10億回も閲覧された。新製品発表会を兼ねた年度講演である。内容は、スマホハイエンド市場の取り組み、新規デバイスの紹介、世界一へのビジョンなどが中心で、自動車とIOTへの言及はなかった。また改めて場を設けるということだろう。

直近では恒大EV子会社の売却先としても名が上がった。とにかく10億サポーターの期待を背に受け、政府によるIT企業締め付けも、今のところ受けていない。恵まれた環境下にある。こうした中、雷軍はシェア以外でも師匠ジョブズに追い付き、先端IOTシステムという新たな伝説を作ることができるのだろうか。当面シャオミから目が離せない。

■筆者プロフィール:高野悠介 1956年生まれ、早稲田大学教育学部卒。ユニー株(現パンパシフィック)青島事務所長、上海事務所長を歴任、中国貿易の経験は四半世紀以上。現在は中国人妻と愛知県駐在。最先端のOMO、共同購入、ライブEコマースなど、中国最新のB2Cビジネスと中国人家族について、ディ-プな情報を提供。 著書 2001年「繊維王国上海」東京図書出版会 2004年「新・繊維王国青島」東京図書出版会 2007年「中国の人々の中で」新風舎 2014年「中国の一族の中で」Amazon Kindle

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