<検証=新疆ウイグル>偏見に基づく事実無根の“ジェノサイド”論―村田横浜国大名誉教授

Record China    2021年8月18日(水) 19時30分

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村田忠禧・横浜国大名誉教授が「新疆ウイグル論を検証する―“ジェノサイド”論批判」と題して講演。いずれの論考も「中国の現実についての無関心と偏見に基づき事実無根である」と強調した。

国際アジア共同体学会が主催する日中シンポジウムがこのほど東京の国会議員会館で開催され村田忠禧・横浜国立大学名誉教授が「新疆ウイグル論を検証する―“ジェノサイド”論批判」と題して講演した。新疆問題について、欧米では「ジェノサイド論」、日本では「人権抑圧論」が主流を占めていると指摘。「過去の戦争犯罪に対する理解の違いを反映しているのかもしれないが、両者には共通する点がある。それはいずれも中国の現実についての無関心と偏見に基づく事実無根の中国非難である」と強調した。

1、最近発表された「新疆各民族の平等な権利の保障」白書

中国側は7月14日に国務院新聞辦公室が「新疆各民族の平等な権利の保障」白書を発表した。中国語原文で12,764字にもなる長文である。「公民の権利」、「政治的権利」、「経済的権利」、「文化的権利」、「社会的権利」、「女性と児童の権利」、「宗教信仰の自由の権利」の保障について紹介している。以下にそのなかの抜粋である。

「公民の権利」の保障では「生存権」(原文は「生命権」)について「しばらくの間、国際情勢の変化やテロ、過激主義の世界的な広がりを受けて、国内外の「東突」(ETIM)勢力は互いに結託し、民族的、宗教的な看板を掲げて、大衆の素朴な民族、宗教感情を利用し、宗教過激思想を大々的に流布し、民族憎悪と民族差別を扇動し、暴力を鼓吹し、数千件の暴力テロ事件を計画・実施し、大量の無辜の大衆が被害を受け、数百人の人民警察が殉職し、新疆各民族大衆の生命と安全に深刻な危害を及ぼし、人類の尊厳を踏みにじった。

厳しく複雑なテロ対策の情勢と各民族大衆のテロ対策の差し迫った要求に直面して、新疆は『憲法』及び 関連する中央及び地方の法規に基づき、地域の実情に合わせて、『新疆ウイグル自治区<中華人民共和国反テロリズム法>実施弁法』『新疆ウイグル自治区脱過激化条例』などの地方的法規を公布し、公民の人権を侵害し、公共の安全に危害を及ぼすすべての暴力テロ活動、過激主義を利用して法律の実施を破壊する違法犯罪活動に対して、法に基づき厳しく取り締まった。根源から治めることを重視し、職業技能教育訓練センターの設立などの方式を通じて、予防的反テロを展開し、公民の基本的人権をテロリズムと過激主義の侵害から最大限守り抜いている。2016年末以来、新疆では4年以上連続して暴力テロ事案(事件)は発生しておらず、過激主義の浸透が効果的に抑制され、各民族大衆の生存権が十分に保障されている。

2、中国の民族区域自治制度を理解すること

1984年5月に採択され、2001年2月に修正された「中華人民共和国民族区域自治法」は中国の民族区域自治制度を理解するうえの基本的文献である。以下にその第12条を紹介する。

「中華人民共和国民族区域自治法12条」

少数民族の聚居している地方では、その地域の民族関係、経済発展等の条件に基づいて、また歴史的状況を参考にして、一つあるいはいくつかの少数民族の聚居地区を基礎にした自治地方を樹立することができる。

民族自治地方内でその他の少数民族が聚居している地方では、それに対応する民族地方あるいは民族郷を樹立することができる。

民族自治地方はその地方の実際状況に応じて、漢族あるいは他の民族の居住区と郷鎮を包括することができる。

自治区は省に相当、自治州は省と県との間の行政単位、自治県は末端の行政単位組織、これより下に自治組織として自治郷がある。 以下に具体例を示す。

新疆ウイグル自治区、 寧夏回族自治区

新疆ウイグル自治区昌吉回族自治州、吉林省延辺朝鮮族自治州、 四川省阿壩藏族羌族自治州

新疆ウイグル自治区昌吉回族自治州木壘カザフ自治県、遼寧省本溪満族自治県

3、中国各民族の選挙権と自治区の立法権――新疆の実例を中心に

憲法法律の規定に基づき、各民族公民は選挙権と被選挙権を平等に享有する。選挙は普遍、平等、直接選挙と間接選挙の結合、および差額選挙の原則を堅持する。各民族公民は県(市、区)、郷(鎮)人民代表大会の代表を直接選挙し、これを踏まえて州(市)、自治区、全国人民代表大会の代表を段階的に選出する。

新疆ウイグル自治区は第13期全国人民代表大会の代表61名を選出、そのうち少数民族の代表は38名、62.3%を占めた。全国人民代表大会常務委員会の構成員の中には新疆の少数民族代表がいる。新疆ウイグル自治区第13期人民代表大会の代表は548名、そのうち少数民族の代表は353名で、64.42%を占めている。

新疆の現在の州(市)人民代表大会代表は2,488名で、その中で少数民族代表は1349名で、54%を占めている、県(市、区)級人民代表大会代表は16,960名で、その中で少数民族代表は10,025名で、59%;郷(鎮)人民代表大会代表は43,204名で、その中で少数民族代表は31,739名で、73%を占めている。

新疆は中国で唯一、三級自治地方(自治区、自治州、自治県)を設けている自治区である。自治区主席、自治州知事、自治県県長はいずれも区域自治を実行する民族の公民が担当する。協商民主の制度的枠組みの中で、新疆の各級政協は各民族各界の人士の参政・議政を積極的に取り入れ、社会情勢・民意を適時、正確、効果的に反映し、各民族大衆が共同協商と民主的監督に参与することを確実に保障している。第13期全国政治協商会議委員のうち、新疆に住んでいるのは34名で、そのうち少数民族委員は18名で、52%を占めている。新疆ウイグル自治区第12期政治協商会議には502名の委員がおり、そのうち少数民族の委員は236名で、47%を占めている。

自治区の立法機関は憲法と法律に基づき、普通の省級行政区の地方立法権を享有するだけでなく、当該区域の実際に基づいて自治条例、単行条例を制定する立法権も享有する。1979年以来、自治区人民代表大会とその常務委員会は合計669件の地方性法規を制定し、現在有効なものは161件である。法律性決議決定と重要事項決議決定54件を行った。区を設ける市、自治州、自治県の単行条例と地方性法規を239件認可した。

4、中国の民族政策から学ぶべき点は多くある

中国は56の民族から成り立つ多民族国家であり、漢民族の比率は10年前より若干減少しているが、それでも2020年の人口センサスの結果では91.1%と圧倒的である。省クラスの自治区は5あるが、西蔵と新疆以外は漢族の数が一位を占める。もし人間を均質なものとみなし、単純な多数決原理でものごとを決定していけば、少数民族の意見は常に無視されてしまうであろう。

55ある少数民族でも1000万人を超す民族が4つある一方、1万人に達しない民族が7つもある。それぞれの民族が言語、宗教、歴史、文化などを異にしている。同時に、長い歴史の流れのなかで民族間の交流・雑居・融合も進んでいる。しかも多くの少数民族は自然環境の厳しい辺境に居住しており、貧困からの脱却は多くの少数民族にとって長年の夢であった。環境破壊を伴わない開発で産業振興という難題と取り組んでいる。

共に豊かになることが社会主義の目的である。19の省と市が2010年より始めた新疆への「対口支援」活動により、第1次産業しかなかった新疆に、第2次産業、第3次産業が育ちつつある。「一帯一路」構想の進展で新疆は中央アジアへの最前線になりつつある。 アメリカの「ジェノサイド論」の狙いはこれを打ち砕くことにある。しかし、それは徒労に終わるだろう。(主筆・八牧浩行

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