日本でブーム巻き起こした台湾パイナップル、あれからどうなった?―独メディア

Record China    2021年8月16日(月) 8時0分

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ドイツメディアのドイチェ・ヴェレは12日、台湾パイナップルをめぐる騒動と今後について報じた。

ドイツメディアのドイチェ・ヴェレは12日、台湾パイナップルをめぐる騒動と今後について報じた。

中国は台湾産のパイナップルから害虫が検出されたとして、今年3月1日から禁輸措置を取った。台湾は中国による「経済制裁」との見方を示し、日本や豪州などへの販路拡大に動いてきた。日本のスーパーでは品薄になるなど、一時的に「台湾パイナップルブーム」が起きた。

台湾農業委員会の上半期のデータによると、中国が台湾パイナップルの輸入を禁止してから4カ月の日本への出荷量は1万6556トンに急増。前年比で8倍以上になり、「日本が中国に代わって台湾パイナップル最大の輸出市場になった」という。農業に詳しく「果物政治学」の著者でもある作家の焦鈞氏は7月にSNSの投稿でこのデータに言及。「日本市場が大きく成長したことが、中国の輸入禁止によるショックを軽減した」との見方を示した。

焦氏によると、生産期間が長く生産量の多い「金鑽パイナップル」が中国の輸入禁止の衝撃を乗り越えたほか、「ミルクパイナップル」も甘みが強く長時間の保存に耐えられないという問題を解決して、引き続き日本に輸出されている。ある台湾の農家は「日本は農産物の輸入に慎重。最初の1カ月はサンプルを空輸して品質を確認、その後、熟成度とコンテナの温度を管理するよう求められた。日本で販売するにはすべてのステップで成功する必要がある」と語っていたという。

焦氏は今回の「成果」は、政治的な考えや人情などによる短期的なものではなく、日本の販売店が実際に商品が良く売れたことでもうかったことに基づくものだと指摘。一方で、こうした市場をいかに維持するかが大切だと強調し、老朽化した集荷場の改善などに投資するほか、一つの市場に依存する状況を変えていかなければならないとした。

また、地政学的に見た場合、「もし中国が台湾の民進党政権に打撃を与えようとしたのであれば、『因小失大』(小さな利益にこだわり大きな損失を招くこと)になったかもしれない」と指摘。3月の輸入禁止令はむしろ台湾と日本の関係をより緊密にする活性剤になった可能性があるとし、ここ数カ月間、日本が台湾の安全保障問題で中国に対して強気の姿勢に出ていることを挙げた。

ただ、日本市場が中国市場に取って代わることはやはり難しいとも指摘する。ドイチェ・ヴェレが台湾の農業統計を調べたところ、21年3~6月の台湾のパイナップル輸出総量は前年の3万7225トンから2万3459トンへと約37%減少、売上高も4453万5000ドルから2942万8000ドルへと約34%減少した。日本での販売量が大幅に増加したものの、中国市場での損失は賄い切れなかった。

焦氏は「日本市場が中国市場に追いつくすべはない」としながらも、(中国市場への)依存度はかつての9割から大幅に低下したと評価。ただ、パイナップルの成功は必ずしも再現できるものではないとし、「原因は日本への果物販売に制限があること。日本市場で売れるのはマンゴーか、冬の柑橘類くらい」とした。パイナップルは「因縁」で成功したものの、この輸出力を維持するためには継続的な観察が必要との考えを示した。(翻訳・編集/北田

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