「素晴らしい作品をありがとう」放火事件から2年、中国の人気楽団が京アニに伝えたいこと

Record China    2021年7月19日(月) 12時40分

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京都アニメーションの放火事件から2年が経過した。中国初のアニメ、コミック、ゲーム音楽を専門に演奏する「帝玖管弦楽団」に事件や京アニへの想い、今後の活動について聞いた。写真は帝玖管弦楽団提供。

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36人が犠牲となった京都アニメーション(京アニ)の放火事件から18日で2年となった。未曽有の放火事件に心を痛めたのは日本人だけではなく、当時、世界じゅうのアニメファンから哀悼の声が集まった。中国初のアニメ、コミック、ゲーム(ACG)音楽を専門に演奏する「帝玖管弦楽団」もその一つだ。事件が発生した週にリハーサル予定だったのが、奇しくも京アニ作品の2曲だった。メンバーからは「演奏中に涙が出てしまうから」と楽曲の変更が提案されたが、話し合った結果、予定していた2曲を演奏して事件の犠牲者に捧げることにした。

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今回は楽団で指揮を務める弦上さんに、放火事件、そして京アニに対する想いを改めてうかがった。また、日本でも人気が高まりつつある同楽団の活動についても聞いた。

――京アニ放火事件から7月18日で2年になりました。事件について思うことを改めて聞かせてください。

あの事件については今でもまだ受け入れがたいです。世界じゅうのアニメファンにとっての災難、魂が地震に遭ったようなものだと思います。あれから2年、私たちファンとしては、被害に遭われた方々と遺族の方々の心が再び平穏になり、前進して行けることを願うばかりです。

――事件の後、京アニのために行ったこと、京アニにまつわるエピソードがあれば教えてください。

私は個人の名義で京アニに募金をしました。また、「氷菓」や「日常」といった作品を改めて見返し、武本康弘先生や木上益治先生の作風についてより深く知りました。今年、私たちはリニューアルした「けいおん!」の交響組曲を演奏予定で、一ACGファンとして京アニへの敬意を表現できたらと考えています。

――先日、日本では「一番好きな京アニ作品」のアンケートが行われました。(1位「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」シリーズ、2位「Free!」シリーズ、3位「響け! ユーフォニアム」シリーズ、4位「氷菓」、5位「けいおん!」シリーズなど。ねとらぼ21年5月30日配信記事より)。ランキングの感想と、京アニの作品でご自身が一番好きな作品、またその理由を教えてください。

このランキングは中国での人気とほぼ同じだと思います!私は「響け!ユーフォニアム」や「けいおん!」が好きですね。一つだけということでしたら「響け!ユーフォニアム」です。大学生の時にもオーケストラに参加していて、中国の全国大会も見てきました。同作で描かれている学生オケのストーリーに共感し、引き込まれる感覚がありました。

また、作品にあふれる青春や、日常の複雑な人間関係の中で何かを成し遂げるために奮闘する様子にも夢中になりました。業界一流の京アニのアニメーション技術については説明不要の素晴らしさです。作中のオーケストラ演奏を再現したシーンは、同じような演奏経験を持つすべての人たちに衝撃を与えるものだろうと感じています。

――京アニの魅力はどこにあると思いますか?

日本、ひいては世界のコンテンツ産業において特別な存在だと思います。もちろん完璧ということではないでしょうが、ウィークポイントを補って余りあるストロングポイントがあると私は思います。それは、監督、アニメーター、原作者が協力して作り上げる、各所に散りばめられたディテールが生み出す世界です。

京アニのユニークさは、「リズと青い鳥」の中でみぞれ(鎧塚みぞれ)が無意識に希美(傘木希美)のまねをするところや、窓ガラスと影でまるでキャンパスが牢獄のように表現されるところにあります。また、「響け!ユーフォニアム」で、コンクールの前日に楽譜いっぱいに書かれた言葉、同じ作品の中でも異なる演奏でリズムに微妙な変化があること、電車が宇治駅に入ってくるときの音もです。これこそ京アニの素晴らしいところだと思います。

中には「京アニはストーリーのコントロールに手を焼きがち」と評価する人もいますが、作品にとって重要な部分は「ストーリー」だけではありません。「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の最後の戦いではなぜあのような悲惨なことが起きるのか、なぜあれほどか弱い少女が戦争の武器として育成されるのかなどは、京アニの「宇宙」において重要なことではありません。

京アニはタイプライターに機械の手が触れる金属の質感を表現することに専念し、まるで海辺にきらきらと光る貝殻を表現した詩のような秀逸な作品を作り上げることに成功しました。これは、あらゆる生活の細部によって構成された「枯山水」なのです。

――京アニや京アニで働く人たちに今、声をかけるとしたらどんな言葉を?

まず、素晴らしい作品を生み出していただいてありがとうございますと伝えたいです。この2年間、私たちはずっと皆さんのことを気にかけていました。そして、皆さんのたくましさに私たちが励まされることもありました。時間が証明してくれることと思います。皆さんの愛と強さは、きっと今後も京アニを押し上げる原動力となるでしょう。

――帝玖管弦楽団の最近の活動状況を教えてください。

2020年下半期から21年上半期は、中国国内で新型コロナウイルスの感染が抑えられていたこともあり、北京、武漢、天津で「久しぶり」シリーズと題して巡回公演を行いました。もともとは深センや広州でも公演を行う予定でしたが、コロナの影響で中止となりました。ですが、来年にはこの2カ所でも公演を行う予定です。

――楽団の規模がますます大きくなっているようですね。この2年間で何か変化はありましたか?

規模は確かに大きくなっています。オンラインでのコンテンツ制作も、オフラインでの出演も、安定して高品質のものをお届けできるようになっています。20年からは上半期と下半期というサイクルで演出を変えるようにしました。各公演が終了するたびに新しいメンバーも続々と加わっています。今後、最高のコンディションで多くの観客の皆さんに心を込めた作品をお届けしたいと思っています。

――前回のインタビュー記事、そしてヴァイオレット・エヴァーガーデン演奏の反響が非常に大きかったです。日本の読者・視聴者から「感動した」「ぜひ生で見たい」との声も多くいただきました。コロナ収束後、日本での公演などは考えられますか?

もし可能なら、もちろん日本でのコンサートも行いたいと思っています。音楽はアニメと同じで、どちらも世界共通言語です。コロナ禍で、私たちの演奏が京アニ作品と同じような効果を持つこと、世界をつなげる作用を持つことを心から願っています。そうなれば、放火事件で亡くなった方々への慰霊にもなると思っています。(取材/北田

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