第3四半期には自動車産業の「チップ不足」が緩和されるか―中国メディア

人民網日本語版    2021年6月30日(水) 5時50分

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自動車用半導体チップの供給不足が世界の自動車産業に大きな損失を与えたが、最近は一部の自動車メーカーや研究機関が「自動車産業のチップ不足は今年下半期には緩和されるだろう」との見方を示すようになった。

自動車用半導体チップの供給不足が、世界の自動車産業に大きな損失を与えた。しかし最近は、一部の自動車メーカーや研究機関が、「自動車産業のチップ不足は今年下半期には緩和されるだろう」との見方を示すようになった。中国新聞社が伝えた。

スイスに本拠を置くUBSグループが今週発表した見方によると、世界的なチップ不足が自動車産業に与えたマイナス影響について言えば、最悪の時期はすでに過ぎた可能性があるという。同グループのアナリストは、ゼネラルモーターズ(GM)、フォード、フォルクスワーゲン(VW)はいずれも、「チップの供給状態が徐々に改善するのに伴い、生産の見通しも改善しつつある」との見方を示した。

VWによると、半導体チップ不足の状況は第3四半期(7-9月)に緩和される見込みだが、ボトルネックの問題は長期にわたって存在する可能性があるという。

中国自動車工業協会のチーフエンジニアで副事務局長を務める葉盛基(イエ・ションジー)氏もこのほど、「第2四半期(4-6月)にはチップ不足がピークに達するだろう。供給停止の状況が下半期には緩和され、通年でその影響が相殺され、2022年には供給が正常な状態に戻るだろう」との見方を示した。

実際、今年の世界的な自動車用チップ不足の主な原因は生産能力にある。生産能力が不足した原因について、シンクタンクの衆誠智庫の楊帆(ヤン・ファン)代表は、「自動車用チップは他のジャンルの製品に比べてそれ自体の使用量は少なく、一般的には供給不足にはならない。しかし2020年以降、新型コロナウイルス感染症などの特殊な状況が起こり、生産能力が不足するようになった」と述べた。

具体的に見ると、まず感染症の発生で、欧州の工場が稼働できなくなり、チップの生産能力に影響を与えた。次に感染症によりテレワークが大々的に行われるようになり、ノートパソコンなどの電子情報デバイスの売り上げが増加し、チップの使用量も大幅に増加して、チップ産業全体が不足に陥った。また、リーディングカンパニーがさまざまなリスクを考慮し、ストックを増やし始めた。例えばこれまでは3カ月分のストックしか持たなかったが、今では1~2年分をストックするようになった。また、中国の携帯電話メーカーもチップの調達を増やしている。

楊氏は、「自動車産業は『在庫ゼロ』を追求し、材料がある分だけ製品を製造し、生産周期は生産計画に基づき、非常に規則的だ。昨年に感染症の影響で自動車販売量が減少し始めると、多くのメーカーがチップの注文を減らしたため、昨年下半期になって販売が回復し始めた時に、自動車産業全体でチップが不足する状況になった」と述べた。

葉氏は、「自動車産業の高度化がチップの使用量を大幅に増やした。より高機能、低消費電力、高性能などの要求に応えるため、デバイスあたりのチップ使用ニーズが拡大した。新エネルギー、新しい汚染物質排出基準、スマート化がチップのニーズを倍増させた」と述べた。

自動車用チップ不足の緩和では、生産能力にポイントがある。世界の自動車規格チップのシリコンウエハーの60%以上を台湾地区の半導体メーカーTSMCが生産しているため、同社の生産能力調整が非常に重要になる。

TSMCは、「自動車用チップの受注とアップル社の2021年第3四半期の受注に優先的に対応する。生産能力をさらに高めることができれば、チップの生産技術を『最適化』して、より効率よく優先的に自動車用チップを生産する」としている。

楊氏は、「今年第1四半期(1-3月)の自動車用チップ不足が非常に深刻だった時期に、TSMCは生産能力の一部を自動車用チップの生産に当てる調整をスタートした。一般的に言って、チップの生産周期は5カ月前後であり、チップ不足は第3四半期には緩和されるだろう」と述べた。

葉氏も、「現在、半導体産業の生産能力は自動車産業に大きなサポートを提供している。自動車産業のチップ不足が解消された後、他の産業も半年に及ぶ周期的調整を経て、22年の年末までに半導体産業は需給のバランスを回復するだろう」とした。

自動車用チップの供給不足は世界共通の問題である上に、中国の自動車産業と半導体産業の需給のアンバランスという深層レベルの問題も映し出している。同時に、中国チップメーカーにとってチャンスでもある。

中国工業・情報化部電子情報司の董小平(ドン・シャオピン)副司長はこのほど、「工業・情報化部は引き続き企業が自動車用半導体の技術面の研究開発を強化するよう指導し、生産ラインの生産能力向上を推進する」と述べた。

葉氏は、「チップ不足の危機の後、中国自動車産業は独自のコントロールが可能な自動車規格チップの産業システムを構築する必要がある。自動車用チップを重要技術発展プロジェクトに組み込むことを提案する」と述べた。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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