世界的なチップ不足が世界経済にとって良い兆候である理由―香港メディア

Record China    2021年5月31日(月) 9時20分

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香港英字メディアのサウスチャイナ・モーニング・ポストにこのほど、「世界的なチップ不足が世界経済にとって良い兆候である理由」とする記事が掲載された。資料写真。

香港英字メディアのサウスチャイナ・モーニング・ポストにこのほど、「世界的なチップ不足が世界経済にとって良い兆候である理由」とする記事が掲載された。中国紙・参考消息(電子版)が27日、その内容を要約して次のように伝えている。

チップは取るに足らないもののように見えるが、私たちの世界を動かしている。テスラの自動車であれ、トースターであれ、乾燥機であれ、コンピューターチップは私たちの日常生活に不可欠だ。コンピューターチップがなければ、私たちの世界は停止してしまうだろう。

世界がより迅速な回復に向けて準備を進めている中、人々は半導体チップの世界的な需要が供給を上回っていることを懸念している。それは価格の上昇とインフレの上昇につながる可能性のある主要な生産財が、世界的な供給側不足に陥る可能性を表している。

経済協力開発機構(OECD)によると、主要国のインフレ率は3月に2.4%上昇した。インフレを市場が恐れる必要がないのは、価格の上昇は経済の活力の印だからだ。新型コロナ危機が始まって以来、世界にはその活力が不足している。

パンデミックはまだ終わっていないが、より強い回復とインフレの組み合わせは、世界経済が正常に戻ることを示している。

ロックダウンと工場の閉鎖による生産の混乱はあったが、それは純粋にパンデミックのせいではない。昨年のコロナ危機の初期段階で世界中の企業が生産を削減したため、半導体メーカーも生産の縮小を余儀なくされた。

現在、半導体メーカーは、世界的な経済活動が回復するにつれて、半導体に対する世界的な需要の急増に遅れないようにキャッチアップを試みている。

国際通貨基金(IMF)の見通しによると、世界の成長率は2020年の3.3%を経て今年は6%になるため、世界の半導体産業がひっ迫した需要状況に直面していることは驚くことではない。チップ部品の消費量が多い自動車メーカーなどの主要産業にボトルネックを引き起こす可能性がある。

自動車メーカーへの主要サプライヤーであるドイツの半導体メーカー、インフィニオンはこのほど、継続的なサプライチェーン不足により、21年上半期に最大250万台の自動車が生産されない可能性があると警告している。自動車と家電の市場環境が活況を呈しているため、チップメーカーは増産を余儀なくされているが、最適な生産能力に到達するには時間がかかる。

米国半導体工業会(SIA)のリポートによると、21年第1四半期の世界全体の売上高は3.6%増加し、過去12カ月間で17.8%増加した。チップの生産量は増加しているが、フォードなどの企業は依然として、不足が解消されるまで一部の工場で自動車生産に影響が及ぶと警告している。

回復とインフレ期待の上昇との間のバランスを微調整することは困難だ。短期的な価格の歪みがあるかもしれないが、世界の政策立案者は、世界がパンデミックから完全に回復し、持続的な成長が確保されるまで、依然として慎重な姿勢を取り、金融政策を可能な限り緩和する必要がある。

政策決定者が、インフレ率が低すぎ、世界経済が再びデフレに陥る危険性があると不平を言ったのは、それほど昔のことではない。

今のところ、ディマンドプルまたはコストプッシュのインフレが表面化する兆候はない。世界の成長は回復しつつあるが、それは非常に弱い非インフレの基盤から生じている。

現在、世界的な回復は、中断するのではなく育成する必要がある。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が、金利上昇のより説得力のある根拠が明らかになるまで強い成長を支持するのはまったく正しい。

パンデミックの影響を考えると、世界的な需給ギャップは依然として非常にマイナスであり、産業能力レベルは緩んでおり、賃金圧力は低いままだ。OECDは、世界経済が現在、潜在的産出レベルを5.2%下回っている可能性があると推定しており、今年はインフレの危険性がほとんど、またはまったくないことを示唆している。

中国の3月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比4.4%上昇したが、消費者物価指数(CPI)は0.4%上昇と非常に低いため、インフレリスクは引き続き良好だ。ベース効果は、ヘッドラインのインフレ率が今後数カ月で上昇することを意味するが、北京は今のところリラックスしたままでいる余裕がある。

FRBが金融引き締めの機が熟したと合図するまで、世界は安らかに休むことができる。21年の利上げは、株式市場の反発の叫びであってはならない。(翻訳・編集/柳川)

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