「桜経済」が出現、数ある花の中でなぜ桜なのか?―中国メディア

人民網日本語版    2021年5月4日(火) 8時0分

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レジャーのニーズを前提として、花見に関連したあらゆる娯楽イベント、商業消費が新たなトレンドになり、「桜経済」が出現した。写真は玉淵潭公園の桜アイス。

桜の花を眺める花見は、古来からある春の楽しみ方であり、感性を大切にする現代社会で多大な経済効果を発揮している。レジャーのニーズを前提として、花見に関連したあらゆる娯楽イベント、商業消費が新たなトレンドになり、「桜経済」が出現した。中国には海棠、杏の花、桃の花、ここ2年ほどで人気に火が付いた菜の花など、開花シーズンが桜と重なる数多くの花が楽しめる。なぜ若者たちはこうした花のファンにはならないのか。

■素晴らしい生活のためにお金を使う

桜の花は「顔面偏差値」が高い。中南財経政法大学マーケティング管理学部の准教授で、ニューメディアマーケティングセンター研究員の杜鵬(ドゥー・ポン)氏は、「春に桜の花見をするのは、ここ数年人々にとって『桜へのこだわり』となり、ユーザーサイドの気分がマーケティングにとって最良の『触媒』になっている。桜のピンク色は春の視覚的なシンボルとなり、高い顔面偏差値が人々の素晴らしい生活に対するイマジネーションを満たしている。素晴らしい生活のためにお金を使うのが、当たり前のことになった」との見方を示した。

桜の花は希少性も高い。桜は自然の中にある植物であり、著作権を誰かが所有しているわけではなく、ブランドが桜をめぐる業界の枠を超えたマーケティングに参入する場合のハードルは低いが、開花期は非常に短い。ブランドの期間限定・数量限定といったマーケティング手法と桜の「タイミングを逃すと散ってしまう」季節性がぴたりと合致して、人々の購買意欲を促進している。

湖南科技大学が花見をする人々に関して行なった調査研究の報告によると、性別では、花見を好む割合は女性が男性よりずっと高く、女性は60%が「花見が好き」と答えた。年代では、25歳以下が大半を占めた。「顔面偏差値」信仰の下、見た目のよさを追い求める若い女性ユーザーは、消費においても顔面偏差値の高い商品をより追い求めるようになった。

■地方政府が強力に後押し

科学技術の発展に伴って、桜文化の伝達方法も大きく変化し、今では観光客の89%が微博(ウェイボー)、ショート動画などのニューメディアプラットフォームで見た桜に惹かれて、花見にやって来るという。

微博、微信(WeChat)、アプリケーションなどのプラットフォームでの2月10日以降の「花見」をめぐる議論の声を検討してわかったのは、花見というロマンティックなイベントについての議論の基調は、微光、希望、愛情といった美しい言葉によって構成されると同時に、高頻度で登場する語彙の中から、日本の花見の習慣が中国人に与えた影響の深さが容易に読み取れることだ。

桜に関する議論の声は3月30日に最高潮に達した。この時期はちょうど清明節(先祖を祭る中国の伝統的な祭日、今年は4月4日)連休の前半に当たり、「江寧花見図鑑」に関する微博が同日にはのべ1万回以上転載された。ここからわかるのは、「花見経済」における政府の動きが果たす推進的役割の大きさだ。

■花見消費の潜む地域の消費能力が高い

ネットユーザーの地域分布を見ると、「花見」の話題で議論を展開する人は北京市、広東省、江蘇省、上海市など経済が発達した地域に多く集中する。

経済が発達した地域ほど、文化型レジャー消費活動が重視され、こうした地域における「桜経済」の消費ポテンシャルが非常に高い。経済力が向上し、金銭的な自由がある状況の中、ますます多くの人がより健康的、より豊かで魅力あるライフスタイルを渇望するようになった。

可処分所得が多く、暮らしと美しさへの憧れが強く、自分の感情をSNSで発信しようとする都市部の女性が、「桜経済」に寄与する重要な存在だ。

■消費文化の形成

中国には海棠、杏の花、桃の花、ここ2年ほどで人気に火が付いた菜の花など、開花シーズンが桜と重なる数多くの花が楽しめる。なぜ若者たちはこうした花のファンにはならないのか。

中国国内にも洛陽の牡丹祭りや竜泉の桃の花祭りなどのイベントが少なくない。地方政府の「文化で舞台を作り、経済が歌や芝居をする」という意図・構想も明らかだが、理論的に言えば、文化と消費文化は異なる概念であり、文化を先頭に掲げても、それに見合った消費文化が育つかどうかはわからない。

フランスの哲学者のジャン・ボードリヤールは「消費社会の神話と構造」の中で、消費文化の形成は、個人が何らかの社会的欲望に満足していないことの表れだとの見方を示した。わかりやすく言えば、消費行為に現れているのはある種の社会的価値への志向だ。人々は消費の過程で、自分自身への肯定感を表出するとともに、ある種の社会的欲望も満たしている。日本の伝統的な花見文化は中国の「桜経済」の背景的要因に過ぎず、消費を直接駆動しているわけではない。中国の「桜経済」の形成は、桜自身がもつシンボルとしての特徴、人々を感動させる美しさ、散り際の潔さなどが、好奇心が強く、新たなトレンドを追い求める若者の心性に合致したからこそ、「桜経済」が形成されたのだ。桃の花、牡丹、菜の花などは、桜のように既存の花をめぐる文化を基礎として若い層の現代型消費との合致点を見いだす、ということができなかった。

特定の時期の特定のシンボルがもつ意義、これに消費文化の育成と地方政府による重視が加わって、「桜経済」の形成にまたとないチャンスが訪れた。今や中国の桜は、徐々に時代の精神を宿した社会的シンボルになってきた。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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