23年間の別離に終止符、涙が止まらぬ母に抱き合う兄と弟―安徽省

Record China    2021年3月12日(金) 20時40分

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23年ぶりに弟が戻ってくる。涙は流すまいと決めていた。だが無理だった。弟と固く抱き合うと、どうしようもなく流れ出た。母親も、とめどなく涙を流していた。

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23年ぶりに弟が戻ってくる。涙は流すまいと決めていた。無理だった。弟と固く抱き合うと、どうしようもなく流れ出た。母親も、とめどなく涙を流していた。

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王軍偉さんは、すでに43歳だ。王さんと行方不明になった弟は父親が異なり、弟の名は李軍礼さんだ。行方知れずになった時、弟の李さんは6歳だった。王さんはさらに上の兄の言いつけで、弟を連れて離れた場所で大工の仕事をしている父を訪ねる途中だった。列車とバスを乗り継いで、着いた街は安徽省の阜陽だった。

バスを降りたところで、どちらに向かえばよいのか分からなくなってしまった。手持ちの金は底をついていた。もう夜だったので、弟は眠いと言い出した。そこで仕方なく、市内の文峰公園で野宿することにした。露店が出ていたので、そのそばで寝ることにした。王さんは靴を脱いで、弟の枕にしてやった。弟が寝た場所は狭かったので、王さんは少し離れた場所で横になった。

夜が明けて、王さんは目を覚ました。ところが、弟の姿が見えない。公園の清掃員に聞くと、男の人が連れて行ったと言った。王さんははだしのまま、街中を走り回って探したが、弟は見つからなかった。

王さんは自分を責めた。そしてその日から、よく眠れなくなった。眠るのが怖くなったりするのだ。目を覚ました時に、弟はいなくなっていた。その記憶がよみがえってしまう。

とりわけつらいのは、春節(旧正月)や中秋節などの際だ。中国では「万家団円(どの家も離れて暮らす家族が集まる)」とされている祝いの日だ。母親は年越しのたびに、末っ子だった李さんを思って涙を流す。しかし、2021年の旧暦大みそかだけは違っていた。一家に希望の光が見え始めていたからだ。

ある男性が投稿した、家族探しの動画を知ったからだった。隣の家の住人が王さん一家の状況を知っており、動画に気付いて教えてくれた。見ると、弟の李軍礼さんに思えた。

李さんは、一番上の兄の言いつけで王さんに連れられて父親を訪ねに行ったことを覚えていた。列車やバスを乗り継いだことも、露店のそばで寝たことも覚えていた。翌日の朝、まだ夢の世界でまどろんでいた李さんは、訳も分からず見知らぬ男に売られたという。李さんは、自分の家がどこにあるのか分からなかった。両親や兄や姉がどこに消えてしまったのかも分からなかった。しかし李さんは両親の名と父親が大工だったことは覚えていた。

李さんを買い取ったのは、安徽省内の農村部に住む独身の男だった。しかし、それほど年をとらないうちに死んでしまった。周囲の村人が、李さんの生活をずいぶん助けてくれた。李さんはすでに29歳だ。結婚しており子も一人いる。

李さんの家族探しを、ボランティアが助けてくれた。李さんの記憶に頼って出身地を推測してくれた。そしてDNA検査のためのサンプル採取もした。その上で、家族探しの動画を動画サイトに投稿した。

動画投稿は2月10日だった。王さんが動画を知ったのは旧暦の大みそかである11日だった。さっそくコメントを書き込んだ。ボランティアが王さんに連絡した。「あなたの弟が見つかったようだ」と伝えてくれたと言う。

ボランティアは王さんに、DNA検査を勧めた。父親はすでに他界しているので、母親が検査を受けることにした。だが、折しも春節の連休中だった。そこで連休明けの初日に検査をした。結果は家族と認められるものだった。王さんは、別れて23年にもなった弟に謝罪したいと思った。

王さん一家が暮らしているのは、河南省周口市沈丘県内の農村だ。李さんがやってきたのは3月6日だった。王さん一家は、村の入口で李さんを待った。李さんの姿を見たとたん、母親は涙が止まらなくなった。李さんと抱き合った王さんも同じだ。弟との再会を待ちわびた日々の思いが、涙となってほとばしった。

李さんの行方が分からなくなって23年。王さん一家の周辺にある家は、すべて建て替えられたものだ。しかし、王さん一家は古い家を残した。弟が戻って来た時に、自分の家と分かるようにするためだった。すでに40歳を過ぎた王さんは、今も独身だ。弟のことばかりが思われて、自分自身は結婚に至らなかったという。(翻訳・編集/如月隼人

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