<ボイス>日本の若者に起業精神が乏しいワケ、一方の中国は起業の黄金時代

Record China    2021年2月25日(木) 9時20分

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日本でも、自ら起業して成功した人はいる。しかし、中国人の目には、日本の若者は中国人に比べれば起業に対する意欲が乏しいように映る場合があるようだ。

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日本でも、自ら起業して成功した人はいる。しかし、中国人の目には、日本の若者は中国人に比べれば起業に対する意欲が乏しいように映る場合があるようだ。福建省出身で、日本でインバウンド専門広告・コンサルティング会社の「同道文化」を起業して現在も経営者を務める曾穎さんはこのほど、「個人の考え」とした上で、日本人が中国人ほど起業に情熱を傾けない理由を列記してみせた。

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曾さんがまず取り上げたのは、日本社会の貧富の差が、中国ほどには大きくないことだ。飛び切り裕福な人の様子を見て「肉眼による刺激」を受けることも少ないと論じた。一方の中国では貧富の差が大きく、世間の目も、それぞれの人が成功したかしないかを、しっかりと見ているという。

また、日本の場合には、固定した仕事があれば、収入も安定する。銀行も容易に、ローンを組むことに応じてくれる。起業するということは不安定であることにつながり、社会の信用も低下してしまう。

曾さんはさらに、日本社会の歴史的背景にも注目した。日本史上では長年に渡り、幕府がいかに強大になっても、天皇の地位を覆すことはなかったと指摘。一方の中国では、王朝が次々に交代したこともあり、「王侯、将軍、大臣も血筋には関係ない」との考え方が人々の心にしみわたったという。

曾さんは、中国人のこのような考え方は「よいことに思える」と主張。このインターネット時代にあって、中国では無数の人が自らの努力により、裸一貫から身を起こし、社会の地位を得ていると指摘。今の時代の中国は、若者に無数の恩恵を与えていると指摘した。

曾さんは一方で、日本では社会の階層が固定化しているとも主張。料理人の息子は料理人に、政治家の息子は政治家になると指摘した上で、日本にはよくあるが中国では相当に珍しい「100年続く老舗企業」も、子が父の事業を引き継いできた場合があり、曾さんにとっては社会階層の固定化の具現化に思えるとの見方を示した。

また、日本では企業を立ち上げた場合に、人件費や各種の社会保険のコストが高いと紹介。その結果、起業しても得られる所得は会社員として勤務して得られる所得との差は中国ほどには大きくないと説明した。曾さんは、日本では、起業できる能力がありながら、大企業の会社員として給料を受け取り、それでよしとしている例も多いと指摘した。

曾さんは、日本人に起業の精神が乏しい原因に、バブル崩壊に伴い新興企業が失敗した事例が相次いだことが影響しているとの考えも示した。起業するならば中堅となるはずの30~40歳の人は子どもの頃から年長者やメディア、社会の一般的認識の影響を受け、勉学に励んでよい大学に入り、大企業に就職できれば、将来は「安定してメシを食べられる」との意識を持つようになったと論じた。

曾さんは最後の部分で、「個人としてかなり重要だと考えていることがあります。日本の若い女性は金銭に対して比較的淡泊なのです」と論じた。曾さんによれば、日本の女性は「結婚についても、物質的条件はあまり重視しない」という。ただし、物質面での欲求が低いのは、女性だけではなく日本の若者全般に言える現象で「男性も、頑張るための動力源が減少しているのかもしれない」との見方を示した。

曾さんは結論として「総合すれば、現在の中国は黄金に満ちあふれる時代だ。中国人女性は前代未聞なほど、意識を目覚めさせた。起業家にとっての最良の時代。女性起業家にとっても最良の時代」と論じた。

曾さんは、自らも会社を立ち上げたとして、より多くの日本人女性にも起業に取り組んでほしいと表明し、手を握り合って共に成長したいとの希望を示した。曾さんは、若い女性の事業を応援するために、エンジェル投資家としての活動も行っているという。

●プロフィール

曾穎(テンテン)。早稲田大学卒。東京都内に中国進出コンサルティング&広告代理店の同道文化(DDBK)を立ち上げ、取締役社長に就任。2019年にフォーブス誌の「30歳以下の優秀中国人起業家ランキングベスト30」に選出される。北京市内にも広告会社を起業。主たる業務は日本企業の中国市場におけるPR・プロモーション・コンサルティング。インフルエンサー履10年。微博(ウェイボー、中国の最大手SNS)でのフォロワー数は256万人に達する。

如月隼人

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