ニュース中国語事始め=中国独自の面積や重さの表し方

如月隼人    2021年2月13日(土) 22時0分

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今回は、中国独自の面積や重さの単位をご紹介します。ニュースを理解する場合だけでなくて、日常生活でもよく使うことばがあります。

中国メディアが発表する記事、政府発表などでも同様ですが、日本では使われていない面積や重さの単位が出て来る場合があります。日本では1951年に計量法が制定されて以来、ほとんどの場合にメートル法による単位を使いますから、中国独自の単位で示された数字は、改めて計算せねばならないことがあります。

■メートル法の単位でも、複数の名称がある場合が多い

まず、中国語で「メートル」は「米<mi3>」です。日本と同じ漢字を使っていますね。「キロメートル」に相当する語には「公里<gong1li3>」と「千米<qian1mi3>」があります。「公里」の「公」は、伝統的な単位の名称を利用して、新たにメートル法の単位を示す言葉を作ったことを示しています。つまり、それまでに「里」という長さの単位が存在したことを踏まえて、「公里」というメートル法の単位を示す語を作ったということです。

「千米」では単位名に数字が含まれています。ちょっと妙な感じもしますが、メートル法の「キロ(kilo)」とは主単位(この場合はメートル)の1000倍を表わすのですから、「キロ+メートル」をそのまま訳したというわけです。「100千米(=100キロメートル)」のように使います。

「センチメートル」に対応する語「公分<gong1fen1>」あるいは「厘米<li2mi3>」です。「厘」とは主単位の100分の1を示すことばです。つまり「センチ+メートル」を中国式に表現したということです。センチメートルに相当する正式の用語は「厘米」の方です。

■日本人がピンとこない単位名の代表例…「畝」

面積については、メートル法の単位として「平方米<ping2fang1mi3>」(平方メートル)、「公頃<gong1qing3>」、「平方公里」などがよく使われています。ところが土地面積などの場合には、メートル法以外の「畝<mu3>」という単位がよく使われます。

「畝」は長い歴史を通じて使われた面積の単位ですが、王朝により1畝が示す面積は違っていました。現在では、15畝=1ヘクタールと定められています。つまり、1畝は約6.67アールということです。

中国では耕地面積などを表わす際に、この「畝」が用いられる場合がよくあります。例えば重慶市政府は1月27日、「重慶今年将新建190万畝高標準農田。<Chong2qing4 jin1nian2 jiang1 xin1jian4 yi1bai3 jiu3shi2wan4 mu3 gao1 biao1zhun3 nong2tian2.>」(重慶は今年、190万畝の高基準農地を新設する)と発表しました。「190万畝」と言われてもピンときませんが、メートル法に換算すれば約12万6700ヘクタールということです。

日本で発表される中国関連の記事が土地面積などを扱っている場合、ときおり妙に中途半端な数字が出て来ることがあります。たいていの場合は、原文で面積単位として「畝」を使っていたので、訳出の際にメートル法の単位に変換したことが原因と考えてよいでしょう。

なお、日本でも尺貫法による「畝(せ)」という面積の単位が使われていましたが、中国の「畝」とは別のものです。

■重さについても、日本では使われない単位が

重さの単位として用いられているメートル法の単位には「克<ke4>」(グラム)、「公斤<gong1jin1>」(キログラム)、「吨<dun1>」(トン)があります。なお、かつては「グラム」の中国語訳として、「センチメートル」と同じ「公分」という言葉が使われたこともありました。もっとも、若い世代にはそのことを知らない人もいるようですが。

メートル法以外の重さの単位としてよく使われる単位としては「市斤<shi4jin1>」があります。この「市斤」は、中国で生活する上でとても大切なことばです。というのは、穀類や野菜や果物、肉類が量り売りされている場合はたいてい、この「市斤」を使うからです。「1市斤=500グラム」です。

中国では古くから、「斤」の下の重さの単位として「両<liang3>」とう単位も使われてきまし。とはいえ、「1斤」や「1両」が示す重さも変遷を繰り返し、地域によっても違うことがありました。

清朝は1斤を約597グラムと定めて、16両を1斤としました。中華民国期には1930年に1斤が500グラムと定められました。ただし、16両を1斤とする方法は変更しませんでした。

中華人民共和国は1959年に、1斤=500グラム、10両=1斤と定めました。つまり、1両=50グラムです。現在はこの「両」が使われているわけです。「両」の正式名称は「市両」です。

外食店などでは、主食類を目方で注文する場合があります。その際に使われる単位も「両」です。この場合の目方とは、米や小麦粉の調理前の水分を含まない重さです。男性成人なら2両ぐらいは注文しますかね。多めに食べたいなら3両。日本のように「普通盛り」と「大盛り」の量を店まかせにするのではないので、自分の食べる量を覚えてしまえば「大盛りを注文したのに量が少ない!」なんて事態は避けられるのでとても便利です。

このように、日常生活で重さを示す場合には「市斤」あるいは「両」を使う場合が圧倒的に多いのです。また、単に「斤」と言ったら、「市斤」のことです。

そうそう。体重を示す場合も「市斤」を使います。日本語を上手に操る妙齢の中国人女性が「私、このごろ太ってしまって。体重が100を超えてしまいました」なんて言っても、驚かないでくださいね。彼女はうっかり、自分の体重を「市斤」で言ってしまっただけです。

そういう時には「あなたぐらいの年齢の日本人の女性の平均体重は52~53キロぐらいですよ。あなたはむしろ、スリムな方ですよ」とフォローしてあげましょう。

■それ以外にも、数字の扱い方で日中の違いが

話を「ニュース中国語」に戻すとして、日本ならば食料の量を示す場合には「一人当たりの年間の米消費量は53キログラム強」「日本の2020年の米生産量は約723万トン」のように、重さの程度に応じて単位を使い分けることが普通ですが、中国では統計などでも「斤」を使うことがよくあります。次の文例をご覧ください。

「糧食産量再創新高,連続6年保持在1.3万億斤以上<Liang2shi2 chan3liang4 zai4 chuang4 xin1gao1,lian2xu4 6 nian2 bao3chi2 zai4 1.3 wan4 yi4 jin1 yi3shang4>」(食糧の生産量は再び記録を更新し、6年連続で1.3兆斤以上を維持した)。

なお、上記の中国語中にある「糧食」は主食類を指します。また、中国は統計上、「糧食」に穀物類だけでなく、豆類やイモ類も含めています。それから、現在の中国語では、日本語の「兆」に相当する数の単位は「万億」と表現します。中国語の数の表現には日本語と異なる部分があり、また同じ漢字を使っているだけに「知っていないと誤解する」こともあります。数については、次回の「<コラム>ニュース中国語事始め」でご紹介する予定です。

●ピンインの表記について:本コラムでは中国語を< >の中に、日本語の常用漢字の字体で表示しています。以下の部分のピンインについては、ローマ字表記の直後に声調を算用数字で添えます。軽声は0とします。 u の上に2つの点を添えるピンインには v を用います(例:・東西 dong1xi0、・婦女 fu4nv3)

■筆者プロフィール:如月隼人

1958年生まれ、東京出身。東京大学教養学部基礎科学科卒。日本では数学とその他の科学分野を勉強し、その後は北京に留学して民族音楽理論を専攻。日本に戻ってからは食べるために編集記者を稼業とするようになり、ついのめりこむ。毎日せっせとインターネットで記事を発表する。「中国の空気」を読者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執筆。中国については嫌悪でも惑溺でもなく、「言いたいことを言っておくのが自分にとっても相手にとっても結局は得」が信条。硬軟取り混ぜて幅広く情報を発信。

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