【観察眼】帰郷しない春節、小さな我慢が感染抑制の大きな力に

CRI online    2021年1月23日(土) 12時15分

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中国では最も大事にされている祝祭日である旧正月「春節」が、20日後の2月12日に控えている。各地は感染拡大防止対策として、市民たちにこの春節は、勤務先の町にとどまって過ごすよう呼びかけている。

去年年末のドイツのワンシーンである。クリスマスを控え、メルケル首相は演説で手を合わせ、涙ぐみながら感染防止の規定を守るよう、「このクリスマスを、おじいさんとおばあさんと過ごす最後のクリスマスに決してしてはならない」と国民に懇願した。メルケル氏が懸念したのは、大規模な人の移動や集いの開催が、感染の爆発的に拡大を高めるリスクであった。

同じことに中国がこれから直面する。中国では一家団らんの日として、最も大事にされている祝祭日である旧正月「春節」が、20日後の2月12日に控えている。各地は感染拡大防止対策として、市民たちにこの春節は、勤務先の町にとどまって過ごすよう呼びかけている。

慣例に従い、中国では今年も春節を挟んで、一週間の大型連休が始まる。例年だと、故郷に戻り、年老いた両親や親族たちとの団らんや年に一度の再会を楽しみにしている人が民族の大移動を始める。春節前後の40日間、数十億人に上る帰省ラッシュで高速列車の切符や航空券がなかなか手に入らず、「春運」と呼ばれるほどの社会現象が起きている。

一方、依然として世界で猛威を振るう新型コロナウイルスの感染者が、1億人に迫ろうとしている。感染抑止で決定的な成果を収めた中国でも最近になって、河北省、黒竜江省などで集団感染が相次いで報告され、予防対策の感染対策は依然として重い課題である。こうした状況に対し、各地政府や関連機関は勤務する町で春節を過ごすよう人々に呼掛けている。

ところで、「故郷」とは何か。最近よく引用される宋代の文豪・蘇軾の残した詩がある。「此の心の安らかなる処は是れ吾が郷なり」、つまり、心に安らぎを与えてくれる所が故郷であるという。故郷に戻らない人たちに、安心して勤務先の町で春節を過ごせるよう、各地では様々な取り組みが始まっている。

例えば、出稼ぎ労働者に対しては、春節期間の衣食住や娯楽を確保し、祝祭日のめでたい雰囲気を作り、連休期間にも物流と物資の供給を確保するように努めていることである。同時に、関係部門による個人へのサポートだけでなく、企業や事業体もフレキシブル休暇を相次いで導入し、故郷に帰らないスタッフにはお年玉を配ったり、年越し用品の供給を保証している雇用先もある。

例年よりも家族団らんして過ごせない人が多く出る2021年の春節。こうした小さながまんや取り組みが、中国における感染対策の大きな力につながるに違わない。今こそ皆が一丸となって、安心して暮らせる、感染症のない世界を早期に取り戻せるよう頑張る時期である。(CRI日本語部論説員)

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