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<コラム>外国人が選ぶ好きな中国料理10品、全部食べたあなたは中国通?

配信日時:2021年1月5日(火) 22時0分
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「外国人が選ぶ好きな中国料理10品」は比較的容易にクリアできる。もし中国においでになる機会があるなら、10品全部を1週間以内にクリアできるだろう。僕らも北京ダックやヒレ肉の甘酢あんかけをよく食べる。
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これがギリギリの線なのかもしれない。これ以上だと恐らく口に合わず、これ以下だと無理があるし意味がない。何の話かというと、外国人が選ぶ好きな中国料理10品についての話である。

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前のコラムで僕は、日本人の僕らは中国の美食を本当には理解できていないと書いた。いわゆる「中華料理」とは、日本向けにローカライズされた中国の美食に過ぎないからだ。

だからもしここで「日本人が選ぶ好きな中華料理10品」をやってしまうと、中国人の知らない(中国料理ではない)「冷やし中華」や「天津飯」といった「なんちゃって中国料理」が必ずやランキング入りしてしまう。

しかも全部食べたことのある人が大多数であるから、結果として中国の美食を本当には理解できていないはずの日本人の僕らが皆「中国通」になってしまう。

かといって「中国人が選ぶ好きな中国料理10品」にしてしまうと、別コラムで詳述するが、日本人の口に合わないものになりかねない。

それで今回は「中国通」な外国人が食べている中国料理、すなわち「外国人が選ぶ好きな中国料理10品」について考えてみたい。

まず「外国人が選ぶ好きな中国料理10品に中国ネットは『だから中国人は幸福』『外国人は何が本当においしいか分かっていない!』|レコードチャイナ」という記事を参考にしてみる。

その記事によれば、外国人の口に合う中国料理10品とは「1.ヒレ肉の甘酢あんかけ(糖醋里脊)、2.鶏肉とナッツの炒め物(宮保鶏丁)、3.春巻、4.チャーハン、5.麻婆豆腐、6.餃子、7.ワンタン(餛飩)、8.北京ダック(北京烤鴨)、9.焼きそば、10.カシューナッツとむきエビの炒めもの(腰果虾仁)の10品」だそうだ。

うーん…いかにも欧米人が好きそうな中国料理ばかりである。

だが、この中から日本人が常食していると思われる中華料理つまり「春巻、チャーハン、麻婆豆腐、餃子、ワンタン、焼きそば」を除外してしまうと残りは4つだけとなり、この4つだけで中国料理や「中国通」について云々するのはさすがに無理があるし意味がない。

その同じ記事で中国人の某ネットユーザーが「数品食べただけで中国料理を評価するとは、外国人に中国の美食の何が分かるというのだ?」と述べる通りである。

それで外国人受けが良く、かつ日本人の口にも合いそうな「外国人が好きな中国料理」を、「外国人が選ぶ好きな中国料理7品―どれもこれもホントに美味しい!| 百度」「外国人が一番好きな中国美食4品―最後の一つは中国人のほとんどが知らない | 百度」「外国人が選ぶ一番好きな5大中国料理―ネット民:最後の1品は確かに美味しいね | 百度」「これが外国人が一番好きな十大中国美食なんだって―君が好きなのはあった?| 個人図書館」といった記事を参考に、あと6つ加えてみる。

なお、ここで挙げる中国料理は「中国通」という今回のテーマに沿って、中国四大料理また中国八大料理も念頭に置きながら選んでいる(特定の料理に偏らないようにしている)。

ちなみに中国四大料理(四大地方菜)とは、山東料理(魯菜)、四川料理(川菜)、広東料理(粤菜)、江蘇料理(蘇菜)のことで、これに浙江料理(浙菜)、安徽料理(徽菜)、湖南料理(湘菜)、福建料理(閩菜)を加えると中国八大料理(八大地方菜)となる。

1.ヒレ肉の甘酢あんかけ(糖醋里脊・浙菜/魯菜/川菜/粤菜/閩菜)

日本人の口に合い、恐らくは近くのスーパーなどで売っていたり、お弁当のおかずに入っていたりするかもしれない、最もクリアしやすい本場中国料理の一つ。中国人にとって最もポピュラーな中国料理の一つでもある。日本の酢豚とは異なり、ヒレ肉の他は何も入っておらず、パイナップルだけが入っていたりする。

なおヒレ肉ではなく鶏肉を使う米国中華人気ナンバーワンこと「General Tso’s chicken(左宗棠鶏)」については、中国人の間で中国料理ではないとの意見もあるため今回は取り上げない。

2.鶏肉とナッツの炒め物(宮保鶏丁・川菜/魯菜)

日本の中華料理店でも定番な、鶏肉のカシューナッツ炒めのこと。中国ではカシューナッツが割高なため、炒ったピーナッツを使う。中国人の某友人に言わせれば、花椒(山椒の実の同属異種)と唐辛子と鶏肉とナッツと長ネギだけというのが原型らしい。この花椒の味は麻辣豆腐などの料理の「麻」に相当する味で、独身で北京にいた頃はどのレストランに行ってもこればかり食べていた僕の一押し中国料理でもある。

3.北京ダック(北京烤鴨・魯菜)

八達嶺の万里の長城観光などと同じで、中国旅行のパッケージツアーにまず間違いなく含まれている。本当は烤鴨巻餅と言ってタレをつけてから餃子の皮のような皮(ただし既に火が通っている)に白髪ねぎと一緒に包んで食べるが、タレをつけてからご飯の上にのせて刻みねぎを散らし七味唐辛子を振って「中国風鴨南蛮丼」でいただいても美味しい。

4.カシューナッツとむきエビの炒め物(腰果虾仁・粤菜)

先にご紹介した鶏肉とナッツの炒め物(宮保鶏丁)よりさらにポピュラーな、日本の中華料理店で食べられる中国料理の定番。「エビ」ではなく「むきエビ」とあるのは、中国のエビ料理のほとんどが「むいていないエビ」を使うからで、中国人に言わせれば「むきエビ」=「冷凍エビ」=「新鮮でない」=「美味しくない」となる。とはいえ外国人(特に日本人)からすると手を汚さないで食べられる分、敷居はずっと低い。

やはり米国などで人気の「Walnut Prawn(核桃虾仁)」つまりクルミとむきエビの炒め物については由来がはっきりせず、僕自身も中国で食べたことがあるものの中国と日本で食べることのできる機会が少ないと判断し、今回は見送らせていただく。

5.中国しゃぶしゃぶ(火鍋・全国)

鍋料理ではなくしゃぶしゃぶなので、別コラムでも述べたようにスープは基本的に飲まないで捨てる。とはいえスープは日本のしゃぶしゃぶのようなただのお湯ではなく、鍋底と呼ばれる日本のカレールウのような調合済みの香辛料を溶かし込んであり(もともとはこのダシの入っていない香辛料スープ自体を鍋底という)、この鍋底を変えることで味の変化を楽しむ。聞けば昔は日本のしゃぶしゃぶのようにただのお湯を使っていたものを、日本の鍋料理を参考に味を付けたスープで「しゃぶしゃぶ」をするようになったとのこと。もし日本で食べる場合はお店の人に日本人向けなのかどうか、つまりスープを飲める火鍋かどうか確認するといい。

6.魚香肉絲(川菜)

日本人がよく知る中華料理の定番・チンジャオロース(青椒肉絲)とよく似ているものの別物な中国料理。料理の主役はチンジャオ(青椒)つまりピーマンでもなければロース(肉絲)つまり細切り肉でもなく、魚香と呼ばれるソースにあり、生姜・大蒜・葱そして泡紅辣椒(しょっぱくて酸っぱい唐辛子の漬物)により魚が入っているかのような風味を出す。中国人コックのいる中国料理店に行けば、既に日本向けにローカライズ済みの「豚肉と筍の細切りピリ辛炒め」みたいなハズレを引かずに済む。

7.ピータンと豚肉のお粥(皮蛋痩肉粥・粤菜)

台湾や香港に旅行においでになった方であればきっと食べたことのある、外国人にも人気な朝食に定番のお粥。お粥と言っても日本のお粥とは作り方が違い、むしろリゾットに近い。中国では各種お粥を出すお粥専門店があるぐらいお粥のバリエーションが豊富で、庶民の朝食も小米粥(粟粥)と相場が決まっているほどだが、別コラムでも述べる通り日本人の口に合いそうなお粥はそれほど多くない。

8.タンタン麺(担担面・川菜)

名前を聞いたことはあってもまだ食べたことがない方のためにランクインしてもらった、中国十大麺類の一つ。もし汁なしのジャージャー麺のような「あんかけ」風であれば、名前の由来にかない(もともとは麺を担いで売り歩いたため汁を持ち歩かなかった)本場に近いものである可能性が高い。本場に近いものは中国人的にはほんのり辛いものもあるが、日本人にとってはそれでも相応に辛いので注意。

9.重慶小面(Chongqing noodles・川菜-重慶菜)

この中国料理は僕的にはかなり微妙な線で、タンタン麺と来たのであれば刀削麺(手で削る幅のある麺)とか過橋(雲南)米線(小麦粉でなく米粉を使う歯ごたえがうどんにやや近い麺)とか、せめて重慶名物の熱乾麺を押したいところなのだが、日本人ではなく「外国人が選ぶ好きな中国料理10品」ということでご容赦いただきたい。僕も中国で数回しか食べたことがないので、10品の中では相応に敷居が高い。タンタン麺と違い、唐辛子(辛椒)から来る辛さより花椒からくる舌が痺れる味(麻)が強い。

10.酸菜魚(川菜)

この中国料理も日本人ではなく「外国人が選ぶ好きな中国料理10品」なので、日本人的には好みが分かれるかもしれない。前述のヒレ肉の甘酢あんかけのような日本人にとって馴染みのある甘酸っぱい味ではなく、「辛」酸っぱい味だからだ。同系の「辛」酸っぱい味の中国料理に酸辣湯というスープがあるが、酸辣湯が酢を使うのに対し酸菜魚は名前の通り「酸菜(ドイツなどでも食されている「漬物」の一種)」で「辛」酸っぱい味を出す。

いかがだろうか。今回は咕嚕肉(豚肉の甘酢炒め=酢豚)のような日本人に馴染み深い中華料理に近い中国料理は省いたから、上記の「外国人が選ぶ好きな中国料理10品」を全部食べたことのある方は、中国通の外国人だと自称して差し支えあるまい。

とはいえ残念ながら、それは決して美食通の中国人であることを意味してはいない。

先の記事の別の中国人ネットユーザーのコメントにも「正当な八大中国料理をすべて食べたことのある人がどれだけいるだろうか」とある。先の中国人ネットユーザーも「外国人は一生かけても中国料理を食べきることはないよ」と言っている。

実のところ、中国人であっても「中国料理を食べきる」ことは容易ではない。それはちょうど、日本人が日本の「B級ご当地グルメ」を全部食べきることが容易でないのと同様である。

たとえば山東省育ちの僕の中国人の妻でさえ、山東料理(魯菜)の名菜(グルメ)の中でまだ食べたことがないものが若干ある。山東省の規模(人口9500万人以上・面積15万7000平方キロ以上)からすれば、それも無理からぬところだ。だから中国歴が「まだ」10年な中国在住の日本人の僕など、ましてそうである。

そんなわけで「中国人が選ぶ好きな中国料理10品」についは、ぜひ別コラムをご参考いただきたい。

その一方で、上記「外国人が選ぶ好きな中国料理10品」は比較的容易にクリアできる。もし中国においでになる機会があるなら、10品全部を1週間以内にクリアできるだろう。

たとえば僕らも北京ダックをよく買ってきて食べるし、家の近くに開店した中国ファストフード店では毎回のようにヒレ肉の甘酢あんかけを食べる。

同時に妻の実家の農村に行けば行ったで、親族と共にセミの幼虫の油揚げを食べつつ「やっぱり野生モノは美味しいよねー」などと盛り上がる。

あれ?もしかして、ギョッとされましたか? いやー、分かります。でもこのセミの幼虫の油揚げ(油炸知了猴)程度なら、次回コラムでもご紹介するように中国料理フライ級ですよ、きっと。

だから「外国人が選ぶ好きな中国料理10品」または数十品を食べて、「中国通」な自分に満足できる人は幸いである。これが100品また1000品と数を増すにつれ、中国の人はどんどん盛り上がり、日本人の僕らはどんどん「理解不能」となっていく。

■筆者プロフィール:大串 富史
本業はITなんでも屋なフリーライター。各種メディアでゴーストライターをするかたわら、中国・北京に8年間滞在、中国・青島に3年間滞在。中国・中国人・中国語学習・中国ビジネスの真相を日本に紹介するコラムを執筆中。

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