〈一帯一路実践談47〉ぜひ参観!日本人協力世界遺産キジル千仏洞

小島康誉    2020年12月12日(土) 16時20分

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1986年新疆クチヤ西方約70kmのキジル千仏洞を訪れた感動は忘れられない。写真は風雪に耐えてきたキジル千仏洞〈1986年撮影〉。

NHKとCCTV共同制作の大型番組「シルクロード」が放送されたのは1980~81年。当時の中国は「神秘のベール」に包まれており、大人気を博した。喜多郎のテーマ音楽と石坂浩二の語りも評判をよび、1988年には「奈良シルクロード博」が開催され700万人近くが参観するなどシルクロードブームは続いた。今年7~8月NHKは「シルクロード」を再放送。40年前の荒廃したキジル千仏洞も放送された。ご覧になられた方もおられよう。

1986年新疆クチヤ西方約70kmのキジル千仏洞を訪れた感動は忘れられない。ラピスラズリの青で描かれた釈尊の前世物語に圧倒された。日が暮れて道に迷う旅人に自らの手を燃やす釈尊、飢えた虎の親子にわが身を差し出す釈尊…。300ほどの石窟に、1万平方メートルもの膨大な壁画が残存。風雪にたえ異宗教にたえ盗掘にたえ、千数百年。なお色鮮やかに残る人々の願い。中国四大石窟の中では最西のため仏教発祥の地インドの影響を色濃く残している。


(修復後のキジル千仏洞と鳩摩羅什三蔵像〈2017年NHK取材班と〉)

「人類共通の文化遺産」と直感し、保存資金を個人寄付。1987年「日中友好キジル千仏洞修復保存協力会」を設立。「人類共通の文化遺産を後世へ」をスローガンに募金を開始するも敦煌と違って殆どの方がキジル千仏洞をご存知なく募金は難渋。諸氏の努力で1988・89年と二次にわたり3000をこえる個人や企業からの浄財1億円余を新疆政府に寄贈することができた。本格的工事を開始し、千仏洞は輝きを取り戻した。その後も世界的文化遺産保護の重要性を理解いただくため参観団を度々派遣。また職員通勤用バスや飲料水浄化装置贈呈なども行ってきた。

2014年6月22日、第38回世界遺産会議で「シルクロード:長安-天山回廊の交易路網」の構成資産としてキジル千仏洞は世界文化遺産となった。PC生中継を見続けていた筆者と妻は「万歳!」と叫んだ。修復保存協力を開始して28年後のことであった。


(人々の願いがこめられた壁画〈キジル第38窟〉)

キジル千仏洞はシルクロードに咲いた仏教芸術の名花であり、考古学・民族学・東西文化交流史・仏教学など本格的研究が待たれる貴重な文化遺産。膨大な壁画のごく一部を紹介すれば、第8窟には世界で唯一奈良正倉院に収蔵されている「五弦琵琶」が、第38窟には楽器を奏でる伎芸天や天象図が、第188窟には立仏像が、第224窟には鹿野苑で鹿に法を説く初転法輪像が描かれている。中国内はもとより日本からも多くの参観者が訪れている。

今年9月には筆者がキジル千仏洞などの部分を仲介し出演もしたNHK「シルクロード・壁画の道をゆく」も再放送された。日本人の修復保存協力が世界遺産へ結びついた稀有の例キジル千仏洞。王恩茂氏「修復寄贈」記念碑には寄付者全員の芳名が刻まれている。阿弥陀経や法華経などを訳出した鳩摩羅什三蔵像も建立した。コロナ禍が明けたら、ぜひご参観!

■筆者プロフィール:小島康誉 1942年名古屋市生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、日中理解実践家。66年宝石専門店を起業し上場企業に育て上げ、96年創業30周年を機に退任。1982年より中国新疆を150回以上訪問し、世界的文化遺産保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授を歴任し現在、佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府文化顧問。編著『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』など。日本「外務大臣表彰」・中国文化部「文化交流貢献賞」・中国人民対外友好協会「人民友好使者」ほか受賞多数。 ブログ「国献男子ほんわか日記」 書籍はこちら(amazon)

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