<コラム>故宮博物院と天安門の本物とレプリカを比較してみた

関上武司    2020年12月13日(日) 15時10分

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中国各地には故宮博物院と天安門の複数のレプリカがあり、クオリティーも様々なので、今回は筆者が撮影したものを紹介してみたい。

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北京市の故宮博物院(紫禁城)と天安門は中国史や中国の政治的にも重要な建造物であり、中国を代表とする観光地であるのは言うまでもないだろう。そして中国各地には故宮博物院と天安門の複数のレプリカがあり、クオリティーも様々なので、今回は筆者が撮影したものを紹介してみたい。

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本物の天安門には「中華人民共和国万歳」「世界人民大団結万歳」と大書され、巨大な毛沢東の肖像画が入口に掲げられている。故宮博物院の一番有名な建物の太和殿は大勢の観光客で賑わっているのがデフォルトだ。歴史があるとか広大な敷地というのは事実ではあるが、筆者が個人的に驚いたのは、観光音声サービスが2011年の時点で41言語に対応しており、中国国内の言語だけでも普通語(北京語)、少年版、広東語、閩南(びんなん)語、チベット語、ウイグル語となっていた。日本の観光地でも関西弁や名古屋弁、東北弁の観光音声サービスがあっても面白いのでは?と感じた。

東武スクエアワールドのように世界の有名建造物をミニチュアで再現した観光施設は中国にも存在する。広東省深セン市の錦繍中華民俗村は中国各地の有名建造物をミニチュアで再現し、当然ながら故宮博物院も見られる。ただ、筆者訪問時は夕暮れ時でかなり焦っており、あまりいい写真が撮影できなかったのが悔やまれる。

規模でいえば、浙江省東陽市の世界最大の撮影所の横店影視城も見逃せない。横店影視城は複数の撮影所の集合体と表現するべきで、故宮博物院をほぼ実物大のスケールで再現(さすがに本物と一部設計が異なり、天安門は2割程度小さい)したのが明清宮苑だ。広大な敷地内には宮殿、庭園、邸宅、民家といった北京の建築スタイルが揃えられている。筆者は隣の広州街・香港街から気球に乗って空撮を敢行したが、ただただ驚愕するばかりであった。

福建省アモイ市郊外の同安影視城では天安門を1/4スケールで再現し、地名にちなみ同安門とも呼ばれている。本物とは異なり、天安門を通過すると、レプリカの太和殿が目の前に現れる。完成当初は同園の周辺にほとんど建築物がなかったようだが、現在は景観を破壊する高層マンションが周辺に建造されており、撮影すると写り込むので少々、興ざめだ。太和殿の内部は天井までしっかり作りこみがされている点は評価したい。

以前紹介した甘粛省蘭州市の蘭州新区西部影視城は太和殿のすぐ近くに天壇のレプリカも建造されている。筆者は北京で留学していたこともあり、本物の故宮博物院と天壇はこのように隣接していないと声を大にして言いたい。同園の荒野にそびえる太和殿と天壇はある意味、シュールな光景ではある。実はこの太和殿の階段部分の内側は遊客服務中心(ビジターセンターと訳せばいいのだろうか?)という施設になっているのだが、入ってみるとコンクリートの柱が並び、首都圏外郭放水路を彷彿とさせる光景が広がっている。

寧夏回族自治区銀川市の南門広場には天安門を小さく再現した南門楼があり、本物同様に毛沢東の肖像画が掲げられているが、文言は「中国共産党万歳」「中華人民共和国万歳」になっており、若干、異なっている。パッと見ると0.5秒くらいは本物と誤認するかもしれないが、本物との差はさすがに歴然としている。

以上、筆者が撮影した故宮博物院や天安門本物とレプリカを比較してみたが、どちらもすごい光景であることは理解していただけたと思う。他にも中国国内の故宮博物院や天安門のレプリカの情報があれば、コメント欄に書き記していただければ幸いだ。

■筆者プロフィール:関上武司

1977年の愛知県生まれ。愛知大学経営学部卒。中国で留学や駐在員としての勤務経験あり。日本や中国のB級スポットを紹介するブログ・軟体レポートの管理人。中国遊園地の取材で中国の全省、全自治区、全直轄市へ訪問。会社員の傍ら、「中国遊園地大図鑑」シリーズを執筆し、メールマガジンのロードサイダーズ・ウィークリーにて「ROADSIDE CHINA 中国珍奇遊園地紀行」を連載中。このほかイベントも開催している。

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