日本が「核汚染水」を海に放出するのを阻止すべき、問題は3つの点―中国専門家

Record China    2020年10月20日(火) 16時20分

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20日、瀟湘晨報は、「日本による太平洋への『核汚染水』排出を阻止すべきだ」とする評論記事を掲載した。資料写真。

2020年10月20日、瀟湘晨報は、「日本による太平洋への『核汚染水』排出を阻止すべきだ」とする評論記事を掲載した。著者は中国社会科学院日本研究所研究員の金嬴(ジン・イン)氏。

金氏は、先日日本の大手メディアから「日本政府が福島第一原発に貯留していた120万トンを超える汚染処理水の海洋放出を2022年秋より始める方針を固めた」との報道が流れ、日本やその周辺国が大いに注目したと紹介した上で、「この件は日本にとって国の信用、イメージに関わるだけでなく、世界の海洋生態の安全にも影響するため、慎重に検討の上行わなければならない」と主張した。

そして、現在、日本政府が汚染処理水の海洋放出をめぐって抱えている大きな問題点として3点を挙げている。

一つ目は「オープンで検証可能なデータに基づき処理水の問題を評価しているか」という科学的な信用問題であるとし、多核種除去設備(ALPS)処理でトリチウム以外の放射性物質が除去できるとされていたにもかかわらず、2018年8月に処理水から放射性ヨウ素などが法令基準値を超えて検出されていたことが発覚したことを挙げた。

二つ目には「政治的な信用」を挙げ、トリチウム水の不完全処理の実態が明らかにされて以降も東京電力がALPSの有効性を主張し、「希釈すれば解決する」との姿勢を崩さない一方で、具体的な二次処理方法や有効性について口を閉ざしていること、政府が現地漁協や市民を対象とした説明会を何度も開催するも、その内容は「海洋放出という政府の結論、前提ありきのもの」でほぼ形式化しているとの指摘が出ていることを紹介した。

そして三つ目には「外交的な信用」を挙げており、昨年、四川省成都市で開かれた日中韓サミットで当時の安倍晋三首相が「処理水に含まれるトリチウム含有量は、韓国の原子力発電所で排出される量の1%にも満たない。韓国は冷静になるべきだ」と主張したことに対し、「福島第一原発のタンクに入っている『処理水』の8割は、『不完全処理水』だ」との報道が出ているとし、「安倍氏の主張は明らかに事実と異なる」との見解を示した。

金氏は、「これらのパフォーマンスでは国際社会からの注目にきちんと答えられないのは確かであり、長い目で見て日本の信頼が損なわれることになる」と指摘。「日本政府は来年の東京五輪後に福島の件をうやむやにしようとしているが、福島の原発事故はチェルノブイリと同様の重大事故であり、人類共通の災難である。意図的に政治化したり、大したことではないように見せかけたりしないことが、この事故処理の正しい道であり、日本にとっての正しい道だ」と評している。(翻訳・編集/川尻

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