2020年12月16日、日本政府観光局が発表した11月の訪日外国人客数は、5万6700 ⼈（前年同月⽐ 97．7％減）となった。14カ月連続で前年同月を下回ったものの、実数としては前月（2万7400人）比2万9300人増と倍増した。新型コロナウイルス感染症の拡大により、日本における検疫強化、査証の無効化等の措置が引き続き取られていること、また、多くの国で海外渡航制限が継続していることなどにより、多くの国で訪日外国人客が対前年同月⽐で99％を超える減少となった。

国・地域別でみると、中国の1万8100人（前年同月75万900人）が最多。以下ベトナムの1万4700人（同4万1800人）、インドネシアの3400人（同3万7200人）、韓国の2800人（同20万5000人）、フィリピン1700人（同6万4700人）、台湾1200人（同39万2000人）の順だった。

10月1日以降、（1）一定条件下のビジネスなどに限り、日本で3カ月以上滞在可能な在留資格を持つ人の入国を再開したこと（2）11月1日以降、日本政府により中国、ベトナム、韓国など11の国・地域に対する感染症危険情報がレベル2に引き下げられるなどの緩和措置がとられたこと―などにより、訪日外客数の実数は徐々に増加しつつある。

また日中両政府は11月末からビジネス関係者の往来再開を認めた。シンガポール、韓国、ベトナムに続いて4カ国目。出張などの短期と駐在員ら長期の滞在が対象。短期の場合は検査による新型コロナウイルスの陰性証明や行動計画の提出を条件に入国後2週間の待機措置が免除された。

ただ1月～11月の累計の訪日客数は405万7200人にとどまった。2019年は同期に約2935万5600人が訪日した。政府は2020年に4000万人の訪日客を見込んでいたが、目標の達成は絶望的である。

日本政府観光局は11月の訪日客の動向について、「新型コロナウイルス感染症の拡大により、依然として世界的に旅⾏需要が停滞している状況にあるが、他方で我が国では入国規制の緩和が進められていることも踏まえて、感染症の推移とともに今後の動向を注視したい」と指摘している。（八牧浩行）