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<直言!日本と世界の未来>菅内閣発足、「国民第一」で丁寧な発信を―立石信雄オムロン元会長

配信日時:2020年9月20日(日) 7時0分
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菅義偉政権が誕生した。菅氏は「安倍政治の継承」を掲げて自民党総裁選に勝利したが、課題は山積しており、思い切った改革へ不退転の決意で臨んでほしい。写真は菅首相。

約8年ぶりに新しい菅義偉政権が誕生した。菅氏は「安倍政治の継承」を掲げて自民党総裁選に勝利したが、課題は山積しており、思い切った改革へ不退転の決意で臨んでほしい。

菅内閣の顔ぶれをみると、手堅い実務的な布陣であるが、新鮮味に乏しい顔ぶれである。麻生太郎財務相ら経済主要閣僚はそろって続投した。コロナ対応チームも加藤勝信氏が厚生労働相から官房長官に回り、その後任に自民党で担当者だった田村憲久氏を起用するなど大きく変わらなかった。新内閣の最重要課題が、経済の立て直しと新型コロナウイルス対策にあることを印象づけた形だ。

コロナ対策で課題となったデジタル化の遅れに対応する閣僚を新設した点や行政改革を重視した点は評価したい。政策に詳しく、改革意欲に富んだ政治家が起用されたと思う。

菅首相は自民党における初の無派閥総裁とされる。1980年代に行政改革を掲げて世論を味方に引き付け、弱い党内基盤を補った中曽根康弘首相(当時)の「行革グライダー論」(エンジンのないグライダーのように風に乗って自然に浮揚する方法)はひとつの参考になるだろう。

1990年代に始まった政治改革論議においては、政権交代可能な二大政党制を生み出すことで、恣意的な権力乱用は抑制されると期待されたが、今野党は脆弱で「自民党一強」は当分揺らぎそうもない。だからこそ政権の説明責任と自重を期待したい。政治主導の掛け声も行き過ぎれば弊害につながる。

国民の理解なしに大きな改革を実現することはできない。菅首相は政策判断の際、なぜそうした決断をくだしたのかを詳しく説明し、国民の信頼を得る必要があろう。「その指摘は当たらない」などと、批判や異論を切り捨てることのないようにしてもらいたい。安倍政権時代の「負の遺産」をそのまま継承してもらっては困る。

政策の数値目標、達成期限およびそのプロセスについて、国民への丁寧な説明をしつつ、仕事に取り組んでいただきたい。コロナ危機の今こそ官民ともに危機感を持ち「新しい日常」の実現を目指す必要がある。その際には、私もかつて活動していた経済同友会の下記提言に注力していただきたい。

(1) 喫緊の課題である社会全体のDX(デジタル・トランスフォーメーション)に、正面から取り組むこと。

(2) 持続可能な社会の構築のため、これからの財政構造や「全世代型社会保障」を実現する受益と負担のあり方について、長期的な展望を持ち、抜本的改革に着手すること。

(3) 米中対立の激化・長期化、先進技術がけん引する経済・産業の変革など、不透明な国際環境の変化を見通し、わが国の存続と世界への貢献に向けた戦略を示すこと――の3点である。

菅首相のキャッチフレーズは「国民のために働く内閣」と月並みだが、文字通り国民第一を貫き通してほしい。

<直言篇132>

■筆者プロフィール:立石信雄
1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。SAM「The Taylor Key Award」受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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