ポストコロナ時代、世界経済は元に戻るか?―中国メディア

人民網日本語版    2020年9月15日(火) 14時40分

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新型コロナウイルス感染症は世界を変えた。経済が衰退し、金融市場が変動し、従来の通貨政策や財政政策が打撃を受け、長年にわたって進められてきたグローバル化が頓挫した。写真はベネチア。

新型コロナウイルス感染症は世界を変えた。経済が衰退し、金融市場が変動し、一部の国は生き残るために毒を飲んで渇きを癒やさなければならない状況だ。従来の通貨政策や財政政策が打撃を受け、長年にわたって進められてきたグローバル化が頓挫した。中国新聞社が伝えた。

感染症が発生すると、世界の研究機関が相次いで経済予測値を調整した。スタンダード&プアーズ(S&P)もその中に含まれる。同機関は4月に2020年のグローバル経済成長率をマイナス2.4%になるとし、米国は5.2%低下、ユーロ圏は7.3%低下するとしていた。

それからわずか3カ月後、S&Pは世界のGDP(国内総生産)はマイナス3.8%になるとし、4月の予測値からさらに引き下げるとともに、インドをはじめとする新興市場がより深くより長期にわたる打撃を受けると予測した。財政による活性化を通じて経済成長を後押ししなければならず、世界各国に他の選択肢はない。

S&Pグローバルアジア太平洋地域担当のチーフエコノミストのショーン・ローチ氏は、「今後数年間、世界の雇用市場は力強い市場でいることが難しくなる。雇用市場の低迷は2021年まで、あるいはもっと長く続く可能性がある。小売、外食、ホテルなどの産業の雇用機会が感染症の影響を受け、高い失業率につながるだろう。個人消費は非常に慎重になり、より多くの人が貯金を選ぶようになり、一部の消費駆動型産業が影響を受けることになる」と述べた。

感染症に直面して、サービス業を主体とするエコノミーはより弱体化している。ノーベル経済学賞を受賞したアンドリュー・マイケル・スペンス氏は、「感染症により、今後数年間はイタリアのような観光収入の比率が高い国の経済が大変なことになるだろう。もともと存在していた分配の不公平さがさらに悪化することになる」との見方を示した。

感染症の打撃を受けて、新旧の理念の間で激しい衝突が起きている。中国人民大学の劉元春(リウ・ユエンチュン)副学長は、「感染症は局面を徹底的に変化させる破壊的要素ではないが、局面の変化を加速させる触媒ではある。2008年の世界金融危機の後、悲観論者は、世界経済が元に戻るには5年から6年かかるとしていたが、今に至るまで、世界経済成長率は危機前の水準に戻っていない。08年から19年までの世界経済について、経済学界は『長期的低迷』であり、低発展、低貿易、低成長、低金利と高債務、高レバレッジだとみている。将来もこの状態が続く可能性がある」と述べた。

感染症の打撃を受けて、各国の中央銀行は資金を投入し、紙幣の印刷を再開し、世界の主要エコノミーがこぞって大規模の財政金融活性化を打ち出した。中国人民銀行(中央銀行)通貨政策委員会の委員を務める清華大学金融・発展研究センターの馬駿(マー・ジュン)センター長は、「専門家の試算によると、世界で10兆ドル規模の財政活性化措置が打ち出される可能性がある。10兆ドルのうちのかなりの部分が投資に充てられ、さらに関連する金融資源を加えれば、これは非常に大きな資金になる」と述べた。

感染症の流行中に、一部の国の財政政策と通貨政策が融合し合い、支え合った。政府は財政資金による救済を行おうとしているが、財政収入は感染症のため減少し、救済したくてもできない状況だ。各国の中央銀行は支援措置を打ち出し、政府債すなわち国債を購入した。

これは毒を飲んで渇きを癒やすようなものかもしれない。中国国際研究有限公司の曹遠征(ツァオ・ユエンジョン)会長は、「グローバル経済がさらに衰退すれば、第3四半期(7-8月)は第2四半期(4-6月)よりもさらに深刻な状況になり、各国は資金投入を迫られるが、どの国も死にそうな状態だ。資金を投入しなければどうすればよいか。人命は何よりも大事で、たとえ毒薬でも飲み続けるしかない」と述べた。

各国の中央銀行は紙幣を印刷して、国債を購入し、従来の財政政策や通貨政策が打撃を受け、それにともなって溝が生まれている。劉氏は、「感染症に直面して、各国が通常の規模をはるかに上回る通貨政策、財政政策を取ったのは当然のことだ。しかしこれからの道のりはなお遠く、まだ底には達しておらず、『ヘリコプターで紙幣をばらまく』ような極端なやり方はするべきでない」と述べた。

感染症の打撃を受けて、グローバル化が挫折し、国際協調がより困難になった。国際資本の流動は「頭のないハエ」のように、行き当たりばったりのものになった。

グローバル化のコストが過度に強調される一方で、国際協力の優位性と長所が過度に低く評価されている。スペンス氏は、「多国間を捨てて、二国間にすれば、大国は自国の利益を保護しやすくなり、最も損害を受けるのは小国、特に貧しい国になるだろう。多国間主義は大きく張り広げたテントのようなもので、大国も小国も、豊かな国も貧しい国も、どの国もテントの下で自分の居場所を見つけられる。小国や貧しい国をテントの外に追いやり、成り行きに任せるというものではない」と述べた。

感染症の打撃を受けて、グローバル化の大型テントがなくなれば、そうした低所得国はどうやって雨風をしのげばいいだろうか。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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