世界自殺予防デー、「心の風邪」をどうやって見つける?―中国メディア

人民網日本語版    2020年9月10日(木) 16時40分
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9月10日は世界自殺予防デーだ。そして自殺を引き起こす原因の一つとしてうつ病が挙げられる。資料写真。

9月10日は世界自殺予防デーだ。そして自殺を引き起こす原因の一つとしてうつ病が挙げられる。北京日報が伝えた。

■女性の患者は男性の2倍

うつ病は「心の風邪」とも呼ばれている。なぜなら、うつ病は実はよく見られる病気だからだ。「21世紀に最も流行した精神疾患」と呼ぶ人もいる。その発病の原因は複雑で、生物学的要因、心理的要因、社会的要因のいずれとも関係している。

生物学的要因によるうつ病の発病は3種類の神経伝達物質、つまりノルアドレナリン(NE)、5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)、ドーパミン(DA)の機能失調と一定の関係がある。このほか、遺伝学研究によると、40-70%のうつ病患者に遺伝傾向がみられた。しかし遺伝学的影響の作用方式は非常に複雑で、両親がうつ病を患ったからといって、その子供もこの疾患にかかるとは限らない。

また、女性のうつ病罹患率はおよそ男性の2倍となっている。これは、女性には青春期や妊娠期、周閉経期という3つの特殊な時期があり、体内のホルモンの変化が大きいためだ。女性は女性ホルモンレベルの低下によりうつ病が誘発されやすい。それに加え、女性は環境要因に対して比較的敏感なため、そのうつ病発生リスクが高くなっている。

心理的・社会的要因もうつ病の発病に重要な作用を及ぼす。例えば伴侶を亡くしたり、離婚や失業、学業における挫折、経済状況の悪化、病気など生活上におけるマイナスな出来事を経験すると、うつ病になる可能性がある。いくつかの状況が同時に重なった場合は、うつ病を罹患する可能性がさらに高まる。

また、児童期に良くない経験をし、比較的はっきりとした焦り・不安、強迫観念、衝動といった人格的特質をもつ人はうつ病になりやすい。

■うつ病の診断基準は何か

精神疾患は身体疾患のように血液検査をするわけにはいかない。では医師はどうやってうつ病を診断するのだろうか?うつ病の症状は核心的症状と付加的症状の2つに大きく分けられる。核心的症状には以下の3つがある。

(1)抑うつ気分。長期間にわたってひどく気持ちが落ち込み、少なくともそれが2週間続く。毎日ほとんどの時間がこのような状態で、しかもほぼ環境の影響を受けない。

(2)普段興味を持っていたことに対する興味や喜びを失う。

(3)気力の低下や過度の疲労。別に何もしていないのに、全身に倦怠感がある。

また、付加的症状には以下の7つがある。

(1)集中力が低下する。

(2)自己評価が低くなり、自信がなくなる。

(3)理由もなく自分を責め、過度で不適切な罪悪感を持つ。

(4)前途は暗いと思い、悲観的になる。

(5)自傷行為や自殺念慮がある。

(6)睡眠障害(眠れない、早く目が覚めてしまう)。

(7)食欲の減退。

診断基準によると、核心的症状が2つと付加的症状が2つあった場合は軽症、核心的症状が2つと付加的症状が3つあった場合は中等症、核心的症状が3つと付加的症状が4つあった場合は重症と診断される。

うつ病の診断をする場合には、上記の症状基準に基づくだけでなく、病気経過基準と深刻度基準も見る必要がある。つまり上記の症状が2週間以上続いているか、日常の勉強や生活、仕事に影響しているかについても見るべきだ。

■どのように自己調整し、予防するか

うつ病は決して怖いものではなく、ほとんどの病気と同じように予防も治療もできるものだ。挫折したり思い通りにいかないことがあったりすると、気持ちがネガティブになりがちだが、長期的にネガティブな状態が続くと、うつ病になる可能性がある。できるだけ早くネガティブな気持ちを解消するために、以下のようなことを試してみてもいいかもしれない。

(1)ネガティブな気持ちになった原因を分析する。同じようにコップ半分の水を見た時に、満足する人もいれば、がっかりする人もいる。考え方は私たちが物事を見る角度と気持ちに影響を与える。新しい視点で問題や困難を見てみると、ネガティブな気持ちを解消できるかもしれない。

(2)家族や親しい友人に話を聞いてもらう。ネガティブな気持ちになった原因が分析できない、または原因が分かっても解決できない場合は、決してそれを避けてはいけない。その感情を受け入れて、家族や信頼できる友人に話を聞いてもらい、自分の気持ちを伝える。口にすることさえできれば、仮に問題が解決されなくても、気持ち的には改善される。

(3)屋外での活動に多く参加し、スポーツやトレーニングをしてみる。屋外での活動に多く参加し、もっと太陽の光を浴びるようにすると、太陽の光が体内の内分泌環境を改善し、憂鬱な気分を減らすことができる。

(4)ライフスタイルを変える。入浴する、たくさん睡眠を取る、チョコレートを食べるといった簡単な方法でうつ病を予防できるかについては、現在のところまだ科学的な根拠はない。しかし、これらの措置は確かに気持ちを改善することができる。規則的な食習慣と睡眠習慣を続け、前向きで楽観的な気持ちを保ち、もっと友人と交流し、社交的な活動をすることで、うつ病になるのを予防することができる。

(5)必要な場合は専門家の助けを仰ぐ。上記の方法でもネガティブな気持ちから脱することができず、日常生活や仕事、勉強に影響が及び、前途に対して悲観的になり、ひいては自傷行為や自殺念慮がみられるようになった場合は、専門家の助けを仰いだほうがよい。

他の病気と同じように、うつ病も早期発見と早期治療が必要で、発見と治療が早いほど治療効果もよい。治癒後の患者が通常の仕事や生活に戻ることには全く問題ない。しかも、挫折を経験することになった時、人生の低落期を経験したことのある彼らは一般の人よりも強くなるというケースもある。(文:牛雅娟・北京回竜観病院臨床二科主任医師)(提供/人民網日本語版・編集/AK)

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