中国・王毅外相、欧州5カ国歴訪し外交攻勢、最大の貿易相手重視も香港問題では溝

Record China    2020年9月5日(土) 5時20分

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中国の王毅外相がこのほど欧州5カ国を公式訪問し、外交攻勢をかけた。最大の貿易相手先である欧州を重視する姿勢を明確にした形だが、香港問題などでは各国との溝も明らかになった。写真は王毅外相。

米国との対立が激化する中、中国が欧州各国に外交攻勢をかけている。王毅外相は8月25日~9月1日の日程でフランス、ドイツなど欧州5カ国を公式訪問。中国にとって最大規模の貿易相手先である欧州を重視する姿勢を明確にし、米国をけん制したが、香港問題などでは各国との溝も明らかになった。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大以降としては初の外遊で王外相はイタリア、オランダノルウェー、フランス、ドイツの順に各国を訪問。王外相は28日にマクロン仏大統領とパリで会談した際、「一国主義と保護主義が台頭する情勢下で中国と欧州は多国間主義の理念を共に守るべきだ」と訴えた。トランプ政権を念頭に置いた発言とみられる。

対中批判を強めているポンペオ米国務長官は7、8月に欧州各国を歴訪。次世代通信規格「5G」網整備からの中国通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)排除などを呼び掛けた。共産党機関紙・人民日報系の環球時報は8月27日付の社説で、今回の5カ国訪問について「ポンペオ氏が欧州でまいた毒を消毒する」意味があると解説した。欧州では新型コロナの感染拡大で反中世論がこれまで以上に高まっており、米国とあつれきを抱える中国にとって関係改善は大きな課題だ。

これに対し、独仏両国は香港国家安全維持法に反対し、香港との犯罪人引き渡し条約の停止を発表。マクロン大統領は王外相に香港の現状や新疆ウイグル自治区の人権問題に「強い懸念」を表明した。中国が主導する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」でも関係が深いイタリアのディマイオ外相も王外相との会談後に記者会見し、香港情勢に関し「高いレベルでの自治と自由の保護は不可欠だ」とくぎを刺した。

中国とノルウェーの関係はノルウェーのノーベル賞委員会が2010年、中国の獄中の民主派作家、劉暁波氏(17年死去)に平和賞を授与したことで悪化した。王外相は27日の記者会見で香港民主派がノーベル平和賞を受賞した場合の対応を聞かれ、「平和賞の政治化を見たくない」と警告したという。

8月28日付の香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(電子版)によると、中国の習近平国家主席と欧州首脳のオンライン会談の準備に向け、王外相より高位の中国外交統括役、楊潔チ・共産党政治局員が近くギリシャやスペインを訪問する見通し。両国は「一帯一路」の海上輸送ルートに位置する。中国の外交高官が立て続けに欧州を訪問すれば異例で、米国をにらんだ中国の欧州シフトが一層鮮明になりつつある。(編集/日向)

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