デジタル人民元応用の5つのイメージ、端末を近づけて送金完了?―中国メディア

人民網日本語版    2020年8月26日(水) 5時20分

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中国新聞網はデジタル人民元応用の5つのイメージについて報じた。

こんな場面を想像してみてほしい。私たちみんなが携帯電話の中にデジタルウォレットを持っていて、ネットワークにつながっていなくても、端末同士を近づけて接触させれば、あなたのウォレットに入っているお金が相手のウォレットに送金される。こんな場面が実現する日がますます近づいている。中国新聞網が伝えた。

実際、中国人民銀行(中央銀行)は2014年から専門研究チームを立ち上げて法定デジタル通貨の研究を進めており、すでに6年がたつ。最近では商務部が文書を発表して、デジタル人民元のテスト事業を展開することを明らかにし、外部ではデジタル通貨に関するイメージが再びふくらんだ。

デジタル人民元の応用もさまざまなイメージで語られている。

イメージその1:媒体はアプリか?

通常、人々は商業銀行で紙幣に交換できる。ではデジタル人民元はどこで現金に交換するのか。

ネットに先に出回る中国工商銀行、中国建設銀行、中国農業銀行、中国銀行のデジタルウォレット内部テスト図をみると、4つの大手銀行がいずれもデジタルウォレットをテストしている。

フィンテックコンサルティング会社PANONYの共同創始者である畢●●(ビー・トントン、●は丹へんに彡)さんは、「デジタル通貨は今はまだテスト段階にあるが、確実に言えるのはデジタル通貨が1つのアプリケーションを打ち出すことはないということだ。銀行ごとに単独のアプリを打ち出したり、提携銀行のアプリに集約されたりする可能性はある」と述べた。

澣徳金融科技研究院の院長を務める中国人民大学金融科技研究所の楊望(ヤン・ワン)シニア研究員は、「別にアプリを打ち出すとユーザーの教育コストや利用コストが高くつくので、試行を展開する商業銀行は既存のアプリにデジタル通貨のサービスをはめ込む可能性がある」と述べた。

イメージその2:交換は銀行に行かないとだめか?自分でアプリで交換できないか?

楊氏の構想によると、デジタル人民元を利用する際は3つのプロセスを踏まなければならないという。1つ目は対応する携帯電話のアプリをダウンロードすること。2つ目は登録で、氏名、身分証の番号、携帯電話の番号などの情報を打ち込み、アプリの中で必要な個人信用情報調査授権書類を表示して、同意するか拒否するかを選択する。

3つ目は銀行の口座と紐付けすることで、終わると預金を1:1の割合でデジタル人民元に交換できるようになる。

国家金融・発展実験室の曽剛(ズン・ガン)副室長は、「将来は高い確率で2つの口座があることになる。1つはデジタル人民元の口座、もう1つは銀行口座の預金から派生した口座で、両者は交換し合う関係を保つ。預金者はデジタルウォレットから直接支払いができるが、まず銀行口座からデジタル人民元口座に送金し、それから支払いをすることになるだろう」と述べた。

楊氏は利用した時の感じについて、「デジタル人民元ウォレットは現在人々の間で浸透率が高い第三者決済機関による決済と利用方法は似ている。同じようにQRコード決済、指紋認証、顔認証に対応する。しかしこうした決済方法を一度に全部リリースすることはできず、技術的な問題を考えると、まずQRコード決済をリリースし、それから徐々にほかの決済方法をリリースすることになるとみられる」と述べた。

イメージその3:端末同士を近づけて接触させれば送金が完了?

中国人民銀行デジタル通貨研究所の穆長春(ムー・チャンチュン)所長はこのほど行ったオンライン公開講座で、「携帯電話にDC/EP(デジタル人民元システム)のデジタルウォレットが入っていれば、ネットワークさえ不要になり、電話に電源が入っている状態で、携帯電話同士を『近づけて接触させる』だけで、一方のウォレットにあったデジタル通貨を、もう一方のウォレットに移動させることができる」と述べた。

楊氏は、「人民銀のデジタル通貨の大きな特徴は双方向のモバイルペイメントで、ネットワークがない状況で相互に送金できることだ」と述べた。

また楊氏は、「もちろんちょっと接触したらすぐに送金されるわけではない。この機能は暗証番号の入力不要の決済に似ており、利用者は銀行との間で合意に調印し、権限を授与して初めてこの機能を利用できるようになる。送金のシーンでは毎回、口座にあるお金を送るかどうか確認するボタンがあり、これを押さなければ送金はできない。同時に、この機能では上限額が定められ、一定の閾値に達すると送金ができないようになっており、このようにして利用者の口座の安全は確保される。

イメージその4:どのようなシーンでデジタル人民元による決済が可能か?

利用者がより関心を寄せるのは、自分がどのようなシーンでデジタル人民元を使用できるのかということだ。楊氏は、「チャージと現金引き出しができるほか、デジタル人民元は利用者間の送金もでき、消費もできる」と説明した。

楊氏によると、「現在の試行段階で対応する応用シーンには、小売、外食、乗車カードのチャージなどがあり、これから試行が進むにつれて、応用シーンはより広い範囲へ拡大するだろう」という。

イメージ5:将来、アリペイと微信の相互送金が実現するか?

現在、大部分の人が使い慣れているのは支付宝(アリペイ)や微信支付(WeChatペイメント)などの第三者決済機関による決済だ。デジタル人民元は将来、第三者決済機関の地位を脅かすだろうか。

畢氏は、「人民銀行のデジタル人民元とアリペイ、WeChatペイメントとの最大の違いは法定権利の相違にある。人民銀行のデジタル通貨は国が裏書きし、法定通貨と同等のものだ。しかし一般の人々の第三者決済サービス機関にある資産は実は記帳であり、すべて商業銀行の決算に基づいている。人民銀行のデジタル通貨が微信と支付宝の市場での地位に打撃を与えるかどうかは、市場が自身で決定するプロセスであり、利用時の便利さ、商業的価値、経済規模などによって決まる」と述べた。

デジタル人民元の登場に伴い、将来はアリペイとWeChatの間で相互に送金できるようになるだろうか。楊氏は、「それについては主に意欲と能力の2点を考えることになる。デジタル人民元は人民銀行が国の信用に基づいて発行する法定デジタル通貨であり、どの取引場面でも必ず無条件に受け取らなければならないもので、商業銀行や第三者決済機関との間で送金機能に対応しなければならない。意欲についていえば、商業銀行間のデジタル人民元送金は大きな問題ではないが、第三者決済には業務の壁が存在し、異なるプラットフォーム間では各自が自身のビジネス生態圏を守ろうとして、しばらくは相互の送金が実現しない可能性があるが、将来的に相互送金の機能が実現する可能性も排除できない」と述べた。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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