韓国・元徴用工訴訟、着々進む日本企業の資産現金化、「強制売却中断する方法ない」と市民団体

Record China    2021年1月1日(金) 13時50分

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元徴用工訴訟で韓国内にある日本企業の資産を現金化する手続きが着々と進んでいる。原告を支援する市民団体は「謝罪と賠償以外に強制売却を中断する方法はない」と主張した。写真はデモに参加するソウル市民。

韓国最高裁が日本企業に賠償を命じた元徴用工訴訟で、韓国内にある日本企業の資産を現金化する手続きが着々と進んでいる。12月末には被告の三菱重工業が資産の差し押さえ命令決定書を受け取ったと見なす「公示送達」の効力が発生。原告を支援する市民団体は「謝罪と賠償以外に強制売却を中断する方法はない」と主張した。

聯合ニュースなどによると、韓国最高裁で2018年11月に勝訴した元勤労挺身隊員と遺族の計5人は19年3月22日、大田地裁に三菱重工業の韓国内商標権と特許権の差し押さえと売却命令を下すよう求め提訴した。債権額は既に亡くなった1人の原告を除く4人分8億400万ウォン(約7560万円)で、差し押さえ対象の三菱重工業の資産は特許庁に登録された商標権2件と特許権6件だ。

大田地裁は弁論期日を決めて4回裁判を開いたものの、三菱重工業側は出廷せず、同地裁は10月7日に審問書と差し押さえ命令決定文などの公示送達を決定。12月29日に2件、30日には残り2件の効力が発生した。

効力発生により、三菱重工業の韓国内資産の売却手続きに関するすべての法的要件が整ったが、同社側は差し押さえ命令を不服として即時抗告。資産の現金化までにはさらに時間がかかる見通しだ。

中央日報によると、一連の手続きを受け、「勤労挺身隊ハルモニと共にする市民の会」は29日、声明を出し、「三菱重工業の謝罪と賠償以外に強制売却を中断する方法はない」と強調。「強制執行は法治国家で民事訴訟法上、債務を履行しない者に対して進められる極めて正常な手続き」とし、「裁判所の賠償命令に2年以上も従わない三菱重工業と日本政府が自ら招いた」と指摘した。

また「10代の若い年齢で連れて行かれた被害者が90歳を超えるまで謝罪の一言も聞くことができず他界することが続いている」と訴え、日本側に謝罪と賠償を改めて促した。

これに対し、日本政府は「元徴用工問題は1965年の日韓請求権協定で解決済み」との立場を堅持。日本企業の資産が現金化されれば対抗措置に出るのは必至だ。「三権分立」を理由に裁判には介入できないとする文在寅政権も日韓関係の決定的な悪化は避けたいのが“本音”とみられ、昨秋以降、青瓦台(大統領府)高官らを日本に派遣し、両国の落としどころを探る動きを見せている。

韓国は4月にソウルと釜山の二大都市で市長選があり、22年3月には次期大統領選がある。日本も9月に自民党総裁選、10月に衆院議員の任期満了を控えており、両国ともに政治的な妥協は難しく、今年も解決策がないまま対立の長期化が避けられそうにない状況だ。(編集/日向)

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