中国、米国との関係悪化でドル圏からの締め出し恐れ不安高まる―海外メディア

Record China    2020年8月21日(金) 10時20分

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米国との関係が急速に悪化する中、中国国内で、ドルを中心とする国際通貨システムから中国が締め出される恐れがあるとの不安が高まりつつある、とロイター通信が報じた。

米国との関係が急速に悪化する中、中国国内で、ドルを中心とする国際通貨システムから中国が締め出される恐れがあるとの不安が高まりつつある、とロイター通信が報じた。こうした懸念から中国政府は過去5年間停滞させていた人民元国際化の取り組みを再び強化しているという。

ロイター通信によると、中国がドル決済の枠組みから遮断されたり、米国政府が中国の膨大なドル建て資産の一部を凍結ないし差し押さえたりするような最悪シナリオが中国の当局者やエコノミストの間でここ数カ月、公然と論じられるという異例の光景が見られるようになった。

中国政府系シンクタンク・中国社会科学院のエコノミストで以前、人民銀行(中央銀行)のアドバイザーだったユー・ヨンディン氏は「広範な金融戦争はもう始まっている。(だが)最も致命的な手段はまだ使われていない」と話した。ユー氏は米国が発動する究極の制裁は中国が保有するドル建て資産の接収になるとみている。

中国政府は1兆元(1400億ドル)超相当の米国債を持っている。実際に接収するのは難しいし、米国政府にとって自滅行為にもなる。それでもユー氏は、現在の米国の指導層を「過激主義者たち」と定義し、デカップリング(分断)の可能性は排除できない以上、中国は備えを固める必要があると訴えた。

中国証券規制当局幹部のファン・ジンガイ氏は、中国は米国の制裁に対して脆弱(ぜいじゃく)であり、「早期」かつ「現実的」な準備を整えるべきだと主張。6月に独立系メディアの財新が主催したフォーラムでは既に多くのロシアの企業や金融機関が米国の制裁に対するもろさを露呈していると説明した。

中国が行う国際貿易は現在、ほとんどドル決済方式のSWIFT(国際銀行間通信協会)を経由しており、中国国内の一部から、いざという場合に苦境に立ってしまうとの声が出ている。中国政府は人民元国際化の取り組みを再び強化。人民銀行の上海事務所は7月、金融機関に人民元建て取引を拡大し、直接投資でローカル通貨を優先使用するよう促した。

人民銀行の易綱総裁は9日、人民元国際化が順調に進み、今年上期の国際間決済額が前年同期比36.7%増加したと公表した。易総裁によると、第1・四半期の世界の外貨準備に占める人民元の比率は2%を突破。SWIFTのデータを見ると、6月には国際間決済で人民元がスイスフランを抜いて利用順位で世界第5位に上がった。

経済規模で世界第1位の米国と第2位の中国が完全にたもとを分かつ事態が起きる公算は少ないとはいえ、実現した場合の影響は甚大だ。ロイター通信は「米政府が中国をドル体制から排除し、その報復として中国が大量の米国債を売却すれば、金融市場が大混乱して世界経済が痛手を受けかねないとアナリストは警戒している」と伝えた。(編集/日向

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