中国人留学生が実感する「変わりゆく故郷」=物価が上がり、日本の100均のほうが安い(2/2)

Record China    2014年1月29日(水) 14時37分

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中国の発展は早いとよく言われていますが、そのスピード感を実感するには、やっぱり実際に何度も行って、目の前の様子を比べてみるのがいいと思います。写真は筆者撮影。

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■帰るたび、前より「きれい」になる

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交通安全意識や運転マナー不足の市民ですが、全体的にマナーが少しずつよくなっていることは、短いスパンだけの観察でも分かります。目立っていたポイ捨てなどの行為はあまり見られなくなりました。地方都市とはいえ、それなりの規模があり(人口600万人レベル)、それなりの雇用とビジネスチャンスもあるので、さらに遠くの地方からやってくる人がたくさんいて、毎年増加しています。農閑期に農村部から都市部に来て肉体労働で稼ぐ人たちは、教育格差などの原因でマナー意識の問題を抱えているイメージがありましたが、最近はかなり改善しているようです。

一方、都市のインフラ整備もかなり進んできた気がします。これもあちらこちらで起こっている変化です。インフラ以外にも、夜のイルミネーションなど都市の景観を華やかにするところも増えました。

■帰るたび、前より「汚く」なる

日本でも話題となっている中国の大気汚染。これは本当にひどくて、しかもこの問題は月単位で大きくなりつつあるようです。前回帰国した時には、まだ青空が見えていたのですが、今回は天気が「晴れ」と報じられながらも灰色の土曇りで1km先のビル群でも見えにくくなってしまっている状態です。南方にあるこの都市は北京周辺とは違って汚染のひどい代表都市のひとつではなかったのですが、今は同じような状況になってしまっています。大気汚染は全国範囲で広がっており、どこの人でも苦しんでいるようです。日も見えなくてほこりだらけの町はまるで白黒の世界になったようで、見た目だけでも人の気持ちを悪くさせるものです。

■帰るたび、前より「高く」なる―2

都市にあるビルとともに高くなったものは、もう一つあります。それは物価です。為替市場で人民元の価値が上がっている一方で、国民の購買力が強くなったとは言えません。

筆者は帰国するたびに何らかのものが値上がりしたと必ず気づきます。食事も毎回高くなり(外食産業の発展による部分もありますが)、中国だからこそ手に入れられる安い品物もだんだんなくなり、むしろ日本の100円ショップで買えばいいと感じるようになりました(以前は小家電などのものは、帰国して買って日本に持ってきたほうが得でした)。しかし、どちらかというとやっぱり物価の上昇もよいことなのかもしれません。生活水準が高くなったことが反映されているからです。劣等財の需要がどんどんなくなり、上級財に代わられたというのが大きな原因です。

お店がオシャレでなければ顧客は行かない、サービス業者は常に新しいコンセプトを考えてイノベーション的なサービスを提供できなければ消費者にアピールすることができない、という「お金は問題ではないから喜ばせるものをください」という社会になりました。今回の帰省で友人たちと会ったお店のほとんどは、東京においても「サービスがよくてオシャレ」と言えるくらいにまともな店で、しかもこれは今の中国地方都市において「ごく普通のレベル」となっていました。中国の第三次産業もここまでやってきたのだなぁと思いました。

中国で起きている変化は、海外の人や中国だけにいる人も簡単に気づけるものでありながら、その実態や程度の把握はなかなかできないと思います。しかし国内外を行き来する人間にこそ、いったいどんなものが変わって、そしてそれは世界と比べた時にどのような意味があるかを理解しやすいでしょう。日本の方も本当の中国を知りたければ、メディアの情報よりも実際に足を運んで中国に行って見た方が、リアルな中国が分かると思います。私自身、日本に来る前の「日本のイメージ」と実際に生活する「日本」とが大きく違っていたこともあり、中国の発展のイメージも日本に来て、そしてまた帰ってから分かったこともあるからです。

◆筆者プロフィール:ボクヨウ

1991年中国湖南省生まれ、2011年に留学生として来日。2012年から日本での車旅行を始め、翌年に日本列島走破という目標を達成。現在でも様々な旅を続けている。

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