日本経済、財政破たんの危機も=デフレ脱却進めば金利上昇、国債消化難に直面―早川英男元日銀調査統計局長

Record China    2014年1月30日(木) 8時3分

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27日、富士通総研経済研究所の早川英男・エグゼクティブ・フェロー(元日本銀行理事調査統計局長)は、「2014年の経済展望 アベノミクス、異次元金融緩和と日本経済」と題して記者会見し、「日本経済の最大のリスクは財政赤字」と指摘した

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2014年1月27日、富士通総研経済研究所の早川英男・エグゼクティブ・フェロー(元日本銀行理事調査統計局長)は、「2014年の経済展望 アベノミクス、異次元金融緩和と日本経済」と題して、日本記者クラブで記者会見した。「日本経済の最大のリスクは財政赤字」と指摘した上で、巨額の財政赤字や貿易収支赤字が改善されないままデフレ脱却が視野に入ってくると長期金利が上昇、財政破たんの危機に直面する、と警告。歳出削減と成長戦略推進が急務と呼びかけた。発言要旨は次の通り。

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日本の景気は回復基調をたどっているが、金融緩和の効果以上に、2012年のミニ景気後退からの自律反転と公共投資によるところが大きい。4月の消費財増税後も、景気は回復基調を続ける見込みである。

日本経済は短期的な見通しは明るいものの、長期的には深刻な問題を抱えている。最大のリスクは財政赤字である。現在長期金利は落ち着いているが、「デフレ脱却=2%インフレ」が視野に入ってくると長期金利は最低でも3%程度に上昇してしまう。そうなると、長期債を大量に保有する銀行、特に地銀や信用金庫がダメージを受ける。国債の大量発行に依存する国も国債金利が上昇し多大な影響を受ける。

日本政府は「20年度までにプライマリー・バランス(歳入総額から国債発行収入を差し引いた金額と、歳出総額から国債費を差し引いた金額の収支)黒字化」との目標を掲げているが、名目成長率3%(実質2%)という極めて楽観的な前提で消費税率を10%にしても目標達成は不可能だ。社会保障費を中心とした思い切った歳出削減と成長戦略推進が急務だ。

対GDP比率でギリシャを上回る国債残高を抱えながら日本の財政が維持されてきたのは、(1)国債のほとんどが国内で消化されていたこと、(2)デフレ・低金利で利払い費用が増えなかったこと―などによるもの。しかし、貿易収支が赤字になり、利払い費もすでに増加に転じるなど国債安定消化の基礎は崩れかけている。税収が歳出の半分しかない日本では、デフレ脱却が実現してもプライマリー・バランスすら改善しない。

(財政破たんは)大地震到来に近い世界。日本は高齢化社会で貯蓄率がゼロからマイナスになる。どこかの時点で円安が急伸し、長期金利が上昇してしまう。デフレ脱却後、いずれ起きると、今から備えるべきだ。

海外経済は、各地域が課題を抱えているものの先進国を中心に成長率はやや高まる。米国債のデフォルト、ユーロ解体、中国経済のバブル崩壊といった破局的な事態に陥る確率は小さい。(取材・編集/HY)

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