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「抗日神ドラマ」の放送禁止、中国のネットユーザーはどう見ているか

配信日時:2020年7月28日(火) 8時20分
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中国で荒唐無稽な描写が問題となっていた抗日ドラマの放送を禁止する通知が出された。中国のネットユーザーたちはこれをどう見ているのか。

中国で荒唐無稽な描写が問題となっていた抗日ドラマの放送を禁止する通知が出された。中国のネットユーザーたちはこれをどう見ているのか。

■中国当局が発出した「通知」

中国のラジオやテレビの放送を管轄する機関「国家広播電視総局(広電)」はこのほど、抗日戦争をテーマとしたドラマに関する「通知」を出した。内容は、「抗戦(抗日戦争)勝利75周年を記念して放送するテレビドラマの指導と検査を強化すること」「各放送機関が抗日戦争をテーマとした優秀なドラマを精選すること」を求めるもので、「愛国主義を核心とした偉大な民族精神が、中国人民が抗日戦争に勝利した決定的な要素であったこと、中国共産党の支柱的な役割が勝利の鍵であったことなどを深く説明するもの」であることが求められる。

具体的にはさまざまあるが、中でもメディアやネットをにぎわせているのは「常識や道理に反し、歴史を適当に解釈し、過度に娯楽化した抗日戦争をテーマとするドラマを放送してはならない」という部分だ。

■トンデモ抗日神ドラマ

抗日ドラマの中には、荒唐無稽な演出や時代考証がいいかげんなものがある。例を挙げると、素手で日本兵を引き裂く、登場人物がハーレーダビッドソンを乗り回す、石を投げて戦闘機を撃ち落とすなどだ。

ツッコミどころが満載なのはセリフも同じで、過去には「私の祖父は9歳の時に日本人に殺された(あなたの父親は祖父が何歳の時に生まれたのか)」「抗日8年戦争が始まったぞ!(なぜ8年で終わると分かる?)」といったセリフが笑いのネタになってきた。

こうしたドラマは視聴者から「神ドラマ」「ドラマではなくもはやコント」などとやゆされてきた。

■抗日ドラマに出演した日本人俳優

中国の抗日ドラマに出演したことがある日本人の俳優・美濃輪泰史さんは、過去に現地メディアの取材に対し「スタッフから電話で『5000元(約7万5000円)あげるから遊びに来て』と言われた。自分は役者であって遊び相手じゃない」と憤った話や、監督から「表情を悪そうにすればセリフは適当でいい。1、2、3とかでもいいから」と言われ、「私は演技をしに来た。数字を言わされるくらいなら帰る」と怒ったというエピソードを語った。

美濃輪さんはまた、撮影用に使われた小道具の「旧日本軍の機密文書」がスタッフが機械翻訳しただけのでたらめな日本語だったこと、空手のシーンの撮影に用意されたのがテコンドーの服だったため、自腹で空手着を購入したことなども明かしている。

■メディアの報道

中国メディアの北京青年報は7月27日、このたびの「通知」について伝えた。中国当局がこれまで抗日戦争を過度にエンターテインメント化したドラマに対してたびたび指導してきたことを挙げ、その成果を強調した上で、「抗日戦争勝利75周年に際して再び発せられた『通知』は、これまでの成果を確固たるものにし、創作の方向性を導き、テレビドラマ市場を浄化するために非常に重要な意義を持つ」としている。

また、中国誌・半月談は「日本人を手で引き裂いたり、(女性が)ズボンの中に手りゅう弾を隠したり、銃弾の軌道が変化したり……抗日神ドラマは視聴者の知能を侮辱するものであり、歴史の歪曲、烈士への不敬にあたる」と批判。「抗日神ドラマに画面を汚染させてはならない。適当に作られた文化ごみは徹底的に冷遇しなければならない」と断じた。

■ネットユーザーの反応

今回の「通知」に対するネットユーザーの反応は多くが好意的で、「よくやってくれた」「ようやく(当局も)見ていられなくなったか」「ポイントは視聴者に対する侮辱だということ」「やっとこういうものを見なくて済むようになる」「抗日ドラマが好きな50代の父親も、最近は文句ばかり言ってたよ」「歴史を再現する前提は、歴史を尊重すること」「良い抗日ドラマは本当に意義深いが、『神ドラマ』は視聴者に誤解を生むだけ」といった声が並んだ。一方で、「一体誰がこういうドラマの審査を通しているのか。広電だ」と当局が審査を通過させていることが問題だと指摘する声も上がっている。(編集/北田

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