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<直言!日本と世界の未来>1年後に迫った東京五輪の命運―立石信雄オムロン元会長

配信日時:2020年7月26日(日) 8時0分
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来年夏に延期された東京五輪の開幕まで、あと1年に迫った。世界で新型コロナウイルスの収束が見通せない中で、各国からのアスリートや観客らに安全で安心な環境を提供できるかどうかが、大会の成否のカギとなる

来年夏に延期された東京オリンピック・パラリンピックの開幕まで、あと1年に迫った。開催が待ち遠しいが、課題は山積しているようだ。世界で新型コロナウイルスの収束が見通せない中で、各国からのアスリートや観客らに安全で安心な環境を提供できるかどうかが、大会の成否のカギとなる。

最優先すべきは新型コロナウイリスへの対策である。感染者は日本で東京大阪など都市圏を中心に増加、海外では米国やブラジルをはじめ途上国でも拡大している。

経済への打撃も深刻さを増し、国内の各種の世論調査で東京五輪について「再延期」あるいは「中止」が望ましいと答えた人の合計が過半数に達した。コロナ危機で、国民の多くが1年後の開催を危ぶみ、懸念を深めている実態が浮き彫りになったのは衝撃的である。

大会組織委、東京都、国は会場などでの感染対策について、専門家を交えた話し合いを9月にも本格化させる方針というが、遅すぎると思う。開会式や競技会場でのソーシャルディスタンス(社会的距離)のとり方や、海外から訪れる選手や大会関係者、観客らへの検疫体制に関しても年末をメドに方向性を示すという。不安を払拭するために、早急の方向付けが必要だ。

大会の簡素化・スリム化の具体策も急がねばならない。開会式や聖火リレーなど競技以外のイベントが中心となるが、参加者の絞り込みや規模の縮小などは、費用節減と同時に感染症への対策にもつながる。

具体的なスリム化の内容を早急に詰めるとともに、国内外の選手や、キャンプ地の住民らの安全に配慮した計画を策定することが肝要だ。政府は、防疫や医療の態勢を整えなければならない。海外からの選手団は、役員らを含め1万5000人に上る。コロナが引き続き蔓延まんえんしている国の選手らをどのように受け入れるかなど、難しい問題がある。海外の選手については、入国時はもちろん、定期的なPCR検査の実施が欠かせない。

一方、新型コロナをめぐっては今後、感染の大きな波が襲うことも予想されている。「中止」という判断をせざるを得ない場合、影響の広がりについても検討を進める必要があろう。

企業にとってこれまで、夏冬の五輪は、2年に1度訪れる「商機」でもあった。テレビなどの家電をはじめ新製品や新技術のお披露目、販売促進の場として活用していた。「中止」や「延期」でも発売や開発をストップさせずに、希望を持ち続けてほしい。

東京五輪が開催されれば、経済浮揚効果が得られるものの、感染リスクの懸念が残る。一方、中止になれば感染封じ込めに期待が持てるが、経済へのダメージは甚大になる。いずれにしても瀬戸際の判断になりそうだ。

<直言篇125>



■筆者プロフィール:立石信雄
1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。SAM「The Taylor Key Award」受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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