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中国経済は「体制移行の罠」に陥る恐れ=潜在成長率急落、住宅バブル懸念も―関志雄シニアフェロー

配信日時:2014年1月27日(月) 6時40分
中国経済は「体制移行の罠」に陥る恐れ=潜在成長率急落、住宅バブル懸念も―関志雄シニアフェロー
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24日、中国事情に詳しい関志雄・野村資本市場研究所シニアフェローは「中国経済の現状と課題」をテーマに日本記者クラブで記者会見。中国経済は「体制移行の罠」に陥る恐れがあり、住宅バブルの懸念が強いとの見解を明らかにした。
2013年1月24日、中国事情に詳しい関志雄・野村資本市場研究所シニアフェローは「中国経済の現状と課題」をテーマに日本記者クラブで記者会見。中国経済は「体制移行の罠」に陥る恐れがあり、潜在成長率下落や住宅バブルの懸念が強い、との見解を明らかにした。発言要旨は次の通り。

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中国において、「ルイスの転換点」(安価な余剰労働力が枯渇して、賃金上昇が引き起こされること)の到来を受けて、労働力が過剰から不足に転換した結果、潜在成長率が大幅に低下している。景気過熱の現状から判断して、中国の潜在成長率は、既に現在の実績値の名目GDP経済成長率7.7%(2013年速報)を大きく下回る7%程度に急落しているとみられる。したがって7.7%の成長率はむしろ好景気を意味する。失業よりも景気過熱が懸念され、政府のマクロ政策のスタンスも慎重にならざるを得ない。

今後の中国経済の発展は、産業構造も含めた経済構造の転換が実現できるかどうかにかかっている。構造転換が実現できずに従来型の成長パターンを続けるならば経済成長は失速する可能性が高くなる。

住宅価格はバブルの様相。標準住宅(70平方メートル)の販売価格は、家計の平均所得比で、北京が22倍、上海が16倍に達し、マイホームの夢が遠のいてしまう庶民の間で不満が高まっている。住宅バブルがさらに膨張すれば、それが崩壊するときに、銀行部門やマクロ経済が大きな打撃を受けることも懸念されている。2010年以降、中国政府は(1)融資規制、購入制限、不動産関連税制の強化など関連需要抑制策、(2)低所得者向け住宅の建設など供給拡大策―などの対策を講じている。これらが奏功するかがカギとなる。

市場競争が激しさを増す中で、銀行は気勢を回避するために従来の貸し出しに代わる融資の手法として、シャドーバンキング(影の銀行)を活用。その規模は2013年3月末に、約17兆元(約272兆円)と推計される。ただ、(1)従来の銀行の貸出と比べまだ小さい、(2)銀行の財務状況が良好で、シャドーバンキング関連業務から損失が発生しても自己資本や貸倒引当金で対応可能、(3)大半の銀行は国有であり、万が一の場合でも政府に支援してもらえる、(4)資本移動が制限されており、人民元は投機の対象になりにくい――などの理由から、米国で起きたサブプライム・ローン問題と異なり、システミックリスク(金融システム全体を麻痺させるような危機)につながる懸念は少ない。

中国経済は、賃金上昇に伴う輸出競争力低下や経済構造転換の遅れなどにより先進国になる前に失速する「中所得の罠」と、政府の役割転換や国有企業改革の遅れなどによる「体制移行の罠」の2つの難題に直面している。2012年に1人当たりの年間所得は約6000ドル(約63万円)に達し、急拡大しており、数年で1万ドル(約104万円)を超えると予想される。イノベーションを通じた生産性の上昇もあり、「中心国の罠」はクリアできそうだ。

土地などの重要な資源のコントロールと基幹産業の国有企業による独占が続き、政府の介入色が強い。国有企業の民営化をはじめとする市場経済拡大が急務だが、ソ連東欧の体制崩壊の前例の教訓から中国政府は急進的な改革に慎重で、漸進的なものにとどまっている。また、経済関係の法律が十分整備されていない上に、信用と取引秩序の基盤が不備で、このままでは「体制移行の罠」に陥る恐れがある。

昨年秋の三中全会で、財政税制改革や都市・農村政策、自由貿易試験区の拡大、社会保障拡充、一人っ子政策見直しなどが打ち出された。これらは西側の経済社会制度である「ワシントンコンセンサス」を思わせる改革案であり、実行されるかが注目点である。(取材・編集/HY)
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