遅れてやってきた「大学入試経済」、引き続き前進を続ける―中国

人民網日本語版    2020年7月11日(土) 0時40分

拡大

今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、試験の時期が1カ月遅れ、「大学入試経済」の訪れも例年より遅かったものの、受験生とその家族の消費意欲は例年に少しも引けを取らない。資料写真。

2020年の中国大学統一入学試験が7日に幕を開けた。これまでずっと大学入試を通じて発揮されきた、指導、コンサルティング、ホテル、外食、デジタル、旅行、娯楽など各業界をカバーする強大な消費力が、独特の「大学入試経済」を形成してきた。今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、試験の時期が1カ月遅れ、「大学入試経済」の訪れも例年より遅かったものの、受験生とその家族の消費意欲は例年に少しも引けを取らない。

試験前:周辺商品が便乗して人気に

7日午前11時50分頃、張さんは「逢考必過(試験に必ず合格)」と書かれた赤い試験用「戦闘服」を着て南京市第十三中学の試験場から出てきた。「作文の問題がちょっと難しかったけれど、力を尽くした」と話し、疲れた様子の中にもほっとした気持ちをのぞかせた。

張さんは手に持った文房具入れの袋に入っている「錦繍前程(前途洋々)」や「金榜題名(合格)」などと刻印されたサインペン、「君は一人で戦っているんじゃない」とプリントされた消しゴムを見て、にっこり笑った。試験前にクラスの仲良したちと一緒にネットでこうした試験グッズを買って、自分に心理的な暗示をかけたのだという。

ここ数年、チャイナドレスを着た母親と馬掛(腰までの短い長袖の上着)を着た父親が、大学入試の試験場外の風物詩になっていた。特に試験まであと少しという時期になると、受験ムードを盛り上げるグッズが飛ぶように売れる。がんばれとプリントされたTシャツ、合格祈願のブレスレット、「逢考必過」がテーマの福袋などがあり、こうしたグッズには合格を願う思いが託され、親と受験生にとても人気がある。

業界関係者によると、大学受験は各方面が注目する話題で、関連グッズと関連サービスが便乗して人気を集めると同時に、文化産業の発展も牽引することができるという。たとえばクリエーティブグッズには知識と文化を伝える役割が求められ、もしも南京の科挙文化の奥深さを深く探りつつ、今人気があるものと結びつけることができれば、その商品は市場でより高い人気を得られるという。

試験期間中:安心して滞在、飲食には注意

データによると、今年の大学入試シーズンのホテル予約件数はその前の月に比べて30%以上増加し、6月以降は入試の合間に休憩する部屋の検索件数が同2000%増加した。縁起を担いで、ホテルの中には部屋番号を「985」や「211」(中国の重点大学建設プロジェクトにちなんだもの)に変えるところもある。

またデータでは、試験会場から2キロメートル以内のミドル・ハイクラス星級ホテルは特に人気があり、衛生状態や消毒などの防疫措置も受験生と親達がホテルを決める時に検討する重要な要素だ。予約件数をみると、上位3都市は上海杭州成都で、2つの古都である西安と南京がこれに続き、「アカデミー会員の街」と呼ばれる蘇州も上位10位以内に入った。

注目されるのは、3日間の試験中の食事について、今年は業者側の意欲がそれほど高くないことだ。一部の星級ホテルが受験生向けのセットメニューを打ち出すだけで、他の多くのホテルでは自分の食事は自分でなんとかしなければならない。南京市建鄴区にあるホテルの責任者は、「お泊まりになる部屋は、真剣に掃除して消毒し、少しも手を抜かない。しかし飲食に関しては、非常に慎重だ。夏場で気温が高く、食材への要求も高く、特に感染症の影響もあって、受験生と家族はケンタッキーやマクドナルドなどのファーストフードを選ぶことが多く、外での食事にはとても気を遣っている」と話した。

おいしいものはプレッシャーを和らげる最良の選択だ。感染症の影響はあるが、ビジネスチャンスはやはり存在する。たとえば試験期間中、「元祖ケーキ」は「金榜題名」のメッセージ入り生クリームケーキを受験生向けに売り出し、ピザハットは中国語の会社名「必勝客」にひっかけたセットメニューを打ち出した。

試験終了後:願書作成アプリが発展の好機迎える

3日間の試験があっという間に終わると、成績が次々に明らかになり、次は願書をどこに出すかが受験生とその親にとって何よりもの重大事になる。受験の手引きを見るより、ビッグデータの方が便利で、願書作成に関連したアプリが受験シーズンに合わせて誕生した。

アップルストアで検索すると、大学受験願書作成関連アプリは30種類ほどあり、無料相談のアプリもあれば、料金を払わないと使用できないアプリもあり、料金は100元(約1500円)から数万元(数十万円)までさまざまだ。そこで試しに某アプリを使ってみた。試験に関する情報を江蘇省、得点370点、歴史政治はA評価と打ち込んだところ、出てきた優先的志望校のおすすめは、チャレンジ校が3校、安全圏が31校、滑り止めが148校だった。しかしすすめられた大学の具体的な情報は料金を払って会員にならなければ見られなかった。

業界関係者の予測では、大学受験の学生募集が6000億元(約9万円)規模の市場を生み出すとみられ、志望校選択に関連したサービスが人気を集め、市場での競争が日に日に白熱している。たとえば「極志願」というアプリは今年は同じ点数の受験生の動向、1回の操作で願書を作成、人気の大学、人気の専攻などに関する機能を新たに付け加えた。「報考大学」アプリは職業百貨、専攻・学生募集の2項目のリストから選択肢を提示するなどの機能を打ち出した。業界関係者は、「データを把握するということでは、商業用アプリに優位性はなく、市場に出回るアプリは主に情報を統合し、得点から受験可能な大学を急速に計算して提示するというものだ。伝統的な本の情報を見て願書を作成するやり方より、ビッグデータの分析を利用して合格の精度を上げるのが、今の大きな流れだ。人工知能(AI)やビッグデータの発展にともなって、大学受験の願書作成ツールが持続的な発展と最適化のタイミングを迎えている」と述べた。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携