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<コラム>中国の宇宙開発 ユニークな日本の位置 2

配信日時:2020年7月5日(日) 15時0分
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アメリカは民間活用で、中断していた月や火星を目指す。中国は、独自の開発を続ける。写真は嫦娥4号を搭載したロケット。

アメリカは民間活用で、中断していた月や火星を目指す。中国は、独自の開発を続ける。

中国は2016年に量子通信衛星「墨子号」を打ち上げているけれど、2019年に月探査機「嫦娥4号」で世界初、月の裏側への軟着陸を成功させている。

※降りたのは、アメリカなどでも到着させた、よく見慣れた月面探査車と同じような形態だ。だがこの着陸に先立って、月と地球のラグランジュ点(重力が釣り合う点)に「鵲橋」(じゃっきょう)という中継衛星を配置。この衛星の名前は、中国の旧暦、七夕の日に天の川に架かるとされる橋である。

ロケット「長征」は無骨だが、後の命名は夢があってユニークだ。アメリカのアポロとか、チャレンジャーもいい、と吾輩は思う。

「なんで、中継衛星いるのでっかいな?」

「裏に行ったら、電波がとどかへんやろ」

「そうでんな。ワン」

因みに、墨子(ぼくし)、というのは中国の思想家の名前である。「嫦娥」(じょうが)は、神話から来ている。仙女の名前で、夫の部屋にあった不老不死の薬を盗んで食べ、月へ行って、その後、ずっと月面に暮らしているという。

「かぐや姫、でんな」

「かもねえ。日本でも嫦娥の、もの凄い数の仙女の絵が描かれているねからえ。吾輩も一つ、昔の花の精のものに手を入れてみた」

「仙女より、やっぱり花の精でんな」

「ま、勘弁、勘弁」

宇宙開発は米ソ、(「ソ」とは略称「ソ連」のこと)が先陣争いをしてきた。

※ソ連-世界で初めて誕生した社会主義国ソビエト連邦のこと。1991年に崩壊してロシアと多数の国になった。

それがどうやら「米・中」の争いになるらしい。いや「中・米」か。難しい。この辺りの言葉の使い方。

余談

「またかいな」

「うるさいな。だまって聞け! ワン! 吾輩は主人である」

「へい」

実はこの宇宙のことを書いてきたが、コロナ騒動で、どうも心配だ。経済が大きく落ち込むと、宇宙開発どころでなくなる。吾輩の青年時代に、人類は月に立った。その時分「次は月基地か、火星探査か」とワクワクした。

「わかりましたで」

「判ったか、ありがとう、ワン…、いつから生きている? まあいいか?」

だが、である。それから50年経っても、月に人類は行っていないし、もちろん基地もない。だから、今回も50年くらいは足踏みするかも知れない。ただ、経済が落ち込み、米・中がにらみ合い、暗い時代になると、反対に希望を求めて宇宙開発が進むかも知れない。

そこに我が国のユニークさが活かされてくるはずだ。日本人は、何でも小型化する。これは宇宙時代、第二次大航海時代には大切な武器だ。

「器用でんものな」

「そう。我が国は、いまはロボット先進国だが、江戸時代にもロボットは作られている」

「阿呆な」

「からくり人形という」

「人形でっかいな」

その伝統の上に、小型化が進んでいく。なにせ、国土が小さく、平地は極めて少ない。資源はほとんどなく、人口が多い。そして家は小さい。大きなものは邪魔になる。節約して、しかも効率的にならざるを得ない。

例えばトランジスタは、半導体で、例によってアメリカのベル研究所発だ。これを利用したラジオは世界各地で作られる。1955年にソニー(現在名)がトランジスタラジオを発売しているが、その小型ラジオがやがて、世界の小型機器を先導する端緒になる。

「ラジオって昔からありますやろ」

「真空管のものがね」

「あらら、でかいでんな」

「この電球みたいなのが、ラジオには3本も5本も必要だった」

「ラジオもでかくなりまんな」

「しかも、電球どうよう熱を持つ」

「あらら」

「テレビはいまは液晶だけれど、昔はブラウン管という、やっぱり一種の真空管で、あったな」

「ご、ご主人様、ヘヘーッ。えらいこと知ってはりますなあ」

「だから、30インチのテレビというと、浴槽くらいの大きさで」

「あらら…」

というわけで、発明されたかどうかはともかく、小さく、薄くするのは我が国の「匠の技」である。改良に改良を重ねていく。この技術は、地球の重力に逆らって宇宙に出ていくには必須なのだ。また人が生活する総てのものを運ばないといけない。当然、小型化できるものは、できるだけそうする必要がある。

「ハヤブサ2」が、今年の暮れに帰ってきて、資料を落として、また旅立つらしい。この「ハヤブサ2」は、重さは600キロ。大きさは、1m×1.6m×1.25m、と大きめの冷蔵庫より一回り大きいくらい。このスケールの中に、エンジンから、燃料、通信機器、試料採取器とあらゆるものを詰め込むのだから、総てを効率よく小型化する必要がある。

「なるほど、そういう意味では、大航海時代は、日本の時代でもありまんな」

「そう、コロナでバタバタしたけれど、日本の世紀にしてほしいねえ」

「大丈夫でっせ、ご主人様も、この調子やとあと100年は生きまんな」

ワンがまたニヤリとした。気味が悪い。この犬なんやろ?

■筆者プロフィール:石川希理
1947年神戸市生まれ。団塊世代の高齢者。板宿小学校・飛松中学校・星陵高校・神戸学院大学・仏教大学卒。同窓生いるかな?小説・童話の創作と、仏教の勉強と瞑想を10年ほど。明石市と西脇市の文芸祭り選者。児童文学のアンソロジー単行本、小説の自家版文庫本など。

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