<驚くべきインバウンド後進国ニッポン(3)>果たしてここに市場は存在するのか!?

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インバウンド観光をする場合、まずどこの国をターゲットにするかで、ノウハウが変わってきます。一つの方法や金太郎飴では、この世界は全く通用しません。写真は倉敷美観地区の日暮れ後の散歩。日本の重要歴史的建造物群は外客誘致の切り札です。

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インバウンド観光をする場合、まずどこの国をターゲットにするかで、ノウハウが変わってきます。一つの方法や金太郎飴では、この世界は全く通用しません。全体に言える事は、明治維新以来模倣をしてきた成功体験が通じないことです。従来の価値観念も全く通用しない世界に我々が直面しているのではないかと思えるのです。これは簡単に解決できる問題ではありませんが、急激ではなく、できるところから手を付ければいいのではないでしょうか。中国で最近あまり使用しなくなった良い言葉があります。「愚公移山(ぐこう山を移す)」ということわざです、意味はばかなオヤジが少しずつ山を削ってゆき、山も最後には無くなったという故事です。

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世界ではフランスがインバウンド世界一ですが、訪問外国人客数は8301万人。しかし考えてください。フランスはヨーロッパ大陸でユーラシア大陸と陸続きです。陸続きの国からは車で高速を使って行けます。ユーロ圏であれば入管手続きも要りません。それに比べ日本は、地球の反対側の極東という東の果てに位置します。空港はあってもハブ空港はほかのアジア諸国に移ってしまい利用料も高い、便数も制限されております、ノービザも増えましたが治安維持のために完全にノービザには難しい状態です。おもてなしをしようとしても、地理的にはマイナーな観光地なのです。24時間空港はわずか2箇所、しかも夜中に着けば朝まで市内アクセスがありません。無料wifi提供の問題や外国語看板、通訳ガイドの数と質の両面など整備改善しなければならない問題は山積状態です。フランスの場合、欧州の真ん中に位置して、多くの観光資源やブランドも多い上に、MICE等政府の積極的な政策も成果を上げております。私の欧州の友人のすべては何カ国後もしゃべります(ただし書けない)。これは当たり前のことであり、しゃべれないのは文盲と同じ状態なのです。それから言えば、現在の日本人のレベルはまだまだ島国から抜け出せず、井戸の蛙に見えます。

つまりインバウンドを真剣にやろうと思えば、運輸交通標識等のハード面や語学、習慣や嗜好調査といったソフト面の両面を同時に克服しなければなりません。インバウンド後進国とか政府の失策とか非常にネガティブな話をしてきましたが、市場経済学的に見れば、発展の余地があるということで市場の将来に大いに希望が持てるということが言えます。これは私が現場で接待したお客様より直に市場のニーズを絶えず感じていたので、東日本大震災とか尖閣国有化といった絶望的なニュースがあっても、この仕事を続けてきた原因なのです。低成長の先進国で数少ない未開発の市場、これがインバウンドマーケットなのです。しかしながら、インバウンドマーケットといえば、特殊な人しか携われないイメージが強くあります。確かにそのような事実はあります。次回はインバウンドマーケットのキーマンについてお話しします。

◆筆者プロフィール:水谷 浩(仁宣)

現役通訳案内士(中国語)の他、各種通訳と翻訳、講演と執筆、訪日外客コンサルとビジネスマッチング(日本と海外)を展開する。4代に渡る中国と台湾に関わりを持つ日本人の家系に生まれ育つ。北京大学留学後、第2次産業に長く勤務し、攻めの営業と企画で挑戦するという信条の基、新市場への新商品の開発・展開を得意としてきた。現在は訪日外客ビジネスを一大新成長産業に育成することに執念を燃やす。語学・旅行等の資格・スキルとIT技術の駆使で関連業界の垂直統合戦略による需要獲得を目指している。銀聯カード決済関連会社のサイトで、中国・中華市場向け中国語旅行ブログ“中日導游游日記”を長期連載している。

国家資格:通訳案内士(中国語)、国内・総合旅行業務取扱管理者、国内・総合旅程管理主任



   

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