上海-杭州リニアはなぜ「道半ばで頓挫」したか?―中国メディア

人民網日本語版    2020年6月25日(木) 10時0分

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上海市にある同済大学のリニアモーターカー試験線路をブルーグレー色のテスト車両が駆け抜けた。

21日、上海市にある同済大学のリニアモーターカー試験線路を、ブルーグレー色のテスト車両が駆け抜けた。これは中車四方が開発した時速600キロメートルで走行する高速リニアモーターカーテスト車両の1回目の走行テストだ。北京市や長沙市で開通した中・低速リニア路線とは異なり、高速リニアは高速鉄道と民間航空の間の空白を埋めるものとみなされるが、10数年前に始動した上海-杭州市間のリニアプロジェクトは残念なことに「道半ばで頓挫」している。北京日報アプリが伝えた。

■上海-杭州リニアはなぜ「道半ばで頓挫」?

上海浦東国際空港駅から竜陽路駅まで、世界で初めて商業運営が開始された高速リニア路線が、時速430キロメートルの最高速度を樹立した。しかしこの路線は全長約30キロメートルしかなく、高速リニアの優位性を完全には発揮できていない。

2006年、上海-杭州間のリニアプロジェクトが立ち上がり、実行可能性を検討する段階に入った。同年の環境評価報告は、「上海-杭州リニアは竜陽路駅から南西に伸びて上海南駅まで延伸した後、2つの路線に分かれる。支線は北上して上海虹橋国際空港の総合交通ターミナルにつながり、本線は南下して浙江省の嘉興市、杭州市に向かう」としていた。

路線の評価審査に関わっていた同大学の孫章(スン・ジャン)教授は、「当時の路線計画はとても合理的であり、上海-杭州リニアは実際には上海リニア路線の延伸だった。しかし沿線住民のリニアに対する誤解や反対などに遭い、上海-杭州リニアプロジェクトは中断することになり、今なお実現していない。幸い、今ならまだ遅くない。当時のリニア技術や土木関連のことを知る人材がまだ残っている」と語る。

このプロジェクトは頓挫したが、中国のリニア技術の追求が止まることはない。ここ数年、長沙と北京で時速100キロメートルの中・低速リニア路線が相次いで完成し、中国独自の技術を実現した。現在開発中の高速リニアの時速は中低速路線を超え、頓挫した上海-杭州リニアも超え、600キロメートルに到達した。

中車公司の説明によると、「時速600キロメートルの高速リニア交通システムの開発は、科学技術部の国家重点研究開発計画『先進的鉄道交通』の重点特定課題であり、中国国内の高速鉄道分野、リニアモーターカー分野の優位性あるリソースを集結し、企業30数社、大学、科学研究機関と連携して共同で難関攻略を目指すものだ。目的は高速リニアのコア技術を確立することにある」という。

上海リニア路線がドイツの技術を採用したのと異なり、この中国が独自の知的財産権をもつ時速600キロメートルの高速リニアプロジェクト化システムは、中国高速リニアの産業化能力を形成しようとしている。

■速度は高速鉄道を追い抜く、高速鉄道と民間航空の間の空白を埋める

孫氏は、「現在の技術的条件の下では、高速鉄道は空気抵抗、騒音、摩擦などの影響を受けるため、これ以上速度を上げることは難しい。リニア技術では車体を浮かせるため、摩擦が小さく、騒音が少ない上に、より速い速度を実現できる」と述べた。

中国が運営建設する高速鉄道の最高時速は350キロメートルで、民間旅客機の巡航速度は一般的に時速800-900キロメートルだ。高速リニアはちょうど両者の空白を埋めることになり、航空機、高速鉄道、高速リニア、都市交通からなる、速度のカーブがより合理的、高効率、柔軟で便利な多角的交通の枠組を形成し、さまざまな移動交通のニーズに応えることになる。

リニア技術は以前、大規模な放射能汚染を引き起こすと誤解されたことがあった。しかし多くの専門家がテストを重ねた結果、リニアの放射線量は高くないことが証明された。例えば、第三者企業による長沙リニア路線の放射線量測定データをみると、リニアの約1メートルの距離での放射線量は10マイクロシーベルト毎時で、電子レンジの放射線量より小さかった。約3メートルの距離では1マイクロシーベルト毎時でドライヤーより小さく、約5メートルなら0.3マイクロシーベルト毎時で、いずれも国家標準の要求に合致する。

しかし現行の技術では、高速リニアの技術設備のコストが高く、建造価格も高速鉄道を上回る。孫氏の計算では、高速リニアの建造費は高速鉄道の約1.5倍だ。リニア技術で先行する日本でも、コストは新幹線を上回る。孫氏は、「しかし日本には政策があり、路線を建設する時にリニアと新幹線の2つの技術の建造価格にそれほど大きな差がなければ、リニア技術を奨励すると同時に、資金面でバックアップすることになっている」と述べた。

また、リニアにはカーブの半径が小さい、勾配を上る能力が高いなどの優位性があるため、路線建設にあたって収用する土地の範囲と住民の移転コストが高速鉄道よりも少なくなる。

中車公司によると、「高速リニアの応用シーンは豊富にあり、まず長距離輸送に、すなわち『回廊型』交通の長距離輸送に応用できる。大型ハブ都市間または都市群間に高速回廊を構築し、地域間の協同発展を促進する。また、中短距離旅客輸送に、すなわち『通勤手段化』や『都市一体化』した交通に応用できる。大都市の通勤や都市群内の隣り合った都市間の接続に応用し、30分から1時間で移動できる経済圏を打ち出し、都市圏と都市群の『一体化』、『都市一体化』した発展を促進する」という。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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