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北京卸売市場の感染源いまだ謎、コールドチェーンは信頼できるか―中国メディア

配信日時:2020年6月24日(水) 21時0分
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北京市の新発地卸売市場で発生した新型コロナウイルス感染症の感染源が何かは、いまだに未解決の謎だ。写真は北京の核酸検査。

北京市の新発地卸売市場で発生した新型コロナウイルス感染症の感染源が何かは、いまだに未解決の謎だ。

しかしコールドチェーンは発生当初から「容疑者」扱いされてきた。その後、疫学調査を重ねる中でわかったのは、新発地卸売市場の水産ホール、牛肉・羊肉ホールの環境サンプルは新型コロナウイルスの陽性判定が比較的多く、新型肺炎と診断された人の中では、水産部門の販売担当者が最も多く、そして発症が最も早かったことだ。この100万人の物流関係者の生活を支え、人々の食卓にたくさんの幸せを運ぶ産業は、本当にこのたびの感染症ぶり返しの元凶なのか、どのようなリスクが潜むのか、感染症が過ぎ去った後でどのような変化が訪れるだろうか。

■1枚のまな板が引き起こした議論

56日間の平穏な日々の後、6月11日に北京で突然、新型コロナウイルス感染症の患者1人が報告された。翌12日には、新発地卸売市場の張玉璽会長がメディアに対し、「輸入サーモンをカットしたまな板から新型コロナウイルスが検出された」と述べた。

13日3時、北京市豊台区の関連当局が、「新発地卸売市場はしばらく閉鎖する」と発表。市民の間では「サーモンを食べると新型コロナウイルスに感染するのか」といった議論が盛んに行われている。

香港大学の新規発生感染症国家重点実験室の室長およびインフルエンザ研究センターのセンター長を務める管軼氏は、「新発地の症例は、コールドチェーンか市場に出入りする人によって伝播されたという2つの可能性がある」と述べた。

管氏は、「新型コロナがコールチェーン経由で伝播するのは目新しいことではない」とした上で、「この可能性が最も高い。これまでにこうしたケースはたくさんある。欧米では屠畜場で新型コロナが猛威を振るい、米国の空母『セオドア・ルーズベルト』では抗体検査の結果、乗組員の60%が陽性だった。乗組員が数カ月間、上陸していない空母で感染が起きたことから、コールドチェーンが伝播経路になった可能性がある」という。

国家食品安全リスク評価センター微生物実験室の李鳳琴室長の見方では、「世界保健機関(WHO)が明らかにしているように、新型コロナウイルスは主に呼吸器、飛沫感染、濃厚な接触により感染し、シーフードを含むすべての食品では感染しないが、食品が汚染されている可能性はある」という。

中国疾病予防管理センターの感染症学首席専門家である呉尊友氏は、「研究者が普段採取するウイルスを含んだ生物サンプルは低温保存され、温度が低ければ低いほど、ウイルスの生存時間も長くなる。卸売市場のシーフードの多くは冷凍保存されており、こうした環境ではウイルスはより生存しやすくなり、人に感染する確率も高くなる」と述べた。

生存時間が最長でどれくらいになるかは、まだ定説がない。

北京交通大学経済管理学院の蘭洪傑教授は長年にわたりコールドチェーンによる物流の管理を研究してきた。蘭氏によると、「新発地でのこのたびの感染症発生には主に2つの可能性がある。ウイルスが汚染された物品を通じて新発地に持ち込まれた可能性、感染した人を経由して、特に症状がごく軽いか無症状の感染者を経由して新発地に持ち込まれた可能性が考えられる。しかし最終的な正確な結論を得ようと思ったら、より多くサンプルを採取し調査しなければならない」という。

■人が関わる段階すべてで感染の可能性

中物聯物業集団コールドチェーン委員会の秦玉鳴事務局長は、「中国のコールドチェーンによる物流は2008年の北京五輪の時に質的な飛躍があり、2010年に国家発展改革委員会が打ち出した初のコールドチェーン計画によってコールドチェーンの理念が普及し始めた。ここ数年、コールドチェーン産業では全国規模の倉庫・配送ネットワークが徐々に形成されている」と述べた。

秦氏は、「2018年以降、全国民の間でコールドチェーンのニーズが爆発的に増加した」と述べ、同委員会の関係者は、「ここ数年、コールドチェーンによる物流の需要量が飛躍的に伸びている。19年は14年に比べ、総需要量が153%増加した」と伝えた。

食品はコールドチェーンによる物流の主な対象商品だ。前出の蘭氏は、「この業界はGDP(国内総生産)成長率よりも速いペースで発展している。ノルウェーのサーモンであれ、海南島のトロピカルフルーツであれ、コールドチェーンがなければ全国各地に運べない」と述べた。

また蘭氏は、「いくかの主要段階として輸送、倉庫、パッケージ、積み卸し・運搬、流通・加工、配送などのプロセスがある。一般的に固定的なポイントではスキは生じにくく、積み卸し・運搬、パッケージ、流通・加工では人が関われば汚染される可能性がある」との見方を示した。

■コールドチェーンによる物流はどうしたら安全性を高められるか

新発地市場で検出されたウイルスの遺伝子配列とこれまでに公表された欧州検出のウイルスの遺伝子配列は似ている。この発見により、コールドチェーンによる物流が海外の汚染された物品を中国国内の食品市場に持ち込んだという推測がさらに注目を集めることになった。

米国の食品団体は、中国の輸入食品消費量の年平均増加率はこれから15%以上を維持すると予測し、中国は19年に最大の食品輸入国になったと伝えた。

海外の食品が中国に入る時、最初の防波堤は税関だ。コールドチェーン委の説明によると、「中国税関には厳格な安全予防管理措置が備わり、『3つの関門』によって輸入食品の品質と安全性を保障する。中国に食品を輸出する国・地域がくぐる『参入の関門』、海外の対中輸出食品メーカーがくぐる『登録の関門』、対中食品輸出企業がくぐる『記録の関門』だ」という。

同委の研究者の説明では、「現在、中国のコールドチェーンによる物流はまだ初期の発展段階にあり、標準化という点では日本、米国、ドイツ、イギリス、カナダなどの先進国との間でなお大きな開きがある」という。

感染症を前にして、ピンチの中にはチャンスがある。同委はコールドチェーン物流産業の成長を推進する12か条の提言を打ち出し、その中で、この機会を活かしてコールドチェーンによる物流プロセスにおけるセキュリティーを強化し、集約型管理を推進し、人と物品の接触を減らすこと、また企業の組織力とデジタル化能力を高め、科学技術によって産業の全プロセスを追跡可能とし可視化するための取り組みを推進し、資源をよりよく配置することを求めた。

複数の専門家がさまざまな場面で強調するように、つまるところ、汚染された環境から人が感染したにしろ、汚染された物に触った体の一部を口や鼻に近づけたにしろ、マスク着用、手洗いなど個人でできる防護措置に問題があったことは確かだ。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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