「ケチ」が自慢?イマドキの若者がケチぶりを競うのはなぜか―中国メディア

人民網日本語版    2020年6月23日(火) 6時40分

拡大

インターネットの世界では、若者はケチであることや貧乏であることを隠さないどころか、よりケチであることを誇りに思うようにさえなった。写真は北京。

新型コロナウイルス感染症の打撃を受けて、若者の生活に不確実性がもたらされている。インターネットの世界では、若者はケチであることや貧乏であることを隠さないどころか、よりケチであることを誇りに思うようにさえなった。ケチをきっかけにして友だちを作り、ケチのテクニックを交換する。こうしたケチケチぶりを比べ合う若者の行為の背後には、一種のユーモアという要素ももちろんあるが、そこにはさらに、モノを使い尽くそうとし、過度な消費を拒絶する、今の時代における心理状態の変化が潜んでいる。中国青年報が伝えた。

■消費主義から実用主義へ転換

安全感が賈小雨さんの消費観に一定の変化をもたらした。

感染症の流行中に、賈さんは失業して家にこもり、貯金を切り崩して生活する中で、初めて「お金」の重要性を意識した。

95後(1995年から1999年生まれ)の賈さんはこれまでの消費観を考え直すようになった。以前は1000元(約1万5000円)のトップスを買ったら、1000元のパンツと1000元の靴をコーディネートして、さらに2000元(約3万円)のバッグも買わなければならない。こうするしかちゃんと本物を着ているように見えないのだ。

賈さんは、「でも実際に本当にこの物が必要なんだろうか」と自問し、「必要ない」という答えが出ると、ケチになることに決めた。

こうした変化が訪れた原因は2つあり、1つは両親の老いに気づいたことだ。両親の老後のためにお金を貯めようと思ったという。もう1つは感染症がもたらした危機感だ。今後いついかなる時も、お金に困ることなく、安定した保障のある暮らしをしたいと望んでいる。

賈さんと同じような考え方をする若者は決して少なくない。中国人民銀行(中央銀行)が4月28日に発表した「2020年第1四半期都市部預金者アンケート調査報告」によると、「もっと消費したい」と答えた人は22.0%で前期比6.0ポイント(p)低下し、「もっと貯金したい」は53.0%で同7.3p上昇したという。

中国社会科学院社会発展戦略研究院の戈艶霞研究員は、「新型肺炎の影響により、若者の中には何カ月も続けて収入がゼロという人もおり、当面の暮らしの質が下がっただけでなく、未来の暮らしへの予想も相対的に低下した」と述べた。

インターネットをみると、「ケチ男子連合会」とか「ケチ女子連合会」などの各種「ケチグループ」が立ち上がり、メンバーはお金を節約する経済面での実用的なコツなどのコンテンツを数多く共有する。

95後の劉●(●は王へんに諭のつくり)さんはこうしたグループを通じてたくさんの収穫があったという。劉さんはごく普通の家庭で育ち、大学を卒業すると広州市の食品業界に就職し、給与は一般的な水準だ。最近はスーパーのタイムセールや在庫一掃に狙いを定めたり、ポイント還元ショッピングソフトを利用したり、毎日アプリにアクセスしてポイントをためたりしている。さらにグループで「家計簿」を更新し、毎日の出費を細大漏らさず記録する。「ある期間にしょっちゅう飲み物を買っていたとしたら、家計簿をつけることで飲み物にどれくらいたくさんお金を使っていたかがわかり、次に飲みたいと思った時は、自分を抑えることができる」という。

「安さが自分の買い物の原則ではない。原則は必要かどうかだ」。自身がモットーとする消費観について徐々にこのような結論に至った劉さんは、消費主義隆盛の背後にあるロジック——あの手この手で消費者を引きつけようとする多くの業者のトリックを看破する。「生涯で必ず持つべきもの」とか「必需品」などといって人々の視線を引きつけ、「これは自分にとって必要なものだ」と錯覚させているという。

ケチ仲間たちは実に多彩な節約のコツを導き出した。「買い物は企業の調達と一緒で、コストの分析と競合製品の比較検討が必要。前にホテルでとてもおいしそうな月餅を売っているのを見て、ホテルのサイトからOEM(他社ブランド製造)工場の淘宝(タオバオ)店舗に飛んで、そこで月餅を買った」。「想像力で消費意欲を抑えられる。たとえばミルクティーやおやつは無駄遣いだし太ると自分に言い聞かせることで、消費意欲を抑えられる」。「淘宝で服や靴を見たことなんかない。見るのは不動産競売チャンネルで、中には20数万元で頭金があればローンが利用できる物件もあり、他のつまらないモノを買わないよう自分を励ますことができる」など、いろいろなコツがある。

戈さんは、「商品を購入するという行為には消費者の物質的なニーズと精神的なニーズが反映されており、若者の消費観は『消費主義』から『実用主義』へと転換しつつあり、若者の消費行為における精神的ニーズは低下した。若者の精神的ニーズは今ではかつてのように消費に強く依拠して得られるものではなくなり、これは若者の消費観が理性的な消費観に戻る上である程度プラスになる。もちろん、こうした転換はぜいたく品などのニーズも減少させ、消費市場の供給側には新たな挑戦と変化をもたらす可能性がある」と分析した。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携