「韓国初のWTO事務局長」に自信を見せる韓国と阻止したい日本、互いに警戒強める

Record China    2020年7月11日(土) 22時40分

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9日、世界貿易機関の次期事務局長選挙に韓国の兪明希産業通商資源部通商交渉本部長ら8人が名乗りを上げた。半導体素材の輸出規制問題で対立する日韓のメディアは早くも互いに警戒を強めている。写真はソウル。

9日、世界貿易機関(WTO)の次期事務局長選挙に韓国の兪明希(ユ・ミョンヒ)産業通商資源部通商交渉本部長をはじめ、ナイジェリア、ケニア、英国サウジアラビアなどから8人が名乗りを上げた。今回が3度目の挑戦となる韓国は「勝算は十分にある」とみている。兪本部長が選出されれば「韓国初・女性初」の事務局長となる。これから選挙に向けた本格的な外交戦がスタートするが、半導体素材の輸出規制問題で対立する日本と韓国のメディアは早くも互いに警戒を強めている。

今回の選挙に関して兪本部長は「事務局長の地位を利用して、ある具体的な国益のために協力することはない」との考えを示した。しかし日本メディアは、兪本部長が過去に日本の輸出規制強化措置に強く反発し、WTO訴訟を主導してきたことに触れ、「選出されれば日本への攻勢を強める恐れがある」などと報じている。韓国政府は最近、日本による半導体材料の輸出規制強化措置をめぐり、WTOの紛争処理機関で紛争処理小委員会(パネル)の設置を求めた。日本政府が拒否したため設置は見送られたが、韓国が次の会議で再度要請した場合は、日本が拒否しても全加盟国が反対しない限り自動的にパネルが設置されることになる。

また、梶山弘志経済産業相は「新型コロナウイルスへの対応やWTO改革など課題が山積みの中、多角的貿易体制の維持・強化に向けてリーダーシップを発揮できる人物であることが重要。そうした観点から、日本としても選出のプロセスにしっかり関与したい」との考えを示した。これについて韓国メディアは「兪本部長をけん制するもの」「兪本部長への反対を示唆」などと報じている。そのうちノーカットニュースは「日本からは候補がいないにもかかわらず、政府レベルで事務局長の選出への関与に言及するのは異例のことであり、政治的意図があるのは明らかだ」と指摘している。また「日本がここまで大きな関心を寄せる背景には輸出規制問題があり、日本は兪本部長が選出されたら主張がしづらくなると判断したようだ」と分析。「日本があえて輸出規制問題を持ち出して兪本部長の当選を阻止する可能性もある。日本の影響力は想像以上に強いため警戒するべきだ」と主張している。

日本はこれまで韓国の国際機関への進出に否定的な立場を示してきた。最近では先進7カ国首脳会議(G7サミット)にロシアや韓国などを加える米国の構想に反対の意向を伝えた。また、潘基文(パン・ギムン)外交通商部長官(当時)が出馬した2006年の国連事務総長選挙の4回目の模擬投票でも、安全保障理事会の理事国15カ国のうち唯一、棄権した。

WTO事務局長の選出は、支持者が少ない候補者から脱落していき、最後に残った1人の候補者を全会一致で選任する方式。もし日本が最後まで反対意思を貫き、加盟国間に否定的な世論が形成されれば、兪本部長の当選に影響を及ぼす可能性もある。(編集/堂本

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