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中国・韓国で普及する出前サービス、便利さの裏にある闇とは? 死亡事故やトイレで調理も

配信日時:2020年6月27日(土) 11時20分
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新型コロナウイルスの流行により大きな打撃を受けている飲食店にとって出前サービスは救世主だ。しかし、すでに出前が普及している韓国と中国では今、問題点が浮き彫りになっている。写真は中国の出前配達員。

新型コロナウイルスの流行によって大きな打撃を受けている飲食店にとって、1つの救いになっているのが出前サービスだ。グルメメディア「ヒトサラ」を運営するUSEN Mediaが1日に発表したアンケート結果によると、回答した176店舗のうち、約30%が出前、または出前とテイクアウトの両方を新たに始めたという。新型コロナウイルスの流行が終わらない中、消費者からの需要も高い。しかし、すでに出前サービスが普及している韓国と中国では今、問題点が浮き彫りになっている。

▼韓国社会に根付く「配達文化」

韓国には新型コロナ禍以前から出前や物品の配達システムが生活の中に深く根付いていた。種類の多さ、スピード、気軽さ、安さを兼ね備え、韓国社会に欠かすことができないものになっている。

出前メニューは多彩で、ラーメンやピザをはじめ、キンパ(韓国風のり巻き)、ジャージャー麺、チキン、酒やつまみまで注文できる。営業時間内なら深夜でも配達してもらえ、場所も自宅以外に公園や海などどんな場所でも届けてくれる。食器も、配達員が残飯用のバケツをのせたバイクで回収に来る。

スマートフォンの専用アプリを使ったサービスも普及している。その一つ「配達の民族」では、さまざまな料理の出前や食材の配達を頼むことができるほか、出前を取り扱っていないレストランの料理も配達してくれる。

また、2015年に登場した「早朝配送」は30~40代のライフスタイルを完全に変えたとの評価を受けている。翌日の朝食用のおかずなどを就寝前に注文すると早朝には自宅に届く。仕事と育児に忙しいワーキングマザーを中心に支持を得ているそうだ。利用者の一人は「新鮮な食品を受け取って冷蔵庫に入れてから出勤できるため繰り返し利用している」と話している。

▼競争激化が事故を誘発、配達員の死亡も

便利さが広がる一方、業界内の競争は激化した。「安い、早い」を追求する中、配達員の事故が多発しているほか、配達バイクが歩道を通るなど危険走行も問題になっている。

配達員の過重労働の問題も指摘されている。新型コロナの感染拡大を受けて宅配業者の取扱量はさらに増加。3月にはインターネット通販大手「クーパン」で荷物の配送を担当していた男性スタッフが、配達先の前で倒れているのが発見され、その後死亡した。過重労働が原因と見られており、ネットユーザーからは「法整備が必要だ」「夜間配達は無くすべき」といった声が上がった。

韓国社会で発展してきた「配達文化」は今、配達員の安全管理と労働環境の改善が喫緊の課題となっている。

▼中国の職場、昼食は弁当ではなく出前も

中国でも出前サービスは生活の一部になっている。2017年に中国で流行した言葉「中国の新四大発明(オンライン出前サービスを含む電子商取引、高速鉄道、QRコード決済、ライドシェアサービス)」の一つに挙げられたほど。タピオカドリンクから火鍋、ザリガニ料理まで、さまざまなメニューをアプリで注文できる。注文の最低価格は300円程度の店もあり、「500円以上注文すれば半額」といったキャンペーンも豊富だ。昼食は弁当ではなく職場で出前を頼む人も多い。

中国の電子商取引を研究する網経社電子商務研究センターが今月8日に発表した統計によると、2019年の中国のオンライン出前サービスの市場規模は2912億5000万元(約4兆4165億円)、利用者数は4億2300万人に上った。新型コロナウイルスが流行してからは、社会インフラとしてもより重要な存在になっている。

▼手数料の引き上げ相次ぎ、飲食店を圧迫

しかし、サービス開始時から飲食店が負担する手数料率が上がり続けており、飲食業界で不満が高まっている。最大手の出前サービス会社「美団点評」の手数料率はもともと8%だったが、現在一部の店では20%以上に跳ね上がっている。このため今年4月には広東省の飲食業界の団体が手数料率の引き下げを求めて提訴。「飲食店の限界を越えている」などと主張し、「美団点評」との対決姿勢をあらわにした。

手数料は出前サービス会社の主な収入源である上、「美団点評」は手数料の80%を配達員の給料に当てているとしている。中国の人件費は右肩上がりに上昇しているため、手数料率を下げるのは難しいだろう。中国の出前サービス業界は明らかな寡占状態で、2019年第3四半期のシェア率は、「美団点評」が65%、次位の「餓了麼」が25%だった。現状ではこの2つの業者とうまく関係を続けるほかなさそうだ。

▼衛生面の問題も発生

注文者の目が届きにくいことから、衛生面の問題も発生している。出前専門の店が増えるにつれて場所の確保が難しくなったこともあり、2017年にはトイレで調理している店の存在がメディアで報じられた。こうした事態を受け、中国政府は2018年に「インターネット飲食デリバリーサービス食品安全監督管理弁法」を施行。「食品安全法」も改正して飲食店や出前サービス会社に対する監視や取り締まりを強化するなど、解決に向けた取り組みを進めている。

中国メディアの央視新聞によると、今年5月には出前で人気のフライドチキン店に鶏肉を提供していた加工場が、大量の腐った肉を扱っていたとして摘発された。消費者が安心して利用できるのはまだ先になりそうだ。(編集/毛利・関)

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