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<コラム>アリババに死角はあるか?ライブコマース篇:ユーザー指向深め、スキは見当たらず?

配信日時:2020年9月25日(金) 6時10分
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今が旬のライブコマースに、死角はないのだろうか。

アリババは、中国ネット通販ナンバーワン企業である。有名な双11(11月11日独身の日セール)を2009年に仕掛け、10年で5300倍以上に成長させた。2016年9月、ライブ配信の「淘宝直播」を開始し、直播電商(ライブコマース)ブームもけん引した。淘宝直播の育てた、薇[女亜]、李佳[王奇]らトップライバーは大スターとなった。今が旬のライブコマースに、死角はないのだろうか。

■目標さらに上方修正か

ライブコマース3強、アリババの淘宝直播、快手、抖音(海外名TikTok)は絶好調、なかでも淘宝直播はダントツ。

2019年のGMV(契約総額)は淘宝直播2000億元(3兆1000億円)、快手、抖音は400~500億元(6200~7800億円)だった。

2020年の目標は、淘宝直播5000億元(7兆8000億円)、快手2500億元(3兆9000億円)、抖音2000億元(3兆1000億円)といずれも2.5倍から5倍と強気だ。

しかし上半期の進捗率を見ると、淘宝直播60%、快手36~40%、抖音20%と差がついた。すでに60%を消化した淘宝直播の目標達成は、確実だ。とくに4~6月期は、前年の2倍を超える水準だった。上方修正も十分あり得る。2018年に立てた2020年の目標は、2200億元(3兆4000億円)だった。なぜ淘宝直播は、こんなに強いのだろうか。最新の報道から、理由を探ってみたい。

■地方政府の支援

淘宝直播は、ライブコマースの“都”を目指す各地方政府のサポートを受けている。

今年5~6月、11カ所の地方政府が、淘宝ライブ配信向けサポート政策を発表した。創業奨励、人材吸引、税制優遇、レンタル料減免など、多方面にわたる。新商業モデルの創造、ライブコマースの“都”になることを期待している。主要都市は以下の通り。

重慶市…1万名の直播帯貨達人(有力ライバー)を養成

山東省・荷澤市…10カ所のライブコマース区を建設

山東省・済南市…全国レベルのライブコマース本部基地を建設

山東省・青島市…中国北方ライブコマースのリーダー都市へ

浙江省・杭州市…ライブコマースの人材の認定制度を導入

浙江省・義鳥市…2022年ライブコマース1000億元(1兆5500億円)目標

福建省・泉州市…ライブコマース基地建設

北京市…ライブコマース新モデル研究

各地方が、競い合って淘宝直播のために、コンテンツ制作の環境を整えてくれている。

■淘宝直播のオープン化戦略

淘宝は9月上旬、淘宝直播の“開放戦略”を発表した。他社プラットフォームとの連携を強化する。開放したのは以下の5項目。

1.ライブコマース能力…自前プラットフォームの建設を援助。

2.先進的ライブコマース…淘宝直播が3年間蓄積した技術を提供。

3.コンテンツ…提携プラットフォームは、淘宝の優良コンテンツへアクセス可能。

4.商品選び…淘宝の商品を提供、ライバーの売れる商品選択能力アップ目指す。

5.運営能力…紅包(お年玉)、優待券の使い方など運営方法全般を援助。

60以上のプラットフォームが、これら淘宝直播の技術と能力を利用している。その中には、bilibili、斗魚、知乎、喜馬垃雅、美図、酷狗など、膨大なユーザーを持つ、有力アプリを含んでいる。

■中小ライバー養成計画

2020年上半期、中国のライブコマース業界では、40万人の“アクティブライバー”が活動している。淘宝直播では、薇[女亜]、李佳[王奇]2トップ以下、1000人以上のライバーが活動している。しかしこれは、快手や抖音に比べて少なく、トップに依存した構成だ。投稿シェアがメインのこれらショートビデオアプリは、多くのコンテンツクリエーターを抱え、彼らのアドバンテージとなっている。淘宝直播も、ライバー育成に手抜かりはない。9月には6つの新サポート政策を発表した。

1.売れ筋商品を提供…これこそ最も低コストで、ライバー育成が可能。

2.成長リソース開放…急成長をサポート。

3.MCN資源の開放…動画投稿者のサポート組織MCN(Multi-channel Network)産業は、拡大の一途で、2020年は2.8万社が活動し、245億元(3800億円)の売り上げを予想している。優良なMCNとライバーのマッチングを調整。

4.経費の減免…保証金やサービス費の減免。

5.1対1の指導…養成プロセスの中で、公式に個別指導を行う。

6.双11でのサポート…小売業最大のイベント、双11(11月11日独身の日セール)での販促サポートを提供。

■まとめ、B2Bでもライブ推進

さらにB2Bネット通販の1688網でも、ライブコマース計画を進めている。2020年5月、浙江省・温嶺市に初のB2Bライブコマース産地運営センターを建設した。初日には5000の工場がライブコマース活動を行い、取引額は5000万元(7億8000万円)だった。

アリババのプランは、中国各地の産業地帯に“ライブコマース大学”とライブコマース産地運営センターを、100カ所オープンさせるという壮大なものである。

アリババのライブコマースへの取り組みには、スキはなさそうに見える。プラットフォームをオープン化し、有力アプリとの提携を進める。ライバーを養成する。地域を巻き込む。アリババ流の、おせっかいなまでのユーザー指向と、オープンな姿勢は、ライブコマースでも健在に見える。今後の課題は、急成長ゆえの業界のひずみや、ユーザーの不満に、どう対応するかだろう。

■筆者プロフィール:高野悠介
1956年生まれ、早稲田大学教育学部卒。ユニー株(現パンパシフィック)青島事務所長、上海事務所長を歴任、中国貿易の経験は四半世紀以上。現在は中国人妻と愛知県駐在。最先端のOMO、共同購入、ライブEコマースなど、中国最新のB2Cビジネスと中国人家族について、ディ-プな情報を提供。

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