Baidu IMEがクレカ番号など入力情報を勝手に外部送信=超アグレッシブ企業・百度の伝説

配信日時:2013年12月27日(金) 20時38分
Baidu IMEがクレカ番号など入力情報を勝手に外部送信=超アグレッシブ企業・百度の伝説
画像ID  405599
中国検索最大手・百度の日本支社が提供している日本語変換ソフト・Badiu IMEが、利用者に無断で入力情報を自社サーバに送信していたことが明らかとなった。
中国検索最大手・百度の日本支社が提供している日本語変換ソフト・Badiu IMEが、利用者に無断で入力情報を自社サーバに送信していたことが明らかとなった。

その他の写真

■百度ジャパンの日本語変換ソフトに懸念

これはネットエージェント社が百度ジャパンのPC用日本語変換ソフト「Baidu IME」、Android用日本語変換ソフト「Simeji」を調査した結果、明らかとなったもの。百度ジャパンのソフトにはクラウド入力と呼ばれる機能があり、入力内容をネットを通じてサーバに送り変換している。

百度ジャパンは入力情報の送信は利用規約に合致したものであり、通信経路は暗号化されているほか、百度ジャパンのサーバも厳格に管理されており不安はないとのプレスリリースを発表した。

もっとも、その外部送信された情報、百度がなにかに利用するのではないか、百度の従業員が個人情報を第三者に転売するのではないか…といった危惧はそう簡単にぬぐえないし、中国ではさらに斜め上をいく事態も起きている。それが「ググったらボクのパスワードがでてきたでござる事件」だ。

これは2010年に起きた事件だが、中国のセキュリティーソフト・360が「危険なサイトなどを調べるため」ユーザーの入力情報を収集していたところ、設定を間違えてその情報がグーグルで検索できる状態になってしまったというもので大騒ぎとなった。中国IT企業の情報流出もたびたびあるだけに、百度に悪意がなくとも情報流出する危険性は残る。

■グレーゾーン=ホワイトや!超アグレッシブ企業、百度

百度といえば中国検索最大手にして、中国を代表するIT企業の一つ。だが、創立以来、一貫して「グレーゾーン?クロじゃないところは全部シロなんやで〜」というアグレッシブ精神を失わないのが特徴だ。まあ、今回の「拒否しても入力情報送信」は真っ黒だが。

中国ではもともとグーグルが検索トップシェアを占めていたが、中国政府による“わかりづらい検閲アタック”(1時間のうち30分はつながらない、2回に1回はつながらないなどなど)により、不便なサービスとしてシェア急落。そのすき間を縫って百度が台頭した。百度自身は「2文字1組で意味を取ることが多い中国語にはグーグルの技術は最適ではない」などと勝利の理由を説明していたが…。

百度の勝利を決定づけたのがMP3検索だ。これはネットにアップされた海賊版音楽ファイルが検索可能、しかも違法アップロードしたサイトを訪問しなくとも百度のページ上からその音楽を聴けるという便利すぎるサービスだった。当然のごとく訴えられたが、「うちがアップした違法ファイルではないでござる」と主張し勝訴。後に百度のサイトから直接音楽を聴けないように変更されたが、同社のシェアを一気に高める契機となった。

普通ならば大手企業になった後はおとなしくなりそうなものだが、百度はベンチャー的なアグレッシブ精神を失わない。グレー=ホワイト精神で数々のサービスを生み出していく。主力の検索業務で話題となったのが検索サイトのためにウェブページを収集するBaiduスパイダーだ。ウェブサイトは検索エンジンに登録されないよう設定することが可能だが、Baiduスパイダーは拒否設定していても強引に収集していく。さらにセキュリティーが甘いサーバーだと、外部から見られないように設定されたファイルも漁っていく。そのため「百度で検索したら、自分のEメールの文面が表示されたでござる」という伝説も生まれた。

日中で大きな話題となったのがドキュメント共有サービス「Baiduライブラリ」(中国名は百度文庫)。ユーザーがアップロードした文書を不特定多数に公開するというサービスだが、ダウンロード数に応じてアップしたユーザーにはポイントが与えられたり、あるいは「部長さん」「社長さん」などの称号がランクアップするシステムが搭載されていた。中国の海賊版ファイル共有用のネット掲示板にはよくあるシステムなのだが、「社長さん」を目指すユーザーたちが怒濤のごとく、小説やらマンガやら人気がでそうなファイルをアップ。大手企業による海賊版普及システムとして輝いた。その日本版は公開直後に速攻で怒られサービス中止、中国版もメディアや世論の猛批判を浴びるという事態を招いている。

◆筆者プロフィール:高口康太(たかぐち・こうた)
翻訳家、ライター。豊富な中国経験を活かし、海外の視点ではなく中国の論理を理解した上でその問題点を浮き上がらせることに定評がある。独自の切り口で中国と新興国を読むニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。
最新ニュースはこちら

SNS話題記事