「6億人が月収わずか1000元」李克強首相の発言に人々が騒然としたのはなぜか―米華字メディア

Record China    2020年6月3日(水) 9時50分

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1日、米華字メディア・多維新聞は「中国本土で6億人が月収1000元という李克強首相の話が大きな議論を巻き起こしたのはなぜか」とする記事を掲載した。写真は出稼ぎ労働者。

2020年6月1日、米華字メディア・多維新聞は「中国本土で6億人が月収1000元(約1万5000円)という李克強(リー・カーチアン)首相の話が大きな議論を巻き起こしたのはなぜか」とする記事を掲載した。

記事は、5月28日の全国人民代表大会(全人代)閉幕後に人民日報の記者から質問を受けた李首相が「毎月の収入が1000元の人は6億人いる」と語ったことを紹介。今年が脱貧困の鍵となる年、全面的な「小康社会」の目標達成の年と位置付けられてきたこともあり、「6億人が月収1000元」という発言が国内外から注目を集め、中国のSNS上でもホットワードになったと伝えた。

その上で、実際のところ中国は自らを「世界最大の発展途上国」を位置付け続けることで、「発展途上地域」としての経済、貿易上の優遇を得続けようとしていると同時に、1人当たりのGDPでは確かに依然として世界の中間レベルに甘んじていると指摘。「このことから、李首相の話は驚天動地の大暴露ではなく、ネットでちょっとでも調べれば誰もが理解できるような事実にすぎない」とした。

そして、「事実」を述べたに過ぎない李首相の発言がまるで新大陸を発見したかのような反応が世間で見られた背景には、日常的に「中国モデル」「世界第2の経済大国」「世界の工場」といった言葉がニュースとして伝えられる一方で、貧困問題に関するデータの露出が相対的に少ないことがあるとした。

また、中国収入分配研究所の李実(リー・シー)執行院長が「月収1000元」について、総収入から日常の支出を差し引いた可処分所得であること、「6億人」については高齢者、児童、学生などの被扶養者を含めた人口であることを説明したという。

さらに、貧困問題に関するデータに日常的に触れている李首相と一般市民の間で「月収1000元」に対する印象がややずれている可能性もあると記事は指摘。「1000元は都市部においては低収入であるものの、農村の貧困地域では決して低収入ではない」とし、2016年に定められた貧困ラインが「年収約3000元(約4万5000円)、月収約250元(約3800円)」となっていることを紹介した。また、中国政府がしばしば貧困脱出の模範として挙げている四川省の村でも、1人当たりの年収は6000元(約9万円)前後、すなわち月収500元(約7500円)前後に過ぎないとしている。

その上で記事は、李首相の発言について「何はともあれ、大風呂敷を広げるよりも事実を語る方がいい」と評価するとともに、「中国本土の『発展中』状態を少しでも理解していれば、『6億人が月収1000元』という表現についてそこまで目くじらを立てることはない」と結んでいる。(翻訳・編集/川尻

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