Record China

ヘッドライン:

<コラム>ライブコマースとともに急成長の中国MCN産業、2020年は2.8万社が活動?

配信日時:2020年6月14日(日) 15時10分
拡大
中国は今、直播電商(ライブコマース)、直播帯貨(有名人を起用したライブコマース)の話題で持ち切りだ。

中国は今、直播電商(ライブコマース)、直播帯貨(有名人を起用したライブコマース)の話題で持ち切りだ。有名人だけでなく、工場長や不動産屋、商店、一般人まで、続々ライバーデビューを果たしている。そのため新しい産業が勃興し始めている。その典型はMCN(Multi-Channel-Network)だ。中国語で「網紅」と呼ばれるKOL、インフルエンサーのサポートや養成、管理、営業などを幅広く行う。

調査機関・艾媒網(iiMedia)は、こまめにライブコマースやMCNに関するレポートを発表している。その中からいくつか取り上げ、今後を展望してみよう。

■世界のMCN市場

全世界のKOL(大部分はYouTuber)によるライブコマース市場規模(2019年)は、82億ドルに達した。企業のSNS媒体に対する需要は引き続き上昇し、2020年は100億ドルを突破するとみられている。

米国MCNの歴史は中国に先行している。YouTuberパートナープログラムが始まったのは2007年、それに伴いMCNも成長した。収入源はYouTubeからの広告である。2017年、有力機構のDefy Media、Fullscreen、Maker Studioは、KOLと従業員の削減を行った。YouTubeは翌2018年、提携パートナーをより厳しく選別、過去12カ月で4000時間以上かつ1回の閲覧者1000人以上の者に限定した。業界の体質強化が行われたのである。その2018年段階で、世界(中国以外)のMCN機構の数は740社とみられている。

YouTubeの定型化されたコンテンツ制作モデルでは、MCNとKOLは直接有力ブランド企業とつながっている。ここには大きな“収益空間”があり、中国MCNの進出余地も十分にある。その理由は、中国MCN業界の圧倒的なバイタリティーにある。

■中国のMCN市場

中国のMCN市場規模は、2019年は168億元(2600億円=24億ドル)だった。上記のデータに照らすと世界シェア29%に相当する。2020年は245億元(3785億円=35.6億ドル)が見込まれ、世界シェアは35%を上回る。

中国のMCN機構が活発化したのは2017年である。同年のMCN機構数は1700社、それが2018年5800社、2019年1万4500社と急増し、今年は何と2万8000社になると予測されている。740社どころの騒ぎではない。

サービス内容は多岐にわたるが、以下の8つに分類される。

1.コンテンツ制作=プラットフォームの要望に応え、クリエーターと資源を提供。

2.営業サービス=新媒体への投稿、ブランド戦略など、総合営業サービス提供。

3.ショートビデオ運営代行=ファンの管理、ファンの需要に応え、ショートビデオ創作。

4.運営管理=所属KOLの管理。

5.KOL養成=文化・娯楽、美食、美容KOL育成。

6.MC養成=多チャンネルの販路開発には必須。

7.規約管理=管理下KOLの商品価値を増加。

8.電商直播=ライブコマースの進行管理

■中国MCNの際立った特徴

これらの業務のどれに軸足を置くかにより、iiMediaは以下の3つにグルーピングしている。

1.営業型=蜂群伝媒、楼氏伝媒

2.コンテンツ型=大禹網絡、薇龍文化、網星梦工廠

3.ネット通販型=美ONE 、如涵(ルーハン)

最後のルーハン社は、米国ナスダック上場企業である。稼ぎの半分以上をトップKOLの張大奕(女性)が1人でたたき出している。4月にはアリババ最高幹部との艶聞が発覚、株価が10%暴落するなど番外の話題も提供した。

中国以外の場合、KOLのステージはほぼYouTube一本である。中国の際立った特徴は、有力なプラットフォームがいくつもあることだ。

1.短視頻(ショートビデオ)=抖音(海外名TikTok)、火山小視頻、快手、愛奇芸

2.SNS=微信(WeChat)、QQ、bilibili、微博

3.ライブ放送=斗魚、虎牙直播

4.ネット通販=淘宝直播、京東直播、蘑茹街

これら出自の異なるプラットフォーム同士で、激しい競争を展開中だ。成功への公式はなく、アプローチは無数にある。百花繚乱というしかなく、この状況がMCNに、活躍の場を提供している。

■まとめ

こうして中国のMCN産業は急速にふくれ上がった。実際にKOL、有名人によるコンバージョン率(Webサイトの成果率)は80%に達し、極めて高い効率を誇る。中国のライブコマースには当面、死角が見当たらない。あらゆるアプローチを集積した中国のMCNは、やがて世界進出を目指すのではないだろうか。YouTuberを目指す日本の若者が、中国MCNで修業する。そして中国でデビューする。そんな時代は、もう目前に迫っているのかも知れない。

■筆者プロフィール:高野悠介
1956年生まれ、早稲田大学教育学部卒。ユニー株(現パンパシフィック)青島事務所長、上海事務所長を歴任、中国貿易の経験は四半世紀以上。現在は中国人妻と愛知県駐在。最先端のOMO、共同購入、ライブEコマースなど、中国最新のB2Cビジネスと中国人家族について、ディ-プな情報を提供。

※掲載している内容はコラムニスト個人の見解であり、弊社の立場や意見を代表するものではありません。
【アジア食品のネットサイトがオープン】
中華圏、韓国などのアジア食材が手軽に入手できます!
サイトはこちら

【コラムニスト募集】
中国や韓国の専門知識を生かしませんか?レコードチャイナではコラムニストを募集しています。どしどしご応募ください!応募はこちら

関連記事

ランキング